大動脈解離

病態

大動脈解離は、体の中で一番太い大動脈が裂ける疾患です。血管が破裂してショックになったり、体の血液の循環が無くなるといった症状が一瞬のうち起こります。病院にたどり着く前に50%の人が亡くなるとされる、致死率の高い、急を要する病気です。
大動脈内膜の亀裂により中膜が2層に剥離し、真腔と偽腔に解離する病態で、亀裂部が上行大動脈に存在するStanford A型と、下行大動脈に存在するStanford B型に大別されます。一般にA型偽腔開存例では緊急外科的治療、A型偽腔閉鎖例とB型では降圧療法で保存的に治療します。

病態

原因

大動脈の内膜に傷ができる原因は不明の点もありますが、次のようなことが原因として考えられています。

高血圧

急性大動脈解離を起こした人のうち、70%は高血圧があり、血管に高い圧がかかっていることが、内膜に傷ができやすくなる原因の1 つと考えられています。

血管の病気

血管の壁が弱くなる病気があり、このような病気では大動脈解離を起こしやすいと考えられます。(マルファン症候群、ロイス・ディーズ症候群、エーラース-ダンロス症候群、梅毒など)

妊娠

妊娠中に母体の体内に増えるホルモンが,大動脈の壁に変化を起こすことが知られており、これが原因の1つと考えられています。妊娠後期(妊娠25週以降)と出産後に起こりやすいと言われています。

外傷

高いところから飛び降りたり、交通事故でハンドル外傷などを起こした場合、大動脈に間接的に衝撃が加わって解離を生じることがあります。

大動脈2尖弁

心臓の出口にある大動脈弁は弁尖(弁を形成する扉)が通常は 3 枚ですが,この弁尖が 2 枚である先天性異常では大動脈の壁にも異常を伴いやすく,大動脈解離の発生率は通常の人の5~10 倍と言われています。

症状

血管が裂けている時は,裂けている部分に痛みが生じます。胸の血管が裂けている時は胸痛、背中なら背部痛、腰の部分なら腰痛が生じます。突き刺すような強い痛みが生じます。
また、大動脈が裂けたことにより、解離した大動脈の外膜が破れる(大動脈の破裂)、大動脈の枝の血の巡りが悪くなる(臓器障害)、心臓の出口にある大動脈弁が壊れる(大動脈弁の閉鎖不全)が起こる恐れがあります。

最終更新日:2018年2月28日