未破裂脳動脈瘤について

脳動脈瘤とくも膜下出血

脳動脈瘤とくも膜下出血

脳動脈瘤は脳の動脈に出来たコブ状のふくらみです。
出血した(破裂という言葉が使われますが、先端部に亀裂が生じることが多いです)ときにはくも膜下出血を起こし、突然の激しい頭痛と吐き気に襲われ、意識不明になることもあります。

くも膜下出血を起こすと病院に着くまでに約10%の人が死亡し、手術などの治療を行ったとしても三分の二の患者さんはなんらかの後遺症を残すか死亡すると言われています。

未破裂脳動脈瘤とは出血する前にみつかった脳動脈瘤のことで、一般的には無症状です。未破裂脳動脈瘤が出血してくも膜下出血を起こす確率は年間で1%程度と考えられていますが、小さい動脈瘤は出血しにくいとの報告(1998年の大規模調査では年間0.05%の出血率)もあり、現在調査が行われています。脳動脈瘤のなかでは大きい動脈瘤(10mm以上)や形の不整な脳動脈瘤の方が出血しやすいといわれています。また、以前にくも膜下出血を起こしたことのある方(ない方の11倍の出血率)、脳動脈瘤による神経圧迫症状(ものが二重に見えるなど)のある場合、脳動脈瘤が大きくなっている場合などについては手術が勧められています。未破裂脳動脈瘤の経過観察中には喫煙、高血圧などの危険因子を避けましょう。突然の激しい頭痛を生じた場合には救急車を呼びましょう。

未破裂脳動脈瘤の症状

多くの方が脳動脈瘤があるためいつも頭痛がするというように誤解をされていますが、基本的には未破裂脳動脈瘤があるだけでは症状はありません。脳動脈瘤は脳実質の隙間にできることが多いため、20mmや30mmの大きさになって脳や神経を圧迫するまでは無症状です。内頸動脈・後交通動脈分岐部脳動脈瘤ではすぐそばに目を動かす動眼神経が走行しているため、10mm程度の脳動脈瘤でも同側の瞳孔が大きくなったり、物がだぶってみえたりする(複視)症状が出る場合があります。このように症状が出はじめた場合には、くも膜下出血を起こす可能性が増していると考えられるため早急な対応が求められます。

画像診断

MRアンギオグラフィー(MRA)検査にて脳動脈瘤があるかどうか検索できます。脳動脈瘤が発見されたり、疑われた場合には3D-CT検査や脳血管撮影を行ないます。

手術の適応と治療法

手術的治療を要する未破裂脳動脈瘤は原則として以下の条件を満たす場合です(脳ドックのガイドライン2003・2008より改変)。
  • 原則として患者の余命が10~15年以上ある
  • 大きさ5~7 mm以上の未破裂脳動脈瘤、あるいは症候性脳動脈瘤、不整形脳動脈瘤など
  • 手術の危険性が著しく大きくない(その他の条件が手術を妨げない)

手術方法は開頭クリッピング術と血管内手術(コイル塞栓術)の2種類あります。どちらの方法でも手術中の大出血や脳浮腫、動脈閉塞などのため重大な脳障害を起こす可能性があります。 脳動脈瘤手術の危険性は動脈瘤の場所や大きさによっても異なりますが、死亡率が1%、何らかの後遺症を残す確率が5%程度といわれています。

開頭クリッピング術

開頭クリッピング術

頭の骨を外して、手術用顕微鏡下に動脈瘤を露出し、チタン製のクリップで動脈瘤の根元をつまみ、出血を防止します。

血管内手術(コイル塞栓術)

血管内手術(コイル塞栓術)

足の付け根からカテーテルを入れて、その中からプラチナ製のコイルを入れて動脈瘤の内部を詰めてしまいます。