耳鼻咽喉科・頭頸部外科 - 診療内容

当院は都立のがん・感染症センターですが、耳鼻咽喉科・頭頸部外科では、主として頭頸部癌の診断と治療を専門分野としております。
平成28年4月より、新体制で再スタート致しました。
適宜セカンドオピニオン外来も行っております。

内視鏡機器の進歩と内視鏡診断の向上により、頭頸部領域でも表在癌を含む早期癌が数多く診断される様になってきました。以前はこれら頭頸部表在癌を含む早期の頭頸部癌は放射線療法で加療され、進行した頭頸部癌は音声等の機能を犠牲にした手術療法で加療するのが一般的でした。しかし近年は、早期癌は手術療法で加療して可能なら放射線療法を担保し、進行癌は機能温存を目指して抗癌剤と放射線療法の併用療法である化学放射線療法を行う、といった方向にシフトしつつあります。
当科でも同様の方針で頭頸部癌の治療を行っており、特に表在癌や早期癌においては、機能を温存した、内視鏡下手術やCO2レーザ手術を積極的に行っています。しかし一方で、機能温存ばかりに目を向け過ぎると、特に進行癌で予後が増悪するといった事態も生じる事があるため、そして近年ではボイスプロステーシスによる代用音声獲得も可能となっているため、疾患の状態によっては機能を犠牲にした手術療法が望ましいと判断される場合もあります。当科では、早期癌から進行癌まで、すべての病期の頭頸部癌の診断と治療に対応しております。
また、頭頸部癌においては、食道癌、胃癌、肺癌、その他の臓器の同時性重複癌を伴って、治療方針が複雑となる事もしばしばあります。当科では、内視鏡科、消化器内科、食道外科、形成再建外科、放射線診療科(診断部・治療部)、腫瘍内科(化学療法科)、歯科口腔外科などと緊密な関係を築きつつ、これらの科と定期的にキャンサーボードを開催して患者さんにとってより良い治療方針を検討し、チーム医療を実践する様にしています。また、化学療法や手術療法の前後の歯科による口腔衛生の管理、リハビリテーション科による咀嚼・嚥下・音声のリハビリテーション、緩和ケアチームによる緩和医療のサポート、神経科チームによる精神的なサポート(リエゾン)、がん相談支援センター(在宅療養、医療相談)による支援などの助力を得て、包括的な癌の治療を行う様に心がけています。
当科は、難聴、めまい、副鼻腔炎、慢性扁桃炎、扁桃病巣感染症、声帯ポリープ等の一般的な耳鼻咽喉科良性疾患の診断と治療にもあたっています。特に副鼻腔炎、扁桃炎、声帯ポリープ等の良性疾患の手術加療については、積極的に対応しております。
なお、頭蓋底腫瘍、外耳道癌、難治性の中耳炎・耳硬化症(手術加療を含む)、難治性の難聴や顔面神経麻痺、遺伝性難聴等、大学病院等での診断や治療が望ましいと考えられる疾患の場合には、ご相談の上、当科よりしかるべき施設をご紹介致します。

※当科の特色

  1. 表在癌から進行癌まですべての病期の頭頸部癌の診断と治療が可能
  2. 頭頸部癌に対する機能温存治療(機能温存が可能な場合)
  3. 頭頸部表在癌に対する内視鏡下手術(ELPS/ endoscopic laryngo-pharyngeal surgery)
  4. 頭頸部癌に対するCO2レーザー手術
  5. 頭頸部進行癌に対する化学放射線療法
  6. 頭頸部進行癌に対する拡大切除&再建手術
  7. 咽喉頭と食道の同時重複癌の治療
  8. 耳鼻咽喉科疾患一般(めまい、副鼻腔炎、扁桃炎、声帯ポリープ)の治療