腎泌尿器外科 - 腎がん(腎細胞がん)

ダヴィンチ手術による無阻血・無縫合・腎部分切除~最大限の腎機能温存を目指す低侵襲 腎機能温存手術

現在は、腎機能温存の観点から、小さい腎がんの標準治療として腎部分切除が行われています。当科では、小さい腎がんに対する手術は、ダヴィンチ手術で行っています。
ダヴィンチ手術では、側腹部に5つか7つの小さな孔(5mmから2cm程度)から手術を行います。

当科では、最大限の腎機能温存と術後合併症リスクの低減を目的に、可能な限り、無阻血・無縫合で腎部分切除を行っています。腎臓は血流が豊富な臓器であるゆえ、一般的に、腎部分切除は出血量を減らす目的で腎血流を一時的に遮断(阻血)して行われ、最後に止血目的で腎実質を縫合します。一方で、阻血は阻血時間に応じて腎機能に悪影響を及ぼすことがわかっており、腎実質縫合は腎機能低下や術後仮性動脈瘤形成の原因となり得ることが指摘されています。当科では、とくに腎臓の表面に位置する小さな腎がん症例では無阻血・無縫合で腎部分切除を行っています。それ以外の症例では、必要時に待機的に阻血することで阻血時間を短くしています。入院期間の目安は4−6日間程度です。

注目情報治療成績(調査対象:2013年4月〜2022年3月にガスレス・シングルポート・腎部分切除101件と腹腔鏡下腎部分切除28件)無阻血完遂率 98%. 合併症(Clavien grade ≧3)率 1.5%(いずれも尿瘻に対する尿管ステント留置).

ダヴィンチ手術または腹腔鏡手術、ロボサージャン・ガスレス・シングルポート手術による根治的腎摘除術

透析腎に発生する腎がん、比較的大きな腎がんや、たとえ小さくても部分切除による根治的切除が困難と判断される症例に対しては、安全な先端型・低侵襲手術であるダヴィンチ手術またはロボサージャン・ガスレス・シングルポート手術(3D-HMDシステムによるミニマム創内視鏡下手術)、腹腔鏡手術による根治的腎摘除術を行っています。術式はご病状に合わせて選択しています。
ダヴィンチ手術の場合、側腹部または腹部に5つか7つの小さな孔(5mmから2cm程度)から手術を行い、孔を5-6cm程度切開して腎臓を摘出します。
ロボサージャン手術の場合、3D-HMDシステムを用いて、側腹部の4−5cm程度の単一の孔(腫瘍のある腎臓が辛うじて摘出できるサイズのシングルポート)から内視鏡と手術器具を挿入して手術を行います。
腹腔鏡手術の場合、3D高精細内視鏡を用いて、側腹部に4つか5つの小さな孔(5mmから2cm程度)から手術を行い、1つの孔を5-6cm程度切開して腎臓を摘出します。
何れの術式でも入院期間の目安は4−6日間程度です。

注目情報治療成績(調査対象:2013年7月〜2022年3月にロボサージャン・ガスレス・シングルポート・根治的腎摘除 83件と腹腔鏡下根治的腎摘除 14件)周術期輸血率 0%. 術後合併症 (Clavien grade 3以上)0%.

腎がんの診断

腎がんが疑われる方には、原則的にダイナミック造影CTを行います。ご病状によってはMRIを追加で行います。血管構築や、がんと周囲との位置関係を正確に把握することにより、比較的精度の高い手術のリスク評価が行えます。また、良性腫瘍との鑑別が難しい場合などにはCTガイド下腎腫瘍生検を行うこともあります。

免疫療法(オプジーボⓇ、ヤーボイⓇ、キイトルーダⓇ、インターフェロンを主体とするI-CCA療法)

転移のある腎がんに対して有効な治療手段です。分子標的薬と比較すると、治療を終了しても効果の持続を期待できる治療法です。

分子標的薬(カボメティクスⓇ、レンビマⓇ、ヴォトリエントⓇ、インライタⓇ、スーテントⓇ、アフィ二トールⓇなど)

がんや患者さんの状態、あるいはそれまでの治療歴などから最適な薬剤を選択して使用します。原則的に外来通院で治療します。