整形外科・関節疾患治療センター

診療科のご案内

安全で安心できる質の高い医療を提供する公的病院です。

当科について

大塚病院整形外科では、整形外科に関節疾患治療センターを併設しており人工股関節、人工膝関節、脊椎の手術経験が豊富です。筋肉を切らない最少侵襲手術(MIS)と術中術後の多角的疼痛管理により痛くない手術を行っています。

大塚病院整形外科の目標は、安全で安心できる質の高い医療を提供することです。6名の整形外科医により、関節疾患、脊椎疾患、手外科、足の外科などを中心にあらゆる部位の整形外科診療に従事しています。
紹介予約制でありますため、通院中の整形外科やかかりつけの内科の先生から紹介状をいただいてご来院ください。ご紹介状をお持ちの場合は、予約がない場合もお受けいたします。外傷などの緊急の場合は、即時対応いたしますのでお問い合わせください。地域の医療機関と連携し、外傷から慢性疾患まで幅広い整形外科疾患の手術、保存療法を行っています。
2人主治医へのご理解:当院での診察治療の後に、ご紹介いただいた病院や地域のクリニックの先生方のもとで包帯交換やリハビリ・投薬継続など保存的な治療を行っていただきます。当院と合わせて「2人主治医制」として診療させていただいております。

臨床実績(手術件数1~12月)

項目2019年2020年2021年2022年2023年
総手術件数673574498629661
脊椎2518508778
上肢手未統計36425489
下肢212124157183163
外傷273343208247282
リウマチ3314121417
スポーツ 未統計62719
小児 未統計 2618105
腫瘍 未統計578

人工関節手術実績(手術件数1~12月)

項目2019年2020年2021年2022年2023年
人工股関節置換術7870716675
人工膝関節置換術10550687382

外来診療日

午前中は一般整形外科診療を行っております。午後は特殊専門外来を行っています。(午後は手術のため一般外来は行っていません。)
特殊専門外来: 
膝と足の専門診(第1、3木曜午後)担当:豊島洋一
脊椎脊髄病診(第2、4火曜午後)担当:松岡彰

時間帯月曜日火曜日水曜日木曜日金曜日
9:00~12:00豊島
石田
松岡新倉
(第1.3.5)
松岡
(第2.4) 
豊島
和田
豊島
(第2.4)
石田
(第1.3.5)
三部新倉三部
午後 脊椎脊髄病診
(第2.4)
 膝と足診
(第1.3)
 

スタッフ紹介

氏名資格専門分野
三部 順也
みべ じゅんや
(院長)
  • 日本整形外科学会専門医
  • 日本脊椎脊髄病学会脊椎脊髄外科指導医・専門医
  • 日本リウマチ学会指導医・専門医
  • 日本整形外科学会認定リウマチ医
  • 日本整形外科学会脊椎脊髄病医
  • The Best Doctors in Japan
関節リウマチ
人工関節
関節外科
脊椎外科
豊島 洋一
とよしま よういち
(部長)
  • 日本整形外科学会専門医・認定リウマチ医
  • 日本リウマチ学会評議員・指導医・専門医
  • 日本骨粗しょう症学会認定医
  • 日本足の外科学会認定医
  • 日本リウマチ財団登録医
  • 身体障碍者福祉法第15条第1項指定医
  • 難病指定医
  • 臨床研修指導医
足の外科
人工関節
関節リウマチ
松岡 彰
まつおか あきら
(医長)
  • 日本整形外科学会専門医
  • 日本整形外科学会認定運動器リハビリテーション医
  • 日本脊椎脊髄病学会脊椎脊髄外科指導医
  • 身体障碍者福祉法第15条第1項指定医
  • 臨床研修指導医
脊椎外科
新倉 勢市
にいくら せいいち
(医員)
  • 日本整形外科学会専門医
  •  
骨折外傷
関節外科

石田 憲太朗
いしだ けんたろう
(医員)
  • 日本整形外科学会所属
整形外科
和田 一輝
わだ かづき
(医員)
  • 日本整形外科学会所属
整形外科

専門分野・特色

  1. 人工股関節置換術、人工膝関節置換術

    患者さんの体一人一人に合わせた、「患者適合型手術器械」を使用しています。人工関節手術ではロボットサージャリーやナビゲーションシステムが趨勢です。当院では、さらに進んだ一人一人の体に合わせて3Dプリンターを用いて作成された適合ガイドを使用して手術を行っています。

    3Dプリンター
    人工関節は、毎年全国で6万件以上行われています。大塚病院整形外科でも非常に多く手術を行っています。最小侵襲手術(MIS)を導入しています。人工股関節置換術(THA)は股関節前方から8cmの皮膚切開創でアプローチします。筋肉を切離しないため術後の回復が早く、脱臼のリスクもほとんどありません。手術の翌日から歩行練習を開始し、1週間程度の入院で自宅退院が可能です。正座やスポーツも可能となり、原則的に日常生活に制限はありません。人工膝関節置換術(TKA)では両側同時手術も多く行っています。両膝の痛みを一回の手術で治療でき、ドレーンクランプ法により出血を抑え、両側例でも輸血はほとんど必要ありません。術後の疼痛対策にも力を入れており、痛みのない手術を目指しています。また症例に応じて内側のみを置換する、より低侵襲の膝関節片側置換術を行っています。いずれの手術も正確で合併症を起こさない手術を心がけています。

    (外部リンク)

    【三部 順也】 手術の後は、今まで痛みのためにできなかったことをどんどんやってください。そのための人工関節です。|先生があなたに伝えたいこと | 人工関節と関節痛の情報サイト 【関節が痛い.com】 (kansetsu-itai.com) (外部リンク) 
    筋肉を切らない手術法|【三部 順也】筋肉を切らない手術法で、人工股関節手術後の生活上の制限は格段に少なくなりました。ぜひ、日々の生活を楽しんでください。 (kansetsu-itai.com)(外部リンク)
  2. 脊椎手術

    首から腰までの脊椎疾患をより専門的に診察し治療を行っています。
    手足のしびれや痛み、頚部痛や腰痛などに対して内服治療や神経根ブロック注射も行っていますが、それらの治療で十分な効果が得られない患者様には日本脊椎脊髄病学会 脊椎脊髄外科指導医が手術治療を行っています。
    対象となる主な疾患は、腰部脊柱管狭窄症、腰椎すべり症、腰椎椎間板ヘルニア、頚髄症、頚椎椎間板ヘルニア、脊柱変形側弯症などです。
    脊椎圧迫骨折の新しい治療法BKP治療(バルーン カイフォプラスティ)も行っています。脊椎圧迫骨折によってつぶれてしまった椎体を、骨折前の形に近づけ、椎体を安定させ、痛みをやわらげる治療法です。
    腰椎椎間板ヘルニアに対しては、ヘルニコアという薬剤を用いて局所麻酔下で椎間板を構成する髄核を融解することで、脱出したヘルニアの圧を下げて、疼痛を緩和させる椎間板(髄核)融解術を行っています。

    腰部脊柱管狭窄症

    腰部脊柱管狭窄症とは、加齢など様々な原因で骨・関節・靭帯・椎間板が肥厚し、脊柱管(神経が通る管)が狭くなることで、腰椎椎間板ヘルニアと同様に坐骨神経痛が出現する病気のひとつです。
    当院での主な手術方法としては、椎弓切除術という椎弓を部分的に切除し、肥厚した靭帯を切除することで脊柱管を拡大させる方法を行っています。

    腰部脊椎管狭窄症
    腰椎椎間板ヘルニア

    腰椎椎間板ヘルニアとは、脊椎のクッションである椎間板の中身である髄核が外側部の線維輪を破り脊柱管に突出することで神経を圧迫し炎症を引き起こします。
    当院では、突出したヘルニアと髄核を摘出する椎間板摘出術を行っております。腰部の筋肉へのダメージは最小限に手術を行うことで術後の痛みも最小限にとどめる事が可能となります。

    腰部椎間板ヘルニア

    また、腰椎椎間板ヘルニアの患者さんに対して椎間板内酵素注入療法(ヘルニコア注入)による治療を行なっております。ヘルニコア(コンドリアーゼ)は日本で開発され、2018年に承認された薬です。神経に直接触れないため神経損傷や合併症のリスクを減らせることが特長です。手術と比較して患者さんへの負担が小さいのが利点です。当院では日帰り、もしくは1泊2日の入院で実施しており、早期の社会復帰が可能です。
    ※本治療は適応が限られており、ヘルニアのタイプや症状によっては他の治療方法をお勧めする場合があります。

    椎間板内酵素注入療法

    椎間板内酸素注入療法
    椎体圧迫骨折

    骨粗鬆症に骨脆弱性が原因となり日常生活の軽微は動作や、尻もちをついて起きる脊椎骨折のひとつです。
    装具や内服治療である程度の疼痛緩和は得られますが、多くの場合において日常生活動作に大きな障害を及ぼす骨折であり、初回の骨折が原因となり二つ目三つ目と続発性骨折を引き起こすことも多くあります。
    当院では、骨粗鬆症の専門的治療の早期導入とBKP(経皮的椎体形成術)を行なうことで疼痛の早期改善を行なっております。骨折の部位や程度に応じて脊椎後方固定術も併用し強固な固定を追加することもあります。

    BKP
    BKP後方固定術

  3. 足の外科

    日本足の外科学会認定医が常勤しています。
    特に豊島区、文京区にお住いの患者さんは、わざわざ遠方の病院で手術をうけることなく地元の病院で足の専門診療を受けることができます。

    日本足の外科学会の病院情報ページに掲載されています。

    病院情報 | 一般の皆様 | 一般社団法人日本足の外科学会 (jssf.jp)(外部リンク)

    足や足首の病気やケガを専門的に診断・治療することができます。手術だけではなく、リハビリや装具などによる保存的治療も行います。保存的治療で症状が改善しない場合には、手術を検討します。対象となる主な疾患は、変形や外反母趾などの足の機能障害、足関節不安定症、足関節の捻挫などです。

    外反母趾

    足の母趾が外側に曲がり、つけ根の関節の内側の突き出したところが痛みます。同時に第2足趾の下に潜り込み、第2足趾の変形を起こします。突出部が靴に当たって痛むことが多いです。
    初期の場合は夜間や歩行時に装具やインソールを使用すると痛みが落ち着くことが多いです。変形の進行は、本人の年齢や背格好、家系的な因子が関係しており、抑えることはなかなか難しいです。痛みが強まり、靴を履いての歩行がつらくなった場合は手術の適応となります。
    外反母趾の手術法にはいろいろありますが、当院では軽度から中程度の変形までは、最小侵襲手術であるDLMO法(第1中足骨遠位直線状骨切り術)を行っています。高度変形に対してはLapidus法(TMT関節固定術)を行っています。
    手術は1時間以内で終了し、翌日から歩行が可能です。従来の靴が履けるようになるのには2ヵ月ほどかかります。

    外反母趾
    足関節靭帯損傷

    足関節の靭帯損傷の患者さんに対して早期かつ安定した症状の改善が可能とされる、足関節鏡を併用したInternal Brace(Arthrex)を使用した靱帯再建補強術を行っています。

    足関節靱帯損傷
    変形性足関節症

    変形性足関節症は、加齢や外傷、関節リウマチなど、さまざまな原因により足関節の軟骨がすり減った状態です。軟骨が消失し、軟骨の下の骨通しがあたり、痛みや歩行障害が起こります。 

    リハビリや装具などの保存療法を行って、症状が改善ない場合に手術を検討します。手術には、骨切り術、関節固定術、人工関節があります。患者さんの年齢や生活活動レベルに合わせた、最小の手術を計画します。
    変形性足関節症

    足底筋膜炎

    朝起きた時にかかとが痛い、歩行時にかかとが痛いという症状があります。原因は、足底腱膜とかかとの骨が付着する部位に、強い牽引力がかかり、踵設置時の荷重による衝撃による、過大な負荷が原因です。
    治療方法は、基本的に保存的治療です。リハビリで、アキレス腱や足底腱膜のストレッチを行います。インソールも効果的です。必要に応じて局所の注射を行います。それでもよくならない時には、手術を検討します。

    足底筋膜炎
  4. 関節温存手術、関節鏡手術

    自分の関節を残す関節温存手術を適応となる患者さんには積極的に取り入れています。O脚変形のために内側(内側大腿―脛骨関節)に偏った過重なストレスを、自分の骨を切り少し角度を変えることにより、比較的きれいな軟骨の存在する外側(外側大腿―脛骨関節)に移動させる脛骨近位骨切り手術を行っています。この手術により脚の形はO脚からX脚に変わります。自分の関節が温存できますので、正座が引き続き可能であり、スポーツや農業などの仕事へ復帰された患者さんが多くいらっしゃいます。術後は、骨癒合が完了するまでは痛みが多少続くことや機能回復にはリハビリをしっかり行うことが必要です。

  5. 骨折などの外傷症例

    当院は2次救急病院でもあり、肩、肘、手などの上肢外傷、股、膝、足などの下肢外傷の患者様も多く搬送され、必要に応じて入院、手術治療を行っています。重症度や適応に応じて当日もしくは数日以内に、さらに地域の中核病院として、近隣医療機関との医療連携の強化も力を入れています。

  6. 手術時の疼痛対策として

    麻酔科医の協力により全身麻酔と腰椎麻酔に加えて、ほぼ全症例に神経ブロック併用麻酔を取り入れています。今までの手術と比較して術後の痛みが軽減され、術後早期に運動開始が可能になりました。

    整形外科
    整形外科スタッフ
    手術
    手術の様子