神経・脳血管内科

診療内容・特色

東京都立多摩総合医療センターでは平成28年4月1日に「神経・脳血管内科」が新設され、神経内科専門医・脳卒中専門医である3名のスタッフで診療を始めました。当院には隣接する東京都立神経病院の外来窓口で神経難病医療を専門とする「脳神経内科」もありますが、当科では主に脳卒中のうち脳梗塞と一過性脳虚血発作の診断と内科的治療を担当し、脳出血・くも膜下出血の診断・治療は脳神経外科が担当します。

脳卒中は神経救急の代表疾患であるため当科または脳神経外科による24時間・365日の脳卒中診療体制をとっており、東京ER・多摩(総合)に搬送された脳卒中患者さんも当科と脳神経外科が対応します。発症後4.5時間以内の脳梗塞に対しては組織プラスミノゲンアクチベーター(t-PA)静注療法を検討し、発症後8時間以内の脳梗塞に対する血管内治療、頸部内頚動脈高度狭窄症や頭蓋内主幹動脈狭窄症・閉塞症に対する外科治療は脳神経外科が行います。手足の麻痺や言語障害で直接自宅に退院することが難しい場合には回復期リハビリテーション病院などへ転院してさらなるリハビリテーションを受けることができます。なお、脳卒中ではないが脳卒中類似症状を呈する疾患(stroke mimics)の積極的な診断・治療も行い、神経内科領域の主要な症状であるめまい・しびれ・頭痛や多彩な症状を示す神経疾患に対しても脳神経内科と協力して最高の医療を提供できるようにします。

当科の外来は月曜日から金曜日まで原則として予約制となっています。ご予約の場合には当院予約センター( 042-323-9200)へのお電話をお願い致します。なお、お急ぎの場合には主治医の先生から直接当科(病院交換: 042-323-5111)までお電話いただけますと早急に対応させていただきます。

取り扱っている主な疾患

1.脳梗塞・一過性脳虚血発作

脳動脈が閉塞することで脳組織が壊死に陥り、手足の麻痺や言語障害などの神経脱落症状をきたすものが脳梗塞です。一方、一時的な脳動脈の閉塞で24時間以内に神経脱落症状が消失するものが一過性脳虚血性発作です。いずれも発症時の症状が軽微であっても重大な神経脱落症状をきたすことがあり得るため、緊急対応が必要な病態です。脳梗塞は、頭蓋内外の主幹動脈の動脈硬化が原因のアテローム血栓性脳梗塞、脳内の細動脈硬化が原因のラクナ梗塞、心臓内の血栓が脳動脈を閉塞する心原性脳塞栓に大きく分類され、それぞれの病型によって治療法が異なります。当科では、頭部MRI/MRA・頸動脈エコー・心電図モニターなどを実施して脳梗塞の病型分類を行い、適切な内科的治療を行います。

2.脳梗塞以外の神経疾患

神経内科領域には非常に多彩な疾患が数多くあります。それらの患者さんが示す症状としては、顔面・手足のしびれ、頭痛・顔面痛、言語障害、嚥下障害、歩行障害、手足の筋力低下、意識障害、認知機能障害などがあります。これらの症状は脳梗塞でもみられるものであり、当科では脳神経内科と協力してこれらの症状の患者さんの診察・治療もさせていただきます。なお、精密検査の結果で神経難病と診断された場合には、より専門性の高い脳神経内科での治療を受けることができます。

主な医療設備

MRI装置(3.0テスラ/1.5テスラ)、ヘリカルCT装置、SPECT用ガンマカメラ、超音波診断装置、血管造影装置