病院長あいさつ

大久保病院は1879(明治12)年8月にコレラ患者の伝染病専門病院として発足し、今年で146年目になります。いくつかの変遷を経て、2022(令和4)年に地方独立行政法人東京都立病院機構東京都立大久保病院(以下、大久保病院)として再出発しました。
私たちの理念は、『信頼と安心の医療で地域を支える』ことです。そのために、『患者さんの人格を尊重した安全で質の高いチーム医療の実践』、『地域と一体となって患者さんを支える医療の提供』、『優れた医療人の育成と働きがいのある職場づくり』、『良質な医療を継続して提供するための健全な経営基盤の確立』という4つの基本方針に基づき活動しています。
当院は、透析医療科(1971(昭和46)年)と腎不全センター(1976(昭和51)年)の新設、生体腎移植の開始(2009(平成21)年)など歴史的に腎医療に定評があります。現在は、『脳・心臓・血管センター』、『女性医療センター』(2023(令和5)年)、『消化器センター』(2024(令和6)年)、『人工関節センター』(2025(令和7)年3月)においてシームレスに幅広い専門的治療を行っています。4月からは整形外科にて新たに再生医療としてPRP療法を開始し、皆様のニーズにもお応えできるよう取り組んでいます。
2025年は、後期高齢者が人口の20%に達し超高齢化社会がもたらす影響が懸念されています。私たちの区西部医療圏では、今後10年間で、高齢化に伴い入院を要する患者が8%増加するといわれていますが、回復期や慢性期病棟が十分ではありません。訪問診療や訪問看護などの需要が増え、地域に根差した医療が一層必要になることが見込まれます。それをサポートする地域包括ケアのネットワークの重要性がさらに増し、そこに関わることが当院の果たすべき役割の一つであると考えています。
新宿・大久保地域は、高齢者同様、昼間の人口は若年者も多く、居住する外国の方も増加していることが特徴です。海外からの都内への旅行者も渋谷に次いで2番目に多い地域です。旅行者の約4%に医療ニーズがあるといわれています。国籍や人種、SOGIなど多様性に富むこの地域において、私たちは様々な医療ニーズに応えるように努めています。救急については、引き続き3次救急施設からの下り搬送の積極的な受入れや断らない2次救急の対応にも努めます。
このような課題に応えるために総合診療基盤の底上げを図り、4月より『総合診療科』を開設して地域連携の一層の充実に努めています。さらに、国際化への対応として『国際診療科』の整備をすすめます。
大久保病院は、これからも最新の知見をとり入れながらたゆまぬ自己改革を行い、地域医療機関とともに、患者さんに寄り添った質の高い医療を提供しつづけるように努めてまいります。
今後とも、大久保病院へのご理解とご支援を賜りますようどうぞよろしくお願い申し上げます。
2025年4月