腫瘍内科

当科の沿革

東京都立駒込病院は、1879年(明治12年)、コレラなどの避病院として開院以来133年の歴史があります。1975年(昭和50年)に、がんと感染症を中心とした新たな総合病院として発足しましたが、当科は当初よりがん化学療法を専門とする診療科としてスタートしており、都内では最も古い歴史を持ちます。当時はまだ一般のがん腫に対しての抗がん剤治療の効果が十分とはいえない中で、少しでも治療成績を向上すべく種々の工夫の積み重ねが行われてきました。現在では新たな薬剤が次々と開発され、化学療法はがん治療における主要な役割を担っています。
当院は2008年(平成20年)に都道府県がん診療連携拠点病院に指定され、がん研有明病院と共に東京都のがん診療のまとめ役を担っています。その中で当科は少しでも患者さんに貢献するよう、今までの伝統を受け継ぎ「患者さんの心に寄り添う医療」をモットーに日常臨床を行っています。

腫瘍内科とは

化学療法とは、がん治療のために行われる抗がん剤を用いた薬物療法のことを言います。悪性腫瘍の治療は大きく①手術、②放射線、そして③化学療法に分類されます。手術や放射線治療が局所に対する治療であるのに対して、化学療法は全身に対する治療です。したがって、診断時あるいは再発時に他の臓器に転移のみられる患者さんに対しては、全身療法としての化学療法が第一の選択枝となります。
私たち腫瘍内科はがん患者さんに対して化学療法を専門的に行っている内科系診療科のひとつで、日本ではまだ数少ない「腫瘍内科医」が診療を担当しています。私たち腫瘍内科医は化学療法の専門家として、これを必要とする患者さんに対して副作用を最小限にしつつ効果を最大限に引き出すような治療を日々実践しています。
抗がん剤以外にも患者さんの個々の状況に応じて放射線治療や外科手術などを組み合わせた最も良い治療方法を選択しています。そのために外科や放射線治療科などの各専門科と緊密に連携し、その患者さんにとって最適な医療を行っています。また、近年急速に進歩しつつある分子標的治療薬などの新たな薬物療法をいち早く導入するなど、常に最新、最高の医療を提供できるよう努めています。
近年のがん化学療法の進歩とともに、抗がん剤治療に精通し臓器横断的に各種悪性腫瘍の診療を行う腫瘍内科医の必要性がますます高まっています。

化学療法は入院治療から外来中心の治療へ

これまで抗がん剤治療はその副作用の強さの故に入院を中心に行われてきましたが、標準治療法の確立、制吐剤などの副作用を抑える支持療法の発達に伴い、徐々に外来でも行えるようになりました。当院でも2011年(平成23年)の病院改築により50床の「通院治療センター」が新設され、より多くの患者さんに外来での抗がん剤治療を行えるようになりました。現在では院全体で年間15000件を越える外来治療が行われています。当科でも患者さんの日常生活のニーズに合わせ、安心して外来治療が行える体制を整えており、平成27年度の件数は2166件でした。なお、当科医師が通院治療センターのセンター長を兼務しております。

駒込病院‗腫瘍内科1
駒込病院‗腫瘍内科2
駒込病院‗腫瘍内科実績

患者さんのための医療の実践

私たちはこのように高い専門性を持ちつつ「患者さんひとりひとりの心に寄り添う医療」を目標として日常臨床を実践するよう努力しています。

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