血液内科

診療内容・特色

当科は多摩地域の血液疾患を診療する中核病院の一つです。1990年(平成2年)当時の都立府中病院で血液内科(輸血科)を開設以来、白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄種を含む血液疾患に対して迅速かつ安全な医療を提供できるよう努めております。1996年(平成8年)には骨髄移植センター(無菌病棟)設置、骨髄移植を開始し、当時として多摩地域唯一の造血幹細胞移植施設になりました。1999年(平成11年)から臍帯血移植を行い、2022年(令和4年)までに約400件の造血幹細胞移植を行ってまいりました。2010年に都立多摩総合医療センターに移転・改称してからも多摩地域の基幹病院として、良性疾患から難治性血液疾患まで幅広く診療にあたっています。

取り扱う主な疾患

血液の病気全般の診療を行っています。

白血病

急性骨髄性白血病(AML)、急性前骨髄球性白血病(APL)、急性リンパ芽球性白血病/リンパ芽球性リンパ腫(ALL/LBL)、慢性骨髄性白血病(CML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫(CLL/SLL)、骨髄増殖性腫瘍(真性多血症、本態性血小板血症、原発性骨髄線維症)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)

悪性リンパ腫

びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、ホジキンリンパ腫(HL)、辺縁帯リンパ腫(MALT、NMZL等)、リンパ形質細胞性リンパ腫/マクログロブリン血症(LPL/WM)、バーキットリンパ腫(BL)、成人T細胞白血病/リンパ腫(ATL)、末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)、節外性NK/T細胞リンパ腫,鼻型(ENKL)

多発性骨髄腫/多発性骨髄種の類縁疾患

多発性骨髄種(症候性)、MGUS、孤立性形質細胞腫、ALアミロイドーシス

貧血性疾患

再生不良性貧血、赤芽球癆、⾃⼰免疫性溶血性貧血、発作性ヘモグロビン尿症、寒冷凝集素症、悪性貧血・ビタミンB12⽋乏性貧血

出血性疾患

特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、後天性血友病

造血幹細胞移植

当院の輸血科(血液内科)では造血器悪性疾患などに対する化学療法や造血幹細胞移植(血縁者間骨髄移植、非血縁者間骨髄移植、臍帯血移植など)を中心に行っています。また高齢者などに対する、いわゆるミニ移植(RIST)も行っています。

  • 適応疾患
    急性白血病、慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、悪性リンパ腫、重症再生不良性貧血など
  • 適応年齢
    通常の移植の適応年齢は16歳から55歳
    ミニ移植(RIST)については、患者さまの全身状態によります。
  • ドナーが存在する
    血縁者(主にご兄弟)、非血縁者(骨髄バンク)にドナーがいない場合でも、臍帯血でドナーがみつかる場合もあります。

当院での無菌室開設(平成8年度)から令和2年度までの移植症例数は405例です。

移植血液病棟 無菌病室の様子です。
院内の様子です。

白血病や悪性リンパ腫などの血液悪性腫瘍に対しては、標準とされている抗がん剤による化学療法を中心におこなっています。また時に放射線療法なども併用することもあります。再発時などは造血幹細胞移植などの治療も行っています。

移植後長期フォローアップ(LTFU: Long-term follow up)

2012年7月より「移植後長期フォローアップ外来」を毎月第3木曜日、第2金曜日に設置し、移植後の患者さんの生活面をはじめとした不安などに対して専門の看護師による対応を行っています。移植後合併症である慢性移植片対宿主病(GVHD: Graft-versus-host disease)や感染症、 生活習慣病(糖尿病・脂質異常症・甲状腺機能異常)、骨・筋肉合併症(骨粗鬆症、筋炎、筋膜炎)、二次がん(口腔癌)など、多岐にわたる移植後合併症を患者さん及びご家族と共に予防し、早期発見と早期治療につなげていきます。患者さんの生活の質の向上を目標としています。

血液内科から患者さんへ

当科では、血液疾患や合併症に対する診断・治療・移植後合併症をよりよくするため、悪性リンパ腫、造血幹細胞移植、移植後フォローを含むさまざまな臨床研究を行っています。これらの臨床研究・臨床試験への参加について主治医・担当医より説明させていただくことがあります。