組織学的検査のご案内

組織学的検査

ガンやその他の腫瘍性病変・炎症性疾患などは、多くの場合組織診断が最終診断となります。その診断は病理学会認定の病理専門医が行っています。
たとえば、健康診断や消化器症状があって胃のレントゲン検査(バリウム検査)を受け、胃ガンを疑われました。次に内視鏡検査にて胃の内側を観察することになります。

レントゲンで異常所見があった場所に内視鏡でも異常所見が見つかります。
そこで登場するのが病理検査です。

まずゴマ粒くらいの小さな組織をとります。
2日程かけて病理組織標本とし、病理診断を行います。

胃ガンと診断されると、次に手術となります。
手術によって切除されたものについても、組織学的検査が行われます。
今度はガンが胃壁のどの深さまで及んでいるか、切除の断端にガンがいないか(取り切れているかどうか?)、リンパ節にガン細胞が移動してないか(リンパ節転移という)などを詳しく調べます。それによって、術後の治療方針が決定されます。また、術中迅速組織学的検査といって手術の最中に診断をすることもあります。

・組織標本ができるまで

きりだし

手術材料の場合、十分な肉眼観察を行い顕微鏡で観察すべき病変部位を判断します。どこから切り取ったかを正確に記録しながら、顕微鏡標本とします。病理組織検査におけるきわめて重要な過程であり、「切り出し」と呼ばれ、病理医と臨床検査技師との共同作業です。

スライス

これから先はしばらく臨床検査技師の仕事となります。

適当な大きさに切り取った組織を、いろいろな薬液に通し、パラフィンと呼ばれるロウ(蝋)で固めます。

非常によく切れるナイフで組織をロウ(蝋)ごと薄くスライスしていきます。
(3マイクロ程度:1マイクロは1mmの1000分の1)

標本

ガラス板に貼り付け、顕微鏡ではっきり観察できるように色づけ(染色)していきます。このようにしてできた病理標本を病理医が顕微鏡で観察し、診断していきます。

・術中迅速組織学的検査とは

手術中に「できもの」がガンであるかの確認をしたり、ガンが取りきれているかどうかを判定したり、リンパ節などにガン細胞が移動(転移)していないかを判断することが主な目的です。手術中に組織の一部を急速に凍らせ、薄くスライスして病理標本を大急ぎで作製・診断し、ただちに手術室の医師に口頭で報告します。全行程を15分程度で行います。 その結果は、切除する範囲を決めるなど手術方法の選択に役立てられます。


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