先天性心疾患・小児循環器センター ご案内

概要ご案内

多科連携カンファレンス


心疾患カンファレンス(週1回:循環器科、心臓血管外科、麻酔科、集中治療科)

 小児心疾患の患者さんについて、病歴や画像検査をもとに、検査や治療の方針を検討します。その結果、手術が決まった患者さんについては、手術の時期、方法、全身麻酔や人工心肺の方法、術後の呼吸循環管理について討議し、綿密な準備をして手術に臨んでいます。

成人先天性心疾患カンファレンス(月1回:循環器科、心臓血管外科[小児、成人]、麻酔科、集中治療科、新生児科、循環器内科、産婦人科)

 先天性心疾患、小児後天性心疾患と診断され、成人になられた患者さんや、妊娠、分娩をひかえた患者さんについて、病歴や画像検査をもとに、検査や手術の方針を決定します。患者さんの年齢や手術の方法によっては、東京都立多摩総合医療センター心臓血管外科で手術を受けていただくこともあります。心疾患患者さんの妊娠については、心疾患の種類・重症度により、分娩に至るまで心臓の負荷を予想し、妊娠中の治療、適切な分娩時期・方法について検討し、合併症のない分娩を目指しています。

周産期カンファレンス(週1回:新生児科、産婦人科、循環器科)

 先天性心疾患の胎児診断がされた母子患者さんについて、母体の状況、児の心疾患を考慮し、適切な分娩時期と方法、出生後すぐに必要となる処置、治療について検討し、事前の径計画に基づいた分娩、出生後の新生児医療を行っています。

診療体制


検査

 心臓カテーテル検査(年約120例)、経胸壁心エコー・経食道心エコー検査(年約10,000例)、運動負荷試験(年約150例)、ホルター心電図検査(年間約300例)と診断を、技師と協力の下循環器科が行っています。また、産婦人科の胎児スクリーニングエコー検査で先天性心疾患が疑われた場合、循環器科による胎児心エコー検査(年約300例)で確定診断し、適切な分娩時期、方法、出生後の治療を検討しています。

治療

 心臓カテーテル治療を年約150例行っています。心臓カテーテルによる大血管・弁形成術や、側副血管に対するコイル塞栓術の他、より専門的な心房中隔欠損、動脈管開存に対する閉鎖術、肺動脈弁閉鎖不全に対する弁留置術を行い。特に動脈管開存に対しては、体重700gの超低出生体重児から経カテーテル閉鎖術が可能となりました。

手術

 単純型先天性心疾患から、多段階手術が必要な複雑型先天性心疾患まで、あらゆる先天性心疾患の手術を行っています(年間約120例)。胎児診断される心疾患は複雑型が多く、出生前から手術の方法と時期を検討し、負担が少なく、より安全な手術を選択しています。また、先天性心疾患や劇症型心筋炎による重症心不全や、先天性気管狭窄による重症呼吸不全の患者さんが全国から搬送されることが多いため、体外補助循環装置の迅速な導入の経験が豊富です。

外来

 東京都立小児総合医療センターにおける循環器外来(週4回)、ペースメーカー外来(月1回)、および隣接する東京都立多摩総合医療センターにおける成人先天心疾患外来(循環器内科: 週1-2回)、胎児心エコー外来(産婦人科: 週2回)を、病院間の垣根なく行っています。

各部門紹介

 
循環器科

 心疾患の診断や内科的治療を担当します。出生前には胎児心エコー検査で診断し、出生後の経過を予測し、計画的に対応します。出生後は主に心エコーやCT検査で出生前診断を確定し、心疾患の種類や程度によって、薬剤による治療や、心臓カテーテル検査・治療を行います。心臓手術が必要な場合は、万全の状態で臨めるように、内科的管理を行います。治療後も外来で心臓の状態を良好に維持できるように、定期的な診察・検査、必要により投薬を継続します。

心臓血管外科

 先天性心疾患の外科的治療と不整脈疾患へのペースメーカー植込み、および循環呼吸不全に対する補助循環治療の導入等を担当します。小児総合病院の強みを生かして、入院から手術、術後管理、退院に至るまで一貫したチーム医療を行っています。心臓血管外科医5名(心臓血管外科専門医4名)体制で、安全かつ確実な手術とご本人・ご家族への適切かつ充分な説明を最重要と考えています。

新生児科

 最良の状態で手術に臨めるよう、新生児集中治療室で人工呼吸器管理、薬物療法、一酸化窒素療法、窒素療法など、あらゆる治療を行いながら集中管理を行います。院外で出生の場合は、新生児専用救急車で出動・搬送します。

集中治療科

 ECMOを含めた医療デバイスを用いて術後管理を、また全国より患者搬送を行います。
少しでも早く回復、一般病棟・ご自宅へ戻れるよう、「児と家族」を中心におき、
医療チームのハブとなることを心がけ、先を見越した診療を行います。

救命救急科

 当院ERは、心疾患のあるお子様に対しても24時間365日あらゆる病態や怪我に対応します。また、未診断の心疾患が疑われる病態が疑われた際には速やかに専門診療科と共に診断と治療を開始します。安心して救急受診できる体制を関係各科と連携して構築しています。

麻酔科

 心疾患患者の麻酔管理を担当します。心臓外科手術はもとより心臓カテーテル検査の麻酔も担当します。新生児から成人まで、先天性心疾患患者の安全な周術期管理のために、経験豊富なスタッフで対応します。

放射線科

 心疾患の画像診断を担当します。心拍の速い小児心疾患に最適な320列高速マルチスライスCT、四次元血流解析が可能な1.5テスラMR、低被ばくで心筋血流や脂肪酸代謝等が解析可能な心電同期核医学撮影機器を使用して、質の高い画像診断をめざしています。

循環器内科(東京都立多摩総合医療センター)

 成人先天性心疾患専門医である部長の下、移行後の外来および入院診療を行っています。また専門分野である不整脈については、小児患者さんに対しても、薬物治療やカテーテルアブレーションを行っています。


心臓血管外科(東京都立多摩総合医療センター)

 成人先天性心疾患の手術を担当しています。以前は成人になって初めて先天性心疾患と診断され手術となる方が多かったのですが、近年は小児期に手術をされた方が成人となり、成長による体型とのミスマッチや生体弁や形成弁の劣化などにより手術が必要となったため紹介されることが増えてきております。術前にカンファレンスで検討し、一人一人に合った術式を選択し、小児チームの先生と合同で手術をすることもあります。

産婦人科(東京都立多摩総合医療センター)

 赤ちゃんの診断だけでなく、お母さんの体も心もサポートします。ベストなコンディションでの出産を目指して、定期的に超音波検査などを行い妊娠分娩対応します。胎児期から生後の診療へスムーズに移行できるよう密に情報共有しています。

臨床工学技士室

 手術室、PICU、NICU、心臓カテーテル検査室、病棟において、人工呼吸器、各種医療ガス、ペースメーカー、人工心肺装置、透析装置、体外式膜型人工肺(ECMO)などの医療機器の導入、管理、保守を担当します。緊急時も迅速に対応しています。

診療放射線科(技師)

 診療放射線科では、単純X線撮影、CT、MRI、心臓カテーテル、核医学検査を担当しております。放射線画像検査の品質を維持しながら、被曝線量の低減に取り組んでおります。また、患児の成長しながら頑張る力を引き出し、安全に検査を行える環境づくりを目指しています。

検査科

 生理検査室・採血室として検査技師が乳幼児を含む採血、心電図、心エコー検査を担当しています。心エコー検査では川崎病における冠動脈の観察を始めとして、乳幼児の心雑音精査、心疾患手術後の経過観察の一部を行っています。

看護部(病棟)

 生活全般の援助が必要な新生児、乳幼児が多い循環器疾患では、患児の啼泣が循環に影響を及ぼすリスクがあります。啼泣の機会を少なくできるよう、保育士と協同して看護にあたっています。また、退院後も酸素、人工呼吸器の使用や経管栄養など在宅医療ケアが必要な場合があり、医療ソーシャルワーカーや地域の訪問看護ステーションと連携した退院支援にも力を入れています。

看護部(移行外来)

・役割
移行担当看護師は、小児期発症の慢性疾患を持つ患者の自立(自律)に向けた支援と保護者の役割を支援しています。
・実績
年間、約650人の自立支援と70人程度の成人診療科への移行実績があります。

子ども家庭支援部門

 看護師、メディカルソーシャルワーカー、保育士のチームで、心臓カテーテル検査入院のプレパレーション、退院後の在宅医療の導入や、学校、訪問看護ステーション、訪問診療医との調整を行い、スムーズな入院、外来医療の支援を行っています。

ご予約、お問合せ

 東京都立小児総合医療センター予約センター専用番号(042-312-8200)で、循環器科初診外来の予約をお取りください。
成人先天性心疾患外来を受診される際には、東京都立多摩総合医療センター予約センター専用番号(042-323-9200)または病院ホームページの初診Web予約から、循環器内科の予約をお取りください。ご紹介元の診療情報提供書が必要になります。
胎児心エコー外来については、まずご紹介元の産科の先生から、東京都立多摩総合医療センター産科ハイリスク初診外来か、胎児超音波外来を予約いただき、受診いただいた後、産科で調整いたします。