戦略1 都の医療政策推進への貢献

都が抱える医療課題に対し、都立病院の医療資源を最大限活用し、都の医療政策推進に貢献します。

1.がん医療

  • 駒込病院では患者本位のがん医療を提供するため、個人の遺伝情報に基づいたがん患者に最適なゲノム医療を実施します。
  • AYA世代のがん患者に対する診療・相談支援体制を充実します。

2.精神疾患医療

  • 一般医療機関では対応困難な精神科身体合併症医療について、都立・公社病院間のネットワークを強化し、患者の受入体制を充実します。
  • 長期入院患者の円滑な地域生活への移行を促進するため、退院後の生活指導を行う訪問看護等を推進します。また、研修等を通じ、地域医療を支える人材の育成を支援します。

3.救急医療

  • 診療科間の連携促進や先進的な医療機器の導入等により、受入体制を一層充実します。
  • 急性期の治療を終えた高齢者が、住み慣れた地域で症状に応じた切れ目のない医療を受けられるよう、転退院に当たり、地域医療機関や訪問看護ステーションなど多様な関係機関との連携を強化します。

4.災害医療

  • BCP(事業継続計画)に基づく定期的な訓練の実施、検証、BCPやマニュアル等の見直し等、BCM(事業継続マネジメント)を一層推進します。
  • 基幹災害拠点病院である広尾病院では、減災対策支援室の体制を強化し、合同訓練等を通じて地域の関係機関との緊密な連携体制を構築するほか、他の拠点病院に対する普及啓発を行うなど、「点から面」での医療の展開を視野に入れた地域のネットワーク機能の構築に取り組みます。

5.島しょ医療

  • 広尾病院では、島しょ地域の医療ニーズに柔軟に対応できるよう、「地域貢献病床」の活用を検討します。
  • 円滑な退院(帰島)に向けて、島の医療・介護等の関係機関との間でICTを活用したWeb会議を導入し、顔の見える診療システムを構築します。

6.周産期医療

  • 精神疾患を合併する妊産婦への対応力を強化するため、総合周産期母子医療センターである大塚病院、墨東病院、多摩総合医療センター・小児総合医療センターや、産科を有する広尾病院において、院内の精神科や地域の関係機関との連携・情報共有を促進します。
  • 退院を支援するコーディネーターが入院早期から母子の退院支援に取り組むとともに、在宅医療を担う地域の医療機関や訪問看護ステーション等への技術支援やネットワーク強化に取り組むことで、長期入院児の在宅療養への移行を促進します。

7.小児医療

  • 小児総合医療センターでは、円滑な転退院を促進するため、多摩地域の拠点病院との連携を一層推進するとともに、医師派遣の実施など、多摩地域の都立・公社病院との診療協力や医療連携を推進します。
  • 小児精神科医療では、小児総合医療センターが拠点となり、総合的な高度医療を提供するとともに、地域の関係機関が疾病や障害特性に応じて適切に対応できるよう、研修等を実施します。

8.外国人患者への医療

  • 外国人が安心して適切な医療を受けられるよう、診療体制の多言語化を推進し、全ての都立病院でJMIPの認証の取得を目指します。
  • 広尾病院では、地域の関係機関と連携し、外国人患者が地域で安心して医療機関を受診できる仕組みづくりに貢献します。

9.難病医療

  • 神経病院では、多摩総合医療センターとの連携を強化し、都における難病医療の拠点としての機能を発揮します。
  • 小児期に難病を発症した患者に対し、成人後も必要な医療を継続して提供していくため、多摩メディカル・キャンパス3病院の連携体制を強化します。

10.感染症医療

  • 今後の国際化の進展を見据え、海外で流行している新興・再興感染症に対応できるよう、保健所等関係機関との情報共有・連携を推進します。
  • 新型インフルエンザ流行時の対応力を強化するため、定期的な訓練の実施・検証、BCPの見直し等、BCMを一層推進します。

11.アレルギー疾患医療

  • 小児総合医療センターでは、小児の重症及び難治性アレルギー疾患患者に対し、複数の診療科が連携し、専門性の高い医療を提供します。
  • アレルギー疾患医療に携わる医師・コメディカル等に専門知識や技能の向上に資する研修を実施する等、地域のアレルギー疾患医療の水準向上に貢献します。

12.障害者医療

  • 都立病院が有する高度で専門性の高い総合診療基盤を活かし、診療科間連携を促進することで、適切に障害者合併症医療や障害者歯科医療を提供します。

13.都立病院の整備

2つの整備基本構想を平成29年度に策定

広尾病院整備基本構想

  • 施設の老朽化に伴う新たな病院整備において、広尾病院が担うべき役割や機能等に関する都の方針を明確にするため策定しました。

整備の基本的な考え方

  • 都心部唯一の基幹災害拠点病院として、首都災害に備えた医療機能の強化を図ります。

多摩メディカル・キャンパス整備基本構想

  • 老朽化した神経病院の改築に合わせて、多摩メディカル・キャンパスを再構築し、新たなキャンパスとして整備していくため策定しました。

整備の基本的な考え方

  • キャンパス総体の医療機能の強化により、多摩地域全体の医療水準を向上します。