リウマチ膠原病研修について

多摩南部地域病院におけるリウマチ膠原病研修について

当院では2017年度よりリウマチ膠原病科専門医が常勤医として着任して以来、専門臨床研修にも力を入れており、日本リウマチ学会の教育施設にも認定されています。リウマチ膠原病診療というと、高用量のステロイド剤で長期入院というイメージがあると思いますが、生物学的製剤を始めとした効果の高い治療の出現により、診療の中心は外来にシフトしてきています。今後もその傾向はさらに強まっていくと考えられますので、当科では専攻医が積極的に外来診療に参加できるような体制をとっています。またリウマチ膠原病診療に欠かせないツールとなっている関節超音波も、複数台を外来に配置し、積極的に活用しています。多摩地域最大のリウマチ膠原病科で、リウマチ膠原病研修のメッカとなっている東京都立多摩総合医療センターとも密な連携をとっており、人材交流も盛んです。

充実した外来研修

当科では初診を研修の場として、重要視しており、専攻医が積極的に担当します。リウマチ膠原病外来の初診には、関節痛だけでなく、しびれ、手の冷え、倦怠感など様々な主訴の患者さんが受診されます。これらの患者さんを適切に診断するためには、リウマチ膠原病の知識はもちろんですが、他の領域の知識も求められるため、内科の総合的なスキルが向上します。リウマチ膠原病科は「関節」を診る内科ですので、整形外科的な徒手検査を含め、筋骨格系診察の習得もできます。診察終了前に上級医も診察を行い、鑑別診断と必要な検査を一緒に考えますので、不安はありません。夕方のカンファレンスでは、すべての初診患者のレビューを行い、更に考察を深めます。
主に初診で担当した患者をフォローアップするための再診外来も設けられています。これによって、診断をつけるだけでなく、治療導入や副作用モニタリングなどの経験を積めます。指導医とともに外来予習も行い、対応に迷うことがあれば、外来中でもアドバイスを求めることができます。
2022年度から電子カルテの二次システムとしてリウマチ診療支援システムを導入しました。関節リウマチ患者さんの自己評価、関節所見、総合疾患活動性指標などの把握が容易になり、標準的な関節リウマチ診療がしやすくなりました。

カンファレンス
リウマチ診療支援システム

技術習得

現在のリウマチ膠原病診療には、関節超音波は必須の技術と考え、定期的に勉強会を行っています。前述のとおり外来に複数台の超音波を配置しており、学習した知識、技術を診療で実践することによって定着させることができます。
関節穿刺はリウマチ膠原病科医によって基本手技であり、専攻医も積極的に実施します。ある程度習熟するまでは、上級医の指導下で行います。ブラインド法よりも正確に穿刺できる超音波ガイド下穿刺を基本としています。
口唇唾液腺生検、側頭動脈生検、筋生検、骨髄穿刺などの手技も自科で行っているため、習得が可能です。2019-2022年度の4年間での実施件数は口唇唾液腺生検32件、側頭動脈生検15件、筋生検34件、骨髄穿刺31件となっております。

知識習得

リウマチ膠原病科も他の領域と同様に、日々常に新たな疾患概念、検査法、治療法などが生み出されています。論文等を読み込んで、その進歩についていくことが必要ですが、日常診療の中で実践することは容易ではありません。当科では効率的に学習するために、定期的に抄読会を行っています。他の都立病院のリウマチ膠原病科とのwebカンファレンスも週1回行っており、多方面から新しい知識が入るような環境になっています。

妙読会
WEBカンファレンス

院外研修

当院は中規模病院のため、脳神経内科、血液内科、腎臓内科、感染症科などの常勤医がいません。リウマチ膠原病科は全身性疾患を扱うことが多いため、これらの診療科での診療経験はリウマチ膠原病科医にとって、強みになります。当院での研修はできないのですが、多摩総合医療センター、駒込病院、多摩北部医療センター、神経病院などの都立病院で、専門的な研修を行うことが可能です。

学術活動

我々は当科での診療経験を発信することを重要視しており、専攻医にも学会発表を積極的にしてもらっています。また英文での症例報告も手厚くサポートして、下記のような実績を挙げています。

  • Kanematsu, et al. Late-onset COVID-19-induced Hemophagocytic Syndrome. Intern Med. 2021 Nov 1;60(21):3511.
  • Karakida, et al. Granulomatous vasculitis presenting as annular erythema in neurosarcoidosis. Rheumatology (Oxford) 2022 Aug 3;61(8):e252.
  • Okuno, et al. SAPHO Syndrome Accompanied by Thoracic Outlet Syndrome. Intern Med.2022 Jul 29. Online ahead of print.

このように、多摩南部地域病院のリウマチ膠原病科は、専門医を目指すための知識や技術を養う環境が整っています。興味をお持ちいただけましたら、是非見学にいらしてください!!!