組織欠損

主に乳癌術後の再建を行っております。

乳房再建

女性にとっての美しさの象徴でもある乳房は、喪失により非常に大きな精神的苦痛を伴うものです。患者様の要望に応じていくつかの手術方法を選択し治療を行っております。 手術方法は大きく分けて、

があります。

シリコンでできた人工物を利用するもの

シリコンインプラントとよばれるもので、2014年より保険適用となりました。まず、乳癌切除の手術後に、エキスパンダーというシリコン製組織拡張器を大胸筋の下に入れ、それを3ヶ月〜半年かけて少しずつ膨らませる(生理食塩水を注入する)ことで皮膚・筋肉の十分な伸展を図った後、伸展された皮膚が安定する約半年後に、シリコンインプラントに入れ替える手技が一般的です。この方法の利点は、からだの他の部位に傷をつけずに乳房再建ができ、手術時間が短いとう点です。しかし、手術を2回要する点、人工物であるためにやや硬い触感と下垂した胸の表現が難しい点、破損・露出などの人工物特有の合併症リスクがあります。
尚、当院では2次再建のみが施行可能です。以前に他施設で乳癌の治療をされた方に対しての再建も行なっております。

自家組織による乳房再建

主な自家組織移植による乳房再建は、(1)腹直筋皮弁、(2)広背筋皮弁の2通りです。

腹直筋皮弁

腹直筋を利用した再建方法です。将来妊娠出産の予定のある場合や腹部に手術の傷あとがある場合は適応外となります。合併症としては、下腹部が若干膨らむ、まれにヘルニア(脱腸)になることがあります。術後しばらくは下腹部を支持するために腹帯やガードルなどの装着をしていただきます。
利点はボリュームの大きな乳房や下垂した乳房再建にもある程度対応できる点で、皮膚の質感も胸部皮膚と馴染みやすく、インプラントとは違う柔らかい乳房を再現することができます。一方で欠点は長時間手術であり、組織壊死の可能性がある点、腹部に長い傷跡が残る点です。

広背筋皮弁

背中の皮膚及び皮下組織を広背筋という筋肉を脇の下の血管をつけたまま胸に移動する手術法です。利点は背中に15〜25cmほどの傷はつくものの人目につきにくい点です。また、将来妊娠出産の予定のある場合でも施行可能です。欠点として広背筋皮弁は採取できる脂肪の量が限られている点で、乳房のボリュームの小さい方に向いています。

最終更新日:2019年6月13日