肺がん診療

当院の肺がん医療の特徴

当院の特色である急性期医療(救急医療、心臓病医療、脳血管疾患医療など)を生かして、がん発見の機会にすると共に、がん治療中に生じる様々な急性期病態への迅速な対応を可能にしている点は、他のがん専門病院では実現困難な医療であり、当科の強みです。また、当院の重要な使命である島しょ医療の一環として、伊豆諸島および小笠原諸島にお住まいの東京都民の皆様に安全で良質ながん診療を提供している点は、当科の特色です。恵比寿・広尾という地理的利便性を生かし、患者様がお住まいの地域にある医療機関や他のがん専門病院、検査/治療専門医療機関と連携しながら総合的ながん診療を提供しています。支持療法については、緩和ケアチーム、神経科(精神科医)、栄養サポートチーム、院内の各診療科などと協働しています。呼吸器がんの診断から治療、併存疾患への対応、そして人生の終わり方に至るまで、患者様およびご家族とよく話し合いながら、「あなたにとって望ましいがん診療」を模索します。 

呼吸器科 成田 宏介

肺がんについて

呼吸器外科・横須賀医師

肺がんは、気管・気管支や肺胞にある正常細胞において様々な要因が影響して遺伝子に異常が蓄積し、がん化することによって発症します。早期の段階では発見が困難な位に小さな病変であっても、ある一定の大きさを超えると見かけ上、急速に増大し、周囲の正常組織や臓器に浸潤し、血液やリンパの流れに乗って遠隔臓器に転移します。その結果、急激に病状が悪化し、命を奪う事態に発展します。肺がんは難治性がんの一つであり、がん統計(がん情報サービスganjoho.jp)に拠ると、部位別のがん罹患数(総数)の順位(2021年)は大腸に次いで2位、がん死亡数(男女計)の順位(2024年)で1位となっています。

呼吸器科 成田医師

肺がんは大きく2種類の組織型に分類されます。一つは非小細胞肺がんで、もう一つは小細胞肺がんです。非小細胞肺がんは更に、腺がん、扁平上皮がんなどと細分類され、それぞれのがんに特有の薬物療法が用意されています。一方、小細胞肺がんは喫煙が発症の引き金になりやすい、非小細胞肺がんよりも細胞増殖のスピードが速く、転移しやすいといった特徴があり、非小細胞肺がんとは異なる治療法が確立されています。

近年、肺がん診療の進歩は著しく、毎年のように新規薬剤や治療法が臨床現場に登場しています。肺がんの診療においては、肺がんが体内でどれ位の広がりを来しているのか(病期・ステージ)を正確に知ること、がん細胞やがん組織を採取して、がん遺伝子変異の有無を調べたり、がん免疫療法への効果予測を検査すること、そして患者さん一人ひとりの持病の有無、全身状態の把握が、治療法の選択に重要です。

自覚症状

肺がん3Dイメージ
受診時点の進行具合に関わらず、自覚症状はないことも多いので注意が必要です。健康診断や他の疾患で通院中に偶然撮影した胸部X線写真やCT検査で発見されることも少なくありません。原発巣や転移巣の位置、浸潤や転移の状況により、咳、血痰、息切れ、呼吸困難などの呼吸器症状が出現します。他に全身倦怠感、体重減少、嘔気・嘔吐、めまい、意識障害などを契機に肺がんの転移巣が先に見つかることもあります。

診断方法

肺がんの検査イメージ

がん細胞またはがん組織の存在を病理学的に確認することが必要となります。肺内の病変に対しては気管支鏡検査を行い、肺やリンパ節から検体を採取して肺がんの診断を確定します。肺の周りにがんが播種して胸水が貯留している場合、局所麻酔下に胸腔穿刺という手技で体表面から細い針を刺して検体を採取します。

また、胸腔鏡で肺を包む胸膜に出来た播種巣を採取することもあります。体表のリンパ節に転移があって腫れている場合、局所麻酔下にリンパ節を針で刺したり、小手術でリンパ節を取り出して診断することもあります。

さらに、診断と治療を兼ねて手術を行って、がんとその周囲にある肺の一部を摘出することもあります。

病期(ステージ)

早期(I期およびII期)、局所進行期(III期)、進行期(IV期)と大きく3つに分類して治療方針を検討します。病期・ステージは、原発巣の位置や大きさ、性状(T因子)、左右の肺に囲まれた領域に存在する、縦隔リンパ節への転移状況(N因子)、肺の外側や遠隔臓器への転移状況(M因子)に基づき、最新の分類基準に基づいて決定されます。そのためにCT検査、MRI検査、PET-CT検査、骨シンチグラフィーなどを実施します。

治療方法

早期の場合は手術または放射線治療、局所進行期の場合は集学的治療(手術、放射線、薬物療法の組み合わせ)、進行期の場合は薬物療法が治療戦略になります。

1.手術

安全に最も重点を置いた低侵襲(身心への負担の少ない)手術を行います。
標準術式である胸腔鏡下肺葉切除+リンパ節郭清が基本となりますが、患者さん個別の状態に応じて縮小手術(肺区域切除、部分切除)も検討します。
隣接臓器浸潤などでは状況により心臓血管外科や整形外科に協力いただきながら拡大手術(胸壁、大血管合併切除など)を行います。

右肺上葉に肺がんがあるときの肺切除範囲(イメージ)

2.薬物療法

近年、新規薬剤が次々と登場しています。作用機序に基づいて、1)分子標的薬、2)殺細胞性抗がん剤、3)免疫チェックポイント阻害薬、4)複数の分子を標的とした治療薬(二重特異性T細胞誘導抗体)などがあります。

3.支持療法・緩和医療

がん治療を行う際の副作用を最大限取り除くために、制吐薬をはじめ様々な薬剤を活用します。また、がんによって引き起こされる痛み(がん性疼痛)に対して医療用麻薬(オピオイド)を適切に使用します。がん治療に伴う苦痛や負担をできる限り和らげることは、日常生活を前向きに送るためにも大切です。

再発と進行したがんの治療

肺がんは早期で発見して治療に成功しても、再発することがあります。また、進行した状態で見つかると、延命することができてもがんを根治することは残念ながら不可能となります。いつか迎えることになる最期をどのように受け止めるか、それは一人ひとり答えが異なります。人生の終末期をどこで、誰と、どのように過ごしたいと願うか、患者さんご本人、ご家族などと共に話し合って対応を決めます。

お問い合せ先

呼吸器科、呼吸器外科各外来までお気軽にお問い合わせください。他院からのご紹介の場合には診療情報提供書(紹介状)をご持参いただきますようお願いいたします。(当院を初めて受診される方は初診の方をご覧ください。)

外来担当医
呼吸器科成田×〇午前××〇午前
呼吸器外科横須賀〇午前××〇午前×
注)呼吸器外来(成田) 初診:10:00-10:20 再診:9:00-11:00

呼吸器科・成田医師と呼吸器外科・横須賀医師

最終更新日:2026年4月7日