治りにくい骨折や変形

難治骨折

骨折は適切な治療を受ければ通常治ります。しかし、ケガした時に骨が見えてしまったり、バラバラになったり、あるいは骨を含め体が強く衝撃を受けたりすると、骨折は十分に癒合しない、または変形して癒合する場合があります。何回手術してもなかなか骨癒合をしない骨折を難治骨折といいます。以下のような状態があります。

遷延治癒、偽関節

骨折の癒合がふつうかかる期間よりも長くかかっているものを遅延治癒といいます。
折れた骨がくっつかず、グラグラ動いている状態を偽関節といいます。
このような骨折にはしっかりした固定を施し、骨折部に適切な負荷がかかるようにし骨癒合を促進させるべく手術や装具を用いた治療を行います。

骨髄炎(感染性偽関節)

骨折部を含め骨に細菌感染が起きた状態のことです。感染があると骨もなかなかくっつかず、感染性偽関節になりやすいです。
感染をしっかりとコントロールできないと癒合しません。感染を鎮静化させ、骨癒合させるという非常に困難な治療で時間がかかります。

写真:術前のレントゲン
脛骨偽関節
写真:創外固定をした様子
創外固定による骨髄炎治療
写真:術後のレントゲン
骨癒合後

四肢変形

けがだけでなく、生まれつきの病気や感染症などによっても四肢の骨の変形が生じることがあります。
変形は強くなりますと、日常生活に支障をきたしたり、関節の痛みが出たりすることがありますので、ひどい変形は治す必要があります。
また、両足(下肢)の長さが違いすぎますと変形と同じことが起きますので、はやり治療の対象になります。

写真:変形した脚のレントゲン
下腿の内反変形

治療法

当科では難治骨折・四肢変形の治療は主に創外固定器を用いて行います。局所/全身状態により単支柱型やリング型の創外固定器を使い分けできるだけ早期に日常生活に復帰できるように努めています。
なお、創外固定器とは骨に細いワイヤや骨ネジを数本刺入しておき、体の外でこれらのワイヤやネジをしっかり固定することによって骨折部を安定させる方法です。手術の時の侵襲が小さいことや、手術の後でゆっくり変形を治したり、短い骨を伸ばしたりすることができるなどの利点があります。

写真:術中から術後のレントゲン
下腿内反変形の治療経過