救命救急センター
- 診療内容
- 特色
- 選任スタッフによる運営
- 救命集中治療科チーム
- 救命外科チーム
- 救命整形外科チーム
- 救命脳神経外科チーム
- 救急救命士チーム
- 後方病棟の存在
- フォローアップ外来の設置
- 救急診療科との連携
- 主な医療設備
- 地域とのつながり
当救命救急センターは、東京消防庁の区分する第7方面(墨田・江東・江戸川・葛飾区)を担当する三次救急医療施設として、昭和60年11月に設置されました。以来、東京消防庁からの「ホットライン」による受け入れ要請に、24時間体制で対応し、例年、年間約2,000件以上の重症患者の治療を行っています。平成28年には都内に4か所のみの高度救命救急センターの一つとして認定され、最後の砦として地域の救急医療に注力しています。
当院の救命救急センターのスタッフは、救命救急センター業務に専任しており、院内各科からのローテーションの場合も、その期間中は救命救急センター専任となります。また、それぞれのスタッフが外科や内科、脳神経外科、整形外科、集中治療などのスペシャリティーを有しており、重症多発外傷患者のようなケースでも、迅速に対応できる機動性を確保しています。
同時に、院内各科からのローテーションがあるため、院内各科との連携もスムーズに行えます。

救命集中治療科チーム
救命集中治療科チームは心停止蘇生後やECMO、Impella、IABP、血液浄化療法などのメカニカルサポートを要する急性循環不全、人工呼吸管理を要する重症肺炎などの内因性疾患を中心に診療にあたっています。チームメンバーのバックグラウンドは循環器内科をはじめとして多彩で、日々重症患者さんの病態把握と全身管理のため議論を交わしています。
施設全体で取り組んでいるECPRにおいては、来院時の穿刺から確立後の管理までチーム内で一貫して行っています。急性心筋梗塞に対するカテーテル治療も治療開始を最短にし、早期に状態を安定化させるためにHybrid ERを用いて行っています。
内因性疾患患者を中心に、時には他専門科とも連携しながら集中治療室退室後の入院治療も担っており、入院から退院/転院までの一貫した管理を行っています。
チームメンバー:中村(一)、田邉、川上、松井、向田、加藤、永井、井上、鹿間、追塩、中村(元)、石坂

- 内因性疾患以外でも(活躍しています)▽
内因性のみならず、多発外傷や産科危機的出血での大量輸血療法などを含む全身管理や、緊急手術時の麻酔管理なども担い、オールラウンドに活躍しています。
院内急変が発生した際も、蘇生の中心としていち早く現場に駆けつけ、現場指揮を執っています。
初期/後期研修医へのレクチャーも積極的に行っており、若手医師も重症患者管理や手技を自信をもって行えるようサポートしています。
不運にも急性疾患で救急搬送となってしまった患者の皆様、ご家族の皆様が「墨東病院に運ばれてよかった」と思ってもらえるような高度救命救急センターとなれるように科内全体で日々精進しております。


救命外科チーム
救命外科(Acute and Critical care surgery)チームは、主に急性期外科(Acute care surgery)の専門診療領域とされる外傷外科や救急外科の診療を担っています。
それらの診療では迅速な評価や診断に加え、救命のための迅速な手術による治療が必要なことも多く、当センターでは専属の外科医が救急搬送時から診療にあたっております。また、そのような患者さんは集中治療が必要となるため、救命集中治療科チームと共に外科集中治療管理も継続して行います。
さらに植皮などの外科的処置と集中治療が必要となる広範囲の熱傷がある患者さんも我々の専門領域として同様に診療を行っています。
チームメンバー:山川、大倉、北村、長尾、松永、大橋、笠井、志水

- 外傷外科▽
- 重症外傷の診療では迅速な治療方針の決定が最も重要となり、一刻を争う判断が必要となることが多々あります。救命外科チームは初期蘇生の段階で外傷リーダーとしてその治療方針の判断に注力するとともに、頚部・胸部・腹部など主に体幹を中心とした外傷に対する手術、外科的処置を担っております。また出血に対しては手術のみでなく、必要に応じて経カテーテル動脈塞栓(TAE)による止血も行います。重症外傷、多発外傷では多岐にわたる特殊な治療を要するため、当センターでは救命外科チーム、救命集中治療科チーム、救命整形外科チーム、救命脳神経外科チームが一丸となって診療にあたります。
- 救急外科▽
- 気道緊急、重症腹膜炎(消化管穿孔、腸管虚血など)、腹腔内膿瘍、腹腔内出血など、重症度や緊急性の高い外科疾患に対して遅滞なく外科的な治療介入を行い、よりよい転帰を目指しています。その他、救命救急センターの診療の中で気管切開やカテーテル類の挿入、抜去といった外科的処置が必要となる場面が多々あります。そういった処置についても担当し、当センターにおける垣根のないチーム制の強みを活かしシームレスな治療に貢献しています。
- 熱傷▽
- 火災や高温の液体などによる広範囲熱傷や気道熱傷などの全身管理を要する重症熱傷の治療にあたっています。患者さんの状態によっては、熱傷創部の切除や植皮手術なども担当します。また、一酸化炭素中毒に対する高圧酸素療法(HBO)も行っています。
救命整形外科チーム
救命整形外科チームでは、切断指・肢、重度四肢外傷(四肢挫滅損傷、開放骨折、軟部組織欠損、神経・血管損傷)、脊椎・脊髄外傷、骨盤輪・寛骨臼骨折、多発外傷に伴う骨折に対して、緊急手術を含む高度な外傷整形外科治療を提供し、日本整形外科学会専門医が中心となり年間手術件数は上記重度外傷を中心に年間500件以上行っております。
整形外科専門医が高度救命救急センターの一員として、重篤な外傷患者に迅速に対応し、かつ外科・内科・脳外科チームにおける集学的治療体制により、東京都内はもとより、地域医療機関との連携も重視し、他施設からの紹介・転院搬送にも24時間365日体制で迅速に対応しております。多職種との連携のもと、重症外傷患者の救命と機能再建を目指し、質の高い医療を提供しています。
チームメンバー:松山、矢崎、賀、庄田、山田、武田、佐藤、金

- 切断指・肢、重度四肢外傷▽
- 切断指・切断肢や重度四肢外傷に対し、マイクロサージャリー(顕微鏡手術)を駆使し、血管・神経・腱・骨を修復・再建することで、最大限の機能の温存・再建を目指しています。切断部の再接着や、軟部組織欠損部への遊離皮弁移植も積極的に行い、四肢の救済と社会復帰を支援しています。24時間365日体制で対応し、多職種と連携しながら高度で迅速な外傷医療を提供しています。
- 脊椎・脊髄外傷▽
脊椎・脊髄外傷は、四肢麻痺や呼吸障害など重篤な合併症をきたす可能性があり、当院で受傷直後から全身管理と早期の画像診断に基づいた適切な手術を行い、緊急手術にも対応しています。骨折や脱臼の整復・固定に加え、神経圧迫の解除を目的とした除圧術も実施し、神経機能の温存と早期離床を目指します。術後は早期リハビリテーション、必要に応じた高圧酸素療法も行い、後療法にも力を入れています。
- 骨盤輪・寛骨臼骨折▽
- 骨盤輪骨折や寛骨臼骨折は、高エネルギー外傷で生じることが多く、出血性ショックや多発外傷に伴う重篤な外傷です。当センターでは、受傷初期から全身管理と同時に迅速な画像診断を行い、創外固定による骨の安定化や経カテーテル的動脈塞栓術(TAE)などによる止血処置を実施しています。全身状態が安定次第、骨折部の内固定術や高難度な寛骨臼骨折手術を行い、機能温存と早期離床を目指します。
- 多発外傷に伴う骨折▽
多発外傷に伴う骨折では、頭部・胸腹部臓器損傷や出血性ショックを合併していることが多く、生命の危機を伴う重篤な状態です。当センターでは、整形外科チームと外科・集中治療科チームとの緊密な連携のもと、受傷直後からの全身管理と段階的な手術戦略(damage control orthopaedics)を実施しています。早期に生命を救う処置を行いながら、最適なタイミングで骨折手術を行うことで、合併症の予防と機能温存を目指します。重症外傷に対応可能な体制を整え、24時間体制で治療にあたっています。




救命脳神経外科チーム
私たち救命脳神経外科チームは、重症頭部外傷と脳卒中を中心とした、脳神経外科領域の重症疾患に対する診療を専門としています。救命センターに搬送される重症患者に対して、集中治療チーム、外科チーム、整形外科チームと緊密に連携しながら、迅速かつ的確な初期対応を行っています。
診療には、脳神経外科と救急科の両領域において専門医資格(ダブルボード)を有する専任医師があたっており、専門性の高い判断と治療を可能としています。一般病棟にも病床を有しており、急性期の治療が終了した後も、継続的に治療を行える体制を整えています。一貫した治療体制のもと、回復をサポートしてまいります。
また、退院後のフォローアップを目的とした専門外来も設置しており、回復期や社会復帰までを見据えた支援も行っています。患者さんご本人とご家族にとって、最も適切で納得いただける医療を提供できるよう、日々真摯に診療に取り組んでいます。
チームメンバー:柴橋、長島、脳神経外科からのローテーター
救急救命士チーム
当センターでは令和5年4月より救急救命士が採用され、現在は8名の病院救急救命士が勤務しています。高度救命救急センターに在籍し、医師・看護師等と共に重症患者を中心に対応を行っています。業務としては、救命士としての専門性を活かし、都MC及び院内MCの認定を経て初療室での気管挿管などを含む侵襲的な救急救命処置や転院搬送業務、初療室での緊急手術やカテーテル治療時の補助、経時記録の入力、ホットライン対応なども行っています。チーム内には災害派遣医療チームに登録している救命士もおり、東京/日本DMAT・都立病院機構医療救護班・JMAT・AMAT・JDRなどの災害医療活動にも積極的に参加し貢献しています。今後も救急救命士として更なる高度救命医療発展の一助となれるよう尽力してまいります。
後方病棟の存在
通常、救命救急センターは、最重症期間のみを扱い、それを越えて軽快期もしくは慢性期にはいった場合は、その患者さんを救命救急センターから出すことを要請されています。一般的な救命救急センターでは、収容して1ないし2週間のうちに、他病院あるいは院内各科に患者さんを転出させていますが、実際問題として患者さんを他病院あるいは院内各科に転出させることは非常に困難を伴うものです。
また、医療の責任として、退院もしくは社会復帰まで一貫して診るべきであるとの立場から、当院では、救命救急センターから転出させる患者さんを引き受けるべき後方病棟を開設時より設置しており、その運営には、救命救急センターのスタッフが継続して当たっています。
後方病棟を設置したのと同様の考えから、退院後も引き続いてフォローアップすべく、フォローアップ外来なるものを現在3科(外科、整形外科、脳外科)にわたって実施しています。
平成13年11月末から、当院の救急医療体制が、「東京ER・墨東」として再編成されるにあたり、当救命救急センターも、この新しい体制の中に組み込まれることとなりました。
当初、初期救急および二次救急の初療を担当するべく新設された「救急診療科」と、三次救急医療を担当する既存の「救命救急センター」が、それぞれ個別に運営されていましたが、翌14年3月より、ER運営の要であるコーディネーター職を救命救急センターが責任を持って担うこととなりました。
このことにより、救急診療科と救命救急センターとの連携がよりスムーズなものとなり、その結果、「東京ER・墨東」が、医療資源の効率的活用を目的とした現行の初期、二次、三次というピラミッド型のシステムから、症状の軽重にかかわらず地域の救急患者を一カ所で集中的に診療するという患者側の利便を第一に考えた新しいシステムに進化することとなりました。
- 生態情報管理システム
- 人工呼吸器
- 持続緩徐式血液透析濾過装置(CHDF)
- 人工透析装置(HD)
- 体外式膜型人工肺(ECMO)
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2025年6月27日 最終更新