血液検査 結果の見方について

2019年1月31日 臨床検査科

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投稿者:臨床検査科 部長 出江 洋介 (臨床検査科のページ

病院でもらう血液検査の結果でどんなことがわかるかご存じですか?
血液検査の結果には、項目と数値は書いてありますが、どういう意味があるかまでは書いてありません。検査のデータは、あなたの血液に含まれているなんらかの物質の量を測定しているわけですが、その物質名が項目に書かれています。まず各項目の意味、特性を理解することが重要です。
検査値が高値であったり、低値であったりすると、それが体のどこか臓器の異常を示していたり、なんらかの疾患と関係している場合があります。

目次

血液検査でわかること

血液検査では、次のようなことがわかります。

  1. 肝機能
  2. 心機能
  3. 腎機能
  4. 膵機能
  5. 血糖の状態
  6. 脂質の状態
  7. 電解質の状態
  8. 炎症の状態
  9. 血液細胞(白血球、赤血球、血小板)の状態

それぞれの内容について以下で見ていきましょう。

血液検査の各項目の意味

肝機能の検査(肝臓と関係する項目)

肝臓は、様々な物質の代謝をしたり、体に必要なものを合成する重要な臓器です。肝機能の障害は、肝臓で合成されるものが減ったり、肝臓の細胞が壊れて細胞中の酵素が血液中に増えることで診断します。

アルブミン

肝臓で合成され、血清総蛋白の約60%を占めています。肝機能障害の他、全身の栄養状態を反映します。

AST・ALT

アミノ酸を作るのに必要な酵素です。この2つの酵素は肝臓にたくさん存在するため、肝臓の細胞がダメージを受けて壊れると血液中に漏れ、値が高くなります。

γ-GTP

アルコールやお薬を摂取すると敏感に反応する酵素です。長期にわたり飲酒していると上昇しますが、禁酒によって低下します。

ALP

肝、骨、胎盤、小腸に由来する酵素です。肝胆道疾患、骨の病態をチェックします。

LDH

あらゆる組織に広く分布し、心疾患、肝疾患、悪性腫瘍、白血病などで上昇します。疾患の特異性は、あまりありません。

総ビリルビン

胆汁色素の主成分で、肝胆道疾患の診断に用いられます。ビリルビンが作られてから排泄されるまでの過程のどこかに障害があると、血液中のビリルビンが増加し、黄疸の症状がでます。

心機能の検査(心臓と関係する項目)

心臓は、全身に血液を送るポンプの働きをしています。通常安静時で1分間に60~80回程度、規則正しく収縮しています。心筋が障害されると心筋細胞に含まれる酵素が血中に増加します。

CK

骨格筋、心筋、脳、平滑筋など広く分布する酵素で、高値の場合はこれらの臓器の障害を反映します。

CKーMB

心筋由来のCKを表します。心筋梗塞の早期診断に有用です。

腎機能の検査(腎臓と関係する項目)

腎臓は、血液中の老廃物を濾過して尿中に排出しています。腎機能が低下すると、そういった老廃物が血液中に増加します。

尿素窒素(UN)

たんぱく質の最終分解産物です。血液中のUNは腎臓で排泄されるため、腎機能が低下すると血液中の値は増加します。

クレアチニン(Cr)

筋肉の老廃物で腎臓から排泄されるため、腎臓の機能が低下すると血液中の値は増加します。

尿酸(UA)

プリン体の最終代謝産物です。腎機能障害の他に痛風、関節炎などの診断に用いられます。

膵機能の検査(膵臓と関係する項目)

膵臓からは膵液という強力な消化液が分泌されますが、その中にAMY(アミラーゼ)という糖質を分解する酵素が含まれています。食べ過ぎ、飲み過ぎで膵液が大量に分泌されると、やはり膵液に含まれる蛋白分解酵素によって膵臓自体が消化され、膵炎を起こします。

AMY

膵臓と唾液腺に多い酵素です。膵炎や耳下腺炎などのスクリーニングと経過観察に使います。

AMY-P型

膵臓由来のアミラーゼです。膵炎などの診断に使います。

血糖の検査(糖尿病と関係する項目)

糖尿病は、膵臓からのインスリン分泌の問題で空腹時血糖が上昇し、慢性的に血糖が高い状態となり、全身の血管内皮が障害され、血行が悪くなることで様々な臓器の障害を引き起こします。

血糖(Glu)

血液中のブドウ糖量です。一般に空腹時は低く、食後に上昇します。その他、運動、喫煙、ストレスなどによっても大きく変動します。医師に、何時ごろ食事をしたかをお知らせください。

グリコヘモグロビン(HbA1c)

赤血球の中にあるヘモグロビンの一部とブドウ糖が結合して、グリコヘモグロビンになります。一度作られると、その赤血球の寿命が尽きるまでの間、血液中に残っています。このため、血液中のグリコヘモグロビンの割合を調べることで、過去1~2ヶ月の血糖の状態を知ることができます。

脂質の検査(高脂血症と関係する項目)

コレステロール

体の細胞膜やホルモンを合成するのに、必要な成分です。食べ物から取り入れたり、肝臓や小腸でつくられます。HDL型とLDL型があります。血液中のコレステロールの量が増加すると動脈硬化が起こり、様々な病気の原因となります。血液中の余分なコレステロールを肝臓に運ぶのがHDLーコレステロールで「善玉コレステロール」と呼ばれ、細胞にコレステロールを運ぶのがLDLーコレステロールで「悪玉コレステロール」と呼ばれます。

中性脂肪

活動のエネルギー源です。使われず余った分は、皮下脂肪として蓄えられます。食後に血液中の値が上昇するため、食前に採血します。

電解質の検査

細胞の浸透圧や筋肉、神経の働きを調節したりします。

Na, Cl

水分、浸透圧の調節などに関与します。NaとClはほぼ並行して変動します。

浸透圧および酸塩基平衡に関与します。多くは細胞内に含まれ、腎不全などで高値になります。

炎症の検査

肺炎、膀胱炎などの炎症性疾患の診断に役立ちます。

CRP

体内で炎症反応や組織の破壊が起きている時に血中に現れるタンパク質です。炎症性疾患で鋭敏に上昇し、病態の改善後速やかに低下するため、病態の診断、予後の判定、治療効果の観察に役立ちます。

血液細胞(白血球、赤血球、血小板)の検査

血液細胞の数を数え、その形態を観察する検査のことを血球計数検査(血算)といいます。血液細胞は、主に赤血球系、白血球系、血小板系の3種類に分けられます。

白血球

風邪を引いたり細菌に感染すると白血球は数を増やし、外敵から身を守ろうとします。その逆に、白血球が減ると免疫力が減少して感染しやすくなります。

赤血球

数が増えすぎると細い血管を詰まらせる原因になり、少なすぎると酸素が運ぶ量が減り、ふらついたり、息苦しくなります。

血小板

止血の働きがあるため、増えすぎると固まりやすくなり、細い血管を詰まらせる原因となります。また、減りすぎると出血が止まりにくくなります。

基準値とは

基準値というのは95%の健常人がその中に入る値で、逆に言うと、5%の人は健常人であってもそこに入りません。以前は「正常値」という言葉を使いましたが、男女や年齢によっても基準範囲は異なるため、基準値の範囲からはずれたらすぐに異常だという誤解を生まないために「基準値」という言葉を使うようになりました。
検査結果は、食事や運動、採血した時間によっても影響が出ます。基準値とは、あくまでも目安の値と考えていただいてもよいかもしれません。
また、施設によっても基準範囲は異なります。これは、検査方法が異なるためですが、患者さんにとっては不便なことだと思います。検査方法をそろえて基準値をそろえていこうという動きは、国内でも国際的にも少しずつ見られるようになってきました。

執筆者紹介

出江 洋介(いずみ ようすけ)

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がん・感染症センター都立駒込病院 臨床検査科 部長・患者サポートセンター長
専門分野:消化器外科・食道外科・内視鏡外科
資格:医学博士、日本外科学会専門医・指導医、日本消化器外科学会専門医・指導医、日本消化器病学会専門医、食道科認定医、食道外科専門医、癌治療認定医、日本消化器内視鏡学会専門医、東京医科歯科大学 臨床教授

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