豊島病院看護部

看護部長よりご挨拶

「患者さんにとってのベスト」を目指して

豊島病院看護部長・認定看護管理者
三浦紀子

看護部長

都立豊島病院は、明治30年代に東京府令および警視庁令により、当時流行した伝染病患者を収容する避病院のひとつとして設立されました。その後、時代の変化や都民ニーズに応えるために組織形態を変えながら運営を続け、令和4年7月に「地方独立行政法人東京都立病院機構 東京都立豊島病院」として、新たなスタートを切ることになりました。

看護部は、法人職員(看護師・助産師)378名、内、看護管理職4名、看護師長20名、ほかに病院職員が40名程在籍している病院で最も大きな組織です。大きな組織ではありますが、「組織は人なり」を組織運営の基本として人材育成と活用に力を入れており、認定看護師19名が、それぞれの特定分野で活躍しています。(R5.4.1時点)
また、ナースエイドとの業務分担も進めており、患者さんの一番近くにいる臨床看護師を、みんなで支えていることで看護の質向上が図られています。

ここで、看護に関して、看護部長である私の考えを述べます。

病を抱えた患者さんの気持ちや思いに寄り添うことは、看護者として必須です。しかし、私たちは、本当に患者さんの辛さや心細さを理解することができているのでしょうか。「あなたの気持ちはわかります」と、患者さんに伝えることに、私は昔から抵抗を感じています。たとえ、その人と同じ境遇になったとしても、他人が完全に「あなたの気持ちがわかる」という事は無いのではないでしょうか。人は、ひとりひとり人格があり、それまで生きてきた歴史があり、大切にしていることなどの価値観は、100人いれば100通りあります。

看護者とは、患者さんのアドボケーターであり、病を抱え・病と対峙し・病と共存していく過程を、患者さんとともに悩み考え、尊厳をもってその人らしく生きていくための支援者です。したがって看護者は、どんなに学習を重ねて経験を積んでも、決して驕ることなく真摯にひとりひとりの患者さんに向き合い、患者さんの辛さや心細さを「理解しようとする姿勢」を忘れないでいて欲しいと思います。「これで良い」と思った瞬間から、私たちの関心は患者さんから離れていきます。“患者さんに寄り添う”とは、「これで良いのか」「患者さんにとってベストは何か」と、患者さんから気持ちを離さずにいることだと思います。

また、患者さんのアドボケーターとしての役割を発揮するためには、人間としての成長と共に、卓越した知識・技術を身につけて確実で適切な看護サービスを提供することが必要です。そして地域包括ケアシステムが本格的に機能しはじめた今、医療チームで患者さんの目標を共有し、ベクトルを同じにしてチームの総合力を発揮し、「患者さんにとってのベスト」を目指し協働することが、私たち看護者に求められています。

豊島病院は、確実な知識・技術を習得するための、様々な学びや経験の機会を提供しています。ひとりひとりの看護師が、自分のキャリアデザインを描きながら、看護師としてもひとりの人間としても成長していけるように、支え合い・刺激し合い・成長し合える組織を目指しています。

私たちと一緒に、「患者さんにとってのベスト」を目指したいという皆さん、是非、豊島病院にいらしてください。病で苦しんでいる患者さんに、“心に寄り添った暖かくて適切な看護”を提供し、生きる力を引き出し、一人でも多くの患者さんが「その人らしい人生」を送れるよう支援していきましょう。