包括同意に関するお願い

説明と同意(「個別同意」と「包括同意」の違い)

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当院では患者さんが、納得した上で安心して医療を受けられるように最大限の努力をしています。そ のためには、患者さんと医療者との相互理解や信頼、そして「説明と同意」が不可欠と考えています。 まず、「説明と同意」について、特に「個別同意」と「包括同意」の違いについて説明します。「個別 同意」とは患者さんに、個別具体的な事項についてご説明し、口頭または書面で同意を確認させていた だきます。一方、「包括同意」とは、「個別同意」のような手続きを経ないで同意をいただくもので、 事前に口頭等でご説明することなく、予め提示した文書やホームページに記載してある文書で内容や対 象をご確認いただきます。患者さんから不同意の意思表示がなされない限り、全て同意されたものとし て扱うものです。

「包括同意」の対象

診療上必要な危険性の極めて低いとされる一般的な検査や処置

診療上必要なさまざまな検査・治療がありますが、危険性の高いもの(手術、血管内治療、血管造影、 内視鏡、麻酔、輸血、化学療法など)については上記の「個別同意」をいただく対象となります。一方、 付録1に記載させていただく、危険性の低い一般的な検査・処置等に関しては、診療を円滑にすすめる ため、予め説明し同意をいただくことなく、「包括同意」の対象として診療の一部として行います。

「診療に伴い発生する試料・情報」の研究内容や研究者を特定しない将来の研究

当院では、病歴(電子カルテに記載)、X線やCTやMRIなどの画像とその所見、生理機能検査(心電図、呼吸機能検査や超音波検査など)、検査試料(血液や尿など)、細胞・組織検査(検査や手術検体など)試料などが診療に必要なものとして採取・保管されています。その後、診療上不必要となった場合でも、医学研究には大変貴重であり、これらの診療情報・試料等を研究のために利用させていただくことがあります。また、採血・採尿・細胞や組織など試料は必要最低限量を採取しますが、それでも、試料(検体)の一部が残る場合があります(これを残余検体といいます)。この残余検体も貴重であり、将来の研究に使わせていただくことがあります。

通常、人を対象とした医学研究において、こうした試料・情報を用いて研究を実施する場合、国の指針に基づき、研究内容の妥当性、人権の尊重、個人情報保護等の観点から研究毎に院内の倫理審査委員会において審議し、患者さんからの「個別同意」を取得し研究を開始します。しかし、「診療に伴い発生する試料・情報」は多種多様です。また、既に転居等の理由により「個別同意」の取得が困難なこともあります。このような場合、倫理審査委員会で「個別同意」取得の必要性を審議します。倫理審査委員会で「個別同意」取得が不要と判断した場合は、実施する研究の内容等を当院ホームページに公開し、「包括同意」の対象として研究を実施させていただきます。こうした研究への診療情報・試料等の提供は、あくまでも患者さんの自由意思によりますが、不参加の意思表示がない場合は、原則として同意をいただいたものとみなします。

研究への診療情報・試料等の提供によって、患者さんに直接の危険性が及ぶことはありませんが、万一、個人情報等が漏れた場合、患者の皆様が不利益を被る可能性があります。当院では、情報漏洩を避けるため、厳重に機密保持しております。研究によって得られた成果を学会や学術誌などに発表する場合個人が特定されることはありません。

提供いただいた資料を用いた研究の成果によって、特許権などの知的財産権などが生じる可能性がありますが、その権利は当院を含む研究組織などに帰属し、患者さんには帰属しないことをご了承ください。

患者さんの個人情報の第三者への提供

医療安全や患者サービスの向上、医療保険事務、入退院等病棟管理、会計・経理事務等のため、以下の記載の事由に該当する場合、予め説明し同意をいただくことなく、「包括同意」の対象として第三者への情報提供を行うことがあります。

ご家族等への病状説明
他医療機関、薬局、介護サービス事業者、および社会福祉施設等との連携
外部医師等の意見・助言等の依頼
外部業者への検体検査等の委託
医療保険事務の委託、審査支払機関へのレセプト提出、あるいは審査支払機関・保険者からの照会
医師賠償責任保険等に係る、医療関連専門団体や保険会社等への相談・届け出
医薬品等の製造販売後調査
病院機能評価など外部監査機関等への情報提供
法令に従った診療情報の提供(全国がん登録など)
医療・介護サービスや業務の維持・改善
手術・治療情報の学会への登録(一般社団法人National Clinical Databaseの事業など)

医学・医療の発展・進歩への貢献

当院では、医学・医療の発展・進歩に寄与するために、症例検討会の開催、学会や学術誌等での発表など積極的に推進しています。その際は、患者さんの情報は匿名化した上で、予め説明し同意をいただくことなく、「包括同意」の対象として情報を利用させていただくことがあります。なお、十分な匿名化が困難な場合は、患者さんからの「個別同意」をいただく手続きをさせていただきます。

学生および研修生の見学

当院では、医学生や看護学生、および研修生を受け入れて、指導者の下に教育しています。医学生・看護学者・研修中の看護師や医師等が、診察に同席させていただくことがありますが、予め説明し同意をいただくことなく、「包括同意」の対象としてご理解とご協力をお願いいたします。

医療安全上の予防策(身体拘束)

当院では、特別な場合を除き、原則として身体拘束は行わない方針です。特に、転倒予防を目的とした拘束は行いません。安全確保には十分に注意いたしますが、予期せぬ転倒や骨折、打撲による内出血などのリスクを完全に避けることは出来ません。なにとぞご理解をお願いいたします。
しかしながら、患者さんの生命や身体を守るために他に方法がないと思われる場合には、必要最小限の範囲時間で身体拘束を行うことがあります。実施にあたっては、多職種で検討の上、本人ないしご家族の同意取得を原則といたしますが、緊急やむを得ない場合には、あらかじめ同意がなくても実施することがあり得ます。その際には、事後に事情をご説明し、あらためて同意いただけない場合には中止いたします。
なお、ここでいう身体拘束とは、病棟等において帯や衣類などを用いて、物理的に身体の動きを抑える処置を指します。手術、放射線治療、CT、MRI検査等における身体の「固定」や、モニターやセンサーマット(ベッドサイドに足をついたことを知らせる器具)などの使用も、広い意味では拘束にあたりますが、この説明の範囲外とさせていただきます。

「包括同意」のお願い

「包括同意」をお願いする対象につき上記に記載しましたが、これらに「包括同意」をするか否かは、皆さまの自由意思によります。また、一度同意をした(不同意の申し出をしなかった)後でも、同意をいつでも撤回する(不同意の申し出をする)ことができます。繰り返しになりますが、不同意の意思表示がなされない限りは、同意されたものといたしますので、なにとぞご了承くださいますようお願いします。

同意しない場合や同意を撤回する場合は、主治医・担当医にご連絡いただく、あるいは外来受付または病棟ナースステーションにお申し出でください。

その他、この「包括同意」全般に関わるご質問等は、医事課(患者の声相談窓口)にお気軽にお問い合わせください。内容によっては他部署を紹介いたします。

令和4年11月1日
東京都立多摩総合医療センター 院長

付録1 診療上必要な危険性の極めて低いとされる一般的な検査や処置について
(1)【一般項目】問診、視診、身体診察、体温測定、身長測定、体重測定、血圧測定、リハビリテーション、栄養指導、食事の決定、カメラ・ビデオ等による患部撮影等
(2)【検査・モニター】血液学検査(血液等の採取、B型肝炎、C型肝炎、HIV検査など含む)、鼻咽頭ぬぐい液検査、血糖測定、尿・糞便等検査、髄液検査、微生物学的検査(痰・唾液等の採取)、検体の病理・細胞診検査、生理機能検査(心電図検査、脈波検査、呼吸機能検査、脳波検査、超音波検査、筋電図検査等)、X線一般撮影検査,X線透視撮影検査、造影剤を用いないCT・MRI検査、体組成検査、心理検査、経皮酸素飽和度測定検査,動脈圧測定検査、各種モニター(麻酔薬の効果をみるモニター、筋弛緩モニター等)、皮内反応検査、鼻咽頭内視鏡検査など
(3)【処置】静脈血採血、動脈血採血、動脈留置針挿入、痰等の吸引、緊急の気管挿管、胃管カテーテル、膀胱留置カテーテル、う歯・歯周病・義歯の検査と治療、口腔ケア、マウスピース作製や装脱着、チューブやドレーン類の固定・脱着、創傷の処置、抜糸、抜釘、小皮膚切開(排膿)術、縫合、ドレーン挿入・抜去、褥瘡の処置、簡単なデブリードマン、涙管洗浄、ブジー挿入、鼻内処置、口内処置、睫毛脱毛、爪切り、点眼処置、関節穿刺、ギブスの装着と取り外し、弾性ストッキングの装脱着、観血的空気圧迫装置の使用、浣腸、摘便など
(4)【投薬・注射】通常の投薬、注射(静脈内、筋肉内、皮下)、点滴(末梢静脈内留置針挿入、持続皮下留置針挿入)、局所麻酔、酸素投与等。

上記の診療行為は、一定以上の経験を有する者によって行われますが、それでも、出血、痺れ、麻痺、アナフィラキシーショック、表皮剥離、褥瘡、その他予期せぬ合併症を伴うことがあり得ます。このような合併症の治療は通常の保険診療として行われます。あらかじめ、ご理解いただきますようお願いいたします。