下肢閉塞性動脈疾患

脳・心臓・血管センター 循環器内科領域

【下肢閉塞性動脈疾患】

下肢閉塞性動脈疾患は、主に糖尿病・高血圧・脂質異常症・腎機能低下などの動脈硬化因子が原因となり下肢動脈に狭窄や閉塞を引き起こす疾患です。
症状の程度により①無症候性②症候性③重症下肢虚血に分けられています。
典型的には病変の進行に伴って跛行(歩行に伴い下肢痛やだるさが出現すること)が出現し、進行すると下肢壊疽や壊死に至ります。
しかしながら、重症下肢虚血の患者さんのうち、約半数は跛行を経ずに無症候性から進展することが知られており、例え無症候であっても油断をしてはならない病態であり厳重な経過観察が必要です。
当院では、無症候性の方に関しては内服や運動療法を中心とした保存的療法、症候性の方に対しては必要があればカテーテル治療を積極的に行っております。
元来、下肢のカテーテル治療を行う場合は足の付け根から動脈穿刺を行っていたため、術後比較的長い安静時間が必要であり、患者さんによっては辛さを訴える方もいらっしゃいました。
近年、カテーテルデバイスの進歩に伴い、より負担の少ない方法として足の付け根ではなく手首や足首の血管から治療をすることが症例によっては可能となってきました。
当院では、患者さんの負担軽減のため、希望のある患者さんではこれらの方法をできる限り取り入れるようにしています。
カテーテル治療は手術に比べて低侵襲であり、繰り返し治療ができることが大きなメリットとなりますが、カテーテル治療が適さない部位に病変がある患者さんなどでは、血管外科と相談してバイパス術や内膜剥離などを選択し患者さんにとって最適な治療を提供するようにしています。
下肢閉塞性動脈疾患のうち、重症下肢虚血は極めて重篤で予後の悪い状態です。糖尿病・膠原病を患っていたり、維持透析を余儀なくされている患者さんの中には、若くして重症下肢虚血となり下肢切断に至る患者さんもいらっしゃいます。
このような患者さんの予後を少しでもよくするため、当科ではカテーテル治療以外にも各科と連携して適切な治療が行えるように準備をしています。具体的には脊髄刺激療法、陰圧閉鎖療法、LDL吸着療法が挙げられます。
これらの治療は様々な科・職種をまたいだ包括的な治療が必要になるため、これらの治療が可能な医療機関は限られています。
当科では様々な治療を駆使して下肢閉塞性動脈疾患に対する最善の治療を行っております。

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