脳・心臓・血管センター 血管外科領域
【大動脈疾患】
当科で取り扱う大動脈疾患として、代表的なものは腹部大動脈瘤があります。
腹部大動脈瘤とは、腹部の大動脈が風船のようにこぶを作る病気で、喫煙歴のある高齢男性に多く発症します。症状としては拍動性の腫瘤(しこり)を触れることもありますが、全くないことも多く動脈瘤が大きくなって破裂するときに初めて激烈な痛みを生じることがあります。また破裂した際には命にかかわる事態に陥る可能性が極めて高い疾患です。
ほかの疾患の精査中に見つかることが多く、また一度膨れ始めた動脈瘤を小さくする薬物療法は存在しないため、大きくなった時点で手術が必要となります。
手術は基本的には開腹での動脈瘤切除、人工血管への置換術を行いますが、体への負担がそれなりに大きくなるため、開腹手術困難な症例においては両下肢の付け根を切開してカテーテルで治療を行う、ステントグラフト内挿術での治療も可能です。
大動脈瘤も動脈硬化による疾患の一つの形態であり、他の動脈硬化疾患を持っている方は一度評価してみることをお勧めします。