地方独立行政法人東京都立病院機構
   医師アカデミー顧問　古賀　信憲

　東京医師アカデミーは、「総合診療能力を備え、社会のニーズに応えた質の高い専門医を養成する」 ことをコンセプトとして、自治体が運営する都立病院・公社病院を合わせた組織的な後期研修制度と して平成 20 年に開講しました。以来、全国から毎年 300 余名の若手医師が集い、専門研修に励み、 修了後には多くの優秀な専門医となって東京都内をはじめ全国各地で活躍しています。

　また、研修基盤である都立病院・公社病院は令和4年7月に独立行政法人化し、「地方独立行政法 人東京都立病院機構」として新たな組織となって再スタートし、全 14 都立病院がさらに強い連携体 制を築き、7,000 床を超えるスケールメリットを今まで以上に生かせる体制となりました。それによ り日本専門医機構による新専門医制度に基づいたより幅の広い研修体制を向上させ、基幹施設として の基本領域専門研修プログラムや多くの連携施設を含めた連携プログラムを作成することにより、各 科基本領域専門医を取得できる体制を構築しています。

　なお、より高度な専門性を求めて研修や研究が行えるサブスペシャルティーコースやクリニカル フェローの制度も引きつづき併設し、専攻医修了生や外部からの応募医師に人気を集めています。

　さらに医師アカデミーの研修体制には、災害対応や感染症対策ならびに臨床研究に関する集合研修 や研究発表会等々が組み込まれており、専門医として必要な幅広い医療知識も得られ、医療情勢・社 会情勢の変化する中、専攻医はしっかりした運営基盤のもとで安心して幅広く専門研修に励むことが できます。

　この3年以上にわたる新型コロナ感染症対応には多くの専攻医が診療に関わり、医師アカデミーで の研修体制も大きく縮小せざるを得ない部分もありました。しかしこのような中でこそ、患者さん中 心の医療を実践し、都民から求められそして社会から認められる専門医を目指す意義があるのではな いでしょうか。感染症への対応はまさに医師アカデミーで学ぶべき「総合診療能力」の一つであり、 公的病院の責務を理解し、行政的医療に参加できる良い機会との使命感に燃えて活躍する姿は誇らし く見えました。

　皆さんも医療技術の専門性だけではなく、医療人・人間として必要な理性や倫理観をはじめ、地域 医療への関わりをはじめ医療社会環境の変化への対応能力、災害対応能力、さらには国際化社会に向 けての視野拡大など、東京医師アカデミーという組織体制の中でしっかりと学びませんか。真の専門 医となるために腕を磨く努力をしてみませんか。

　東京医師アカデミーでは長年培った組織的な体制を盾に、充実した研修と専門医取得に向けて全面 的なバックアップをしていくつもりです。

　皆さんを心からお待ちしています。