診療内容(歯科口腔外科)

診療内容

親知らずの抜歯について

親知らずの抜歯について

親知らず(智歯)はまっすぐに生えず隣の歯を圧迫したり、歯肉の腫れや炎症の原因になることがあります。このような場合、親知らずの抜歯(智歯抜歯)が必要になります。当科では局所麻酔はもちろん、静脈麻酔や全身麻酔による痛みの少ない安全な抜歯手術を行っています。東京都新宿区近隣で親知らずの抜歯をお考えの方はぜひご相談ください。

当科では、以下の方法で対応しています。

  • 局所麻酔での抜歯
  • 静脈麻酔での抜歯(1泊 2日の入院)
  • 全身麻酔での抜歯(2泊 3日の入院/複数本一括抜歯可能)
    ※入院期間の短縮も検討中です。詳しくは診察時にご相談ください。

即日抜歯のご案内

初診時に診察とレントゲン撮影を行い、医師が問題ないと判断した場合には、当日中の抜歯(即日抜歯)も可能です。ご希望の方は必ず予約時にお申し出ください。

ただし以下の場合には後日の抜歯となります。

  • CT などの精密検査が必要な症例
  • 基礎疾患があるため事前に全身状態の確認が必要な場合
  • 診療予約時間に遅れて来院された場合

静脈麻酔・全身麻酔による治療

静脈麻酔・全身麻酔による治療

治療の難易度や患者さんのご希望に応じて、静脈麻酔・全身麻酔下での手術を提供しています。
術中は、歯科麻酔認定医または麻酔科医が全身管理を担当し、血圧・心電図・酸素飽和度・脳波などを常時モニタリングしています。

静脈麻酔(鎮静法)

点滴から鎮静薬を投与し、ウトウトしたリラックスした状態で治療を受けていただきます。
呼吸はご自身で保たれ、治療後の回復も比較的早いのが特徴です。

主な適応例:
  • 治療に対する強い不安や恐怖がある方
  • 嘔吐反射が強い方
  • 深い位置に埋伏した親知らずの抜歯

全身麻酔

完全に意識をなくした状態で治療を行います。痛みを感じることなく手術を受けることが可能です。

主な適応例:
  • 複数本の親知らず抜歯
  • 長時間に及ぶ手術
  • 局所麻酔では対応困難な症例
  • 術前に血液検査、尿検査、心電図検査、胸部レントゲン撮影などが必要です。
    また、全身麻酔の場合は麻酔科医の診察を受けていただきます。

基礎疾患を有する方の口腔外科処置

基礎疾患を有する方の口腔外科処置

高血圧、心臓病、糖尿病などの全身疾患をお持ちの方には、医科主治医と連携し、安全に治療を行います。
抗血栓薬(ワーファリン、バイアスピリンなど)を内服中の方でも、休薬せずに入院下で抜歯を検討します。

口腔内の嚢胞・良性腫瘍

口腔内の嚢胞・良性腫瘍

口腔内にできる嚢胞(のうほう)や良性腫瘍に対する治療を行います。これらの病変は自覚症状が少ない場合も多く、放置すると徐々に大きくなり、歯や顎の骨に悪影響を及ぼすことがあります。

  • 嚢胞:顎の骨や歯ぐき、粘膜の下にできる液体や半固体がたまった袋状の病変。歯根嚢胞・含歯性嚢胞・粘液嚢胞など
  • 良性腫瘍:口腔内にできるできものやしこりで、痛みを伴わないものが多い。線維腫・乳頭腫・脂肪腫など

治療内容

  • レントゲンやCT・MRIなどによる精密検査を行います 
  • 必要に応じて組織検査(生検)を実施します 
  • 嚢胞/腫瘍摘出術や開窓術を局所麻酔または全身麻酔下で実施します 
  • 摘出後の病理検査で良性かどうかを最終確認します

口腔粘膜疾患

頬の内側、舌、歯ぐきなどにできる白斑、紅斑、びらん、しこりなど、口腔粘膜に異常がみられる場合には、精密な診査が必要です。
当科では、

  • 難治性の口内炎
  • 白板症、扁平苔癬 などの慢性疾患
  • 良性・悪性腫瘍の鑑別

などに対し、視診・触診のほか、必要に応じて細胞診や組織検査(生検)を行い、診断を確定します。
症例によっては大学病院等と連携し、早期発見・早期治療を目指します。

顎関節症

口を開けると顎が痛い、口が開きにくいなどの症状がある方は、顎関節症の可能性があります。 当科では、顎の動きや噛み合わせ、関節の状態について画像検査(レントゲン・MRIなど)を併用して丁寧に評価し

  • 理学療法(くいしばりのコントロール、開口訓練など)
  • スプリント(マウスピース)療法
  • 薬物療法 

などを組み合わせた保存的治療を行っています。
より専門的な治療を希望される場合は、大学病院をご紹介いたします。

顎・顔面の外傷

口唇やあご、歯に関わるケガの治療を専門的に担当しており、外見だけでなく、かみ合わせや発音・生活機能の回復にも重点を置いた治療を行っています。

当科で対応可能な外傷

  • 唇や舌、口の中の裂傷(軟組織損傷) 
  • 歯の破折・脱落・歯のぐらつき 
  • 顎の骨折(歯槽骨・下顎骨) 

歯性感染症

むし歯や歯周病などの口腔内の病気が原因で発生する感染症(歯性感染症)に対する治療を行っています。歯性感染症は、あごの骨や顔、首にまで炎症が広がることもあるため、早期の診断と適切な治療が非常に重要です。

治療内容

  • 問診・視診・X線やCT検査などにより、感染の範囲や原因を的確に診断します
  • 感染が広がっている場合は、膿の排出処置(切開排膿)や抗菌薬の投与を行います
  • 必要に応じて入院による点滴治療を行います
  • 炎症の再発を防ぐため、原因歯の根本的な治療(抜歯など)が必要になることがあります

歯性上顎洞炎

歯が原因で副鼻腔(上顎洞)に炎症が波及する病気で、上の奥歯の根の病気や抜歯後の感染などから発生します。耳鼻咽喉科と連携して診療にあたります。

主な症状

  • 頬の痛み・腫れ
  • 鼻づまり・膿のような鼻水
  • 上の奥歯の痛み・歯の浮いたような感覚

治療内容

  • レントゲン・CT検査を行い、上顎洞炎の状態や原因歯の検索を行います
  • 原因歯の根管治療をかかりつけ歯科に依頼、または当科で原因歯の抜歯を行います
  • 原因歯抜歯後、必要に応じて上顎洞洗浄を実施します
  • 歯の治療を行っても改善しない場合、耳鼻咽喉科に投薬や外科治療を依頼します

薬剤関連顎骨壊死(MRONJ)

骨粗しょう症やがん治療で使用される一部の薬剤(ビスフォスフォネート製剤・抗RANKL抗体など)の副作用として起こることがある顎骨の病変です。
当科では治療法のメリット、デメリット、患者さんの全身状態や希望などを十分に考慮した上で治療方針を決定しています。

主な症状

  • 顎の骨が露出して治らない
  • 歯茎の腫れ、痛み、膿がでる
  • 顎の痛みや腫れ・違和感
  • 下唇のしびれ、感覚異常

治療内容

  • 薬剤使用歴を詳細に確認の上、レントゲン・CT検査などを実施し診断します
  • 症例により保存的治療(洗浄・抗菌薬投与)または外科的治療を選択します
  • 治療にあたって、整形外科医やがん治療医などとの連携を図ります

睡眠時無呼吸症候群に対する口腔内装置作製

比較的軽度の睡眠時無呼吸症候群に対して専用のマウスピース(口腔内装置)を作製します。
マウスピースを装着してお休みいただくことで下顎を前方に突き出した状態にして気道を確保することが可能になります。当科では医科主治医より口腔内装置の作製を薦められた方に対して治療を行っています。残っている歯の本数や状態によって、装置の作製可能かどうかを診断します。

歯の移植術(自家歯牙移植)

患者さんご自身の健康な歯(主に親知らず)を、抜歯が必要な部分に移植する治療です。 歯の条件が制限される治療になりますが、条件が合えばインプラントなどの人工物を使わずに機能回復が可能です。

治療内容

  • レントゲンやCT検査を行い、移植元と移植先の適合性を診断します
  • 移植先の歯を抜歯し、欠損した部分に親知らずなど自身の健康な歯を移植します
  • 移植歯の根管治療をかかりつけ歯科に依頼します
  • 固定を解除後、かかりつけ歯科にかぶせ物の治療を依頼します

口腔衛生管理・口腔保健指導

入院中や手術後の合併症を予防するために口腔内環境を整えておくことは非常に重要です。当科では、当院で手術またはがん化学療法を予定している方や入院中の患者さんに対して歯科衛生士による専門的な口腔衛生管理および口腔保健指導を行っています。
退院後はかかりつけ歯科医院に継続的な口腔内の管理をお願いしています。

周術期等口腔機能管理

周術期等口腔機能管理

全身麻酔で手術予定の方やがん化学療法を受けている方などを対象に、主治医と連携して口腔内の管理を実施します。気管挿管時の歯の脱落、口腔内細菌による感染症など、口が原因のトラブルを予防することを目的としています。

糖尿病教育入院患者さんに対する口腔保健指導

糖尿病教育入院患者さんに対する口腔保健指導

歯周病と糖尿病は密接に関連しています。糖尿病のために当院に教育入院された患者さんを対象に歯周病検査・レントゲン検査を行い、現在の歯周病の状態評価や歯周病コントロールのための専門的なアドバイスを行います。

ステロイド治療を受けられる方の口腔衛生管理

IgA腎症などでステロイド治療を受けている患者さんに対し、歯科的評価と口腔衛生管理を行っています。ステロイド薬の使用により免疫力が低下しやすく、口腔内の感染リスクが高まるため、適切な口腔管理が重要です。内科主治医と緊密に連携しながら、全身治療を安全に進められるようサポートいたします。

入院患者さんの口腔衛生管理

口腔内細菌による合併症予防やQOL向上を目的として、歯科衛生士が専門的口腔ケアを実施しています。