糖尿病チーム

多摩地区は糖尿病診療の先進地域?

糖尿病の患者さんは増加の一途を辿っており、我が国全体では1,000万人前後におよぶと言われています。多摩地区の人口からこの地域の糖尿病患者さんは30万を超えると推定されます。それに対して、糖尿病の専門的な技術をもった糖尿病専門医は地域全体で100名を下回っており、患者数に対する比率は、全国平均の約6割、23区内の約3割にすぎません。

このような背景の中、多摩地区では30年以上も前から、糖尿病地域連携と糖尿病チーム医療が車の両輪のように深化してきました。実際、この地域では糖尿病にかかわる勉強会が毎週のように開催されており、医師だけでなく、多くの医療職が参加し、お互いに切磋琢磨しておられます。実は多摩地区は糖尿病診療の均てん化が進んだ先進地域として大変注目されており、こうした取り組みが全国的にも評価されているのです。

多摩総合の糖尿病医療チームのメンバー構成と役割は?

糖尿病医療チーム集合写真

当院でも、1990年代から、糖尿病医療チームが構築され、20年以上にもわたって、チーム医療が展開されてきました。参加する職種は、医師、看護師、薬剤師、管理栄養士、臨床検査技師、理学療養士、などの医療専門職が中心ですが、患者さんによっては、ソーシャルワーカーも大きな役割を担いますし、患者さん向けのイベントでは、総務課、医事課などの事務職も参加し、より広い意味での糖尿病医療チームが構築されます。

当院には約3,000名の糖尿病患者さんが通院されており、うち、1型糖尿病の患者さんも200名弱いらっしゃいます。当院には、糖尿病を専門的に診療している医師が12名おり、患者さん個々の状態に合わせた治療方針を決めておりますが、医師のみで診療を完結できるわけではありません。

看護師は、外来および病棟で、インスリン注射指導をはじめ、患者さんの療養をお手伝いしております。
薬剤師は、主に各病棟に入院中の糖尿病患者さんの薬剤指導を担当しております。
管理栄養士は、外来および病棟で、患者さんの栄養指導を担当しております。
臨床検査技師は、外来では採血業務も担当しますが、糖尿病診療に欠くことのできない多くの臨床検査に携わり、大切な裏方を担っております。
理学療養士は、主に糖尿病講習会糖尿病フェスタなど(後述)で、糖尿病患者さんに向けた運動のコツなどをお伝えしております。 当院では、電子カルテシステムにより、きわめて速やかにチームメンバー間の情報共有化がなされることも大きな特徴のひとつといえます。

当院の糖尿病医療チームメンバーは、みんな勉強熱心です。糖尿病療養指導士という、糖尿病診療に精通した資格をもつスタッフが当院には実に約30名おります。彼らは資格を取っただけで自己完結せず、日常業務の終わった後、院内勉強会を開いたり、院外の勉強会に参加するなどして、知識のアップデートに日々努めているのです。こうした苦労を知るもの同士、職種間の連携も大変強固です。当院の糖尿病診療の底力がここにあります。

糖尿病患者さん向けのイベントが盛り沢山!

当院では糖尿病患者さん向けのイベントも数多く用意されています。5月から翌年3月まで毎月異なったテーマで開催される糖尿病講習会は20年以上の歴史をもちます。休憩をはさんだ計2時間のうち、1時間を医師が担当残りの50分を医師以外の二部門が担当いたします。月1回の開催に向けて各部門で綿密に準備を重ね最先端の糖尿病知識をいかにわかりやすく患者さんにお届けするかを競います。

糖尿病講習会を受ける患者さんたちの様子

2014年からは毎年11月14日に定められた世界糖尿病デーに合わせて糖尿病フェスタという催し物を開催しております。昨年は2時間の開催時間に約100名ものご参加をいただきました。いうまでもなくこれらのイベントはすべて申し込み不要、参加無料です。

糖尿病医療チームが患者さんのためにできることは?

糖尿病患者さんの生活背景は時に複雑です。医師だけでは十分に拾いきれない背景を多くの医療職がかかわることでキャッチアップし、的確な治療方針につなげることができることも多いのです。われわれ糖尿病医療チームは、「糖尿病患者さんのお役に立つために!」、という共通の目標のもと、あらゆるお困りごとに、いつでもご相談できる準備を整えております。どうか遠慮なさらず、お声をおかけ下さるようお待ちいたしております。

糖尿病医療連携について

おしまいに、当院の糖尿病医療連携についてもふれます。
当院では、多くの診療所の医師の先生方や調剤薬局の薬剤師の先生方ともご一緒に数多くの勉強会を開催しております。そうした機会に糖尿病診療についての約束事、新しい薬剤をどのように効果的に処方していただくか、などを話し合い、地域全体の糖尿病情報の共有化を図っております。専門医以外にも、糖尿病診療に熱意を持ち、連携にご協力いただける診療所が100施設以上に及ぶことは大変心強いことです。府中市の調剤薬局の先生方とは、災害時に備えた薬剤備蓄のしくみについての相談も進めております。こうしたことも地域におけるチーム医療の大切なかたちのひとつと考えております。