輸血・細胞治療科

駒込病院 放射線診療科(診断部)
都立駒込病院 輸血・細胞治療科 部長 奥山 美樹

患者さんへのメッセージ

1.安全な輸血

現在日本赤十字社から供給される輸血用血液はHIV(エイズウイルス)、HBV(B型肝炎ウイルス)、HCV(C型肝炎ウイルス)の検査を全て、感度の良い核酸レベルでチェックをしており、輸血の安全性は過去にくらべて、格段に向上しています。しかし、検査には常に限界があり、絶えず未知のウイルスなどは否定できず、十分な注意は必要です。
安全対策のひとつとして、当院では自己血輸血を推進しています。患者さんのスケジュールに合わせ、自己血を採血し保管管理して、手術時に使用します。
万が一血液型が異なる輸血を受けたり不規則性抗体の存在を見逃したりすると、時に重大な副作用が生じることがあります。輸血前の血液型検査と適合性検査は念入りに行っております。また輸血用血液を取り違えるようなミスの起きないように、複数の職員で電子システムも利用して十分チェックをして輸血療法を行っています。

2.適正な輸血

日本は、世界の中でもアルブミンの使用量が多いと言われ、約40%が主にアメリカから輸入されています。血液製剤は国内で自給自足することが安全性のために重要です。未知の感染症、医療費の高額化を防ぐため、そして輸血による合併症を減らすためにも、当院ではこの、血漿分画製剤(アルブミン製剤)を含めた血液製剤の適正使用を推進し、不必要な輸血の使用を避けるよう努力しております。

3.細胞治療の発展

都立駒込病院造血幹細胞移植チームの一員として、造血幹細胞移植を強力に支えております。当院では骨髄移植だけでなく、血液中の造血細胞を用いた末梢血幹細胞移植や臍帯血を用いた臍帯血移植も行っており、造血幹細胞移植の症例数は全国トップレベルです。そのため骨髄処理や末梢血幹細胞の採取、保存に関する分野での経験が豊富です。
そのほか、移植後に起きる合併症に対するドナーリンパ球輸注療法や間葉性幹細胞を用いた治療、CAR-T細胞療法などの新たな細胞治療にも積極的に取り組んでおります。

造血幹細胞移植症例数の参考データ:移植データ | 一般社団法人 日本造血細胞移植データセンター (jdchct.or.jp)(外部リンク)

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