第1号 腎内科

患者向け広報誌「OHKUBO
第1号 腎内科

大久保病院 腎内科 部長 遠藤 真理子

大久保病院
腎内
科 部長 遠藤 真理子

専門分野
腎/高血圧症/水電解質/透析/腎移植

救急科部長
患者支援センター長

“肝腎要(かんじんかなめ)”の腎機能

日本では成人の約8人に1人、80代の2人に1人が慢性腎臓病といわれ、年齢が高くなるほど罹患率も高くなっています。これは腎臓が年齢とともに老化していく臓器であること、糖尿病や高血圧などの生活習慣病が慢性腎臓病の発症に影響を及ぼすことが要因です。

腎臓機能の低下は40歳頃から始まります。腎機能の低下が続くと動脈硬化が進むため、脳梗塞や心筋梗塞などの合併症発生リスクが高まります。また、腎機能と生活習慣病は相互に影響しあうため、腎機能を維持することは生活習慣病の予防にもつながります。つまり、腎機能の保持が、アンチエイジング(年齢に負けないからだづくり)の要と言えます。

腎機能が大きく低下し、末期腎不全と呼ばれる状態に至ると、腎機能の一部をサポートする「腎代替療法(血液透析・腹膜透析・腎臓移植)」が必要となります。また、先述のとおり、腎機能の低下は脳梗塞や心筋梗塞などのリスク要因にもなっています。

腎臓の機能低下を抑えるためには、メタボリック症候群・高血圧・高血糖・脂質異常症・尿酸など、腎臓だけでなく患者さんの全身を管理する必要があります。普段はかかりつけ医で患者さんの体を包括的に管理し、症状が悪化した場合や詳しい検査が必要な場合に専門医のいる病院で診察・治療する地域連携が、慢性腎臓病においては特に重要です。

慢性腎臓病のリスク要因(生活習慣病、加齢等)は高齢者ほど高いため、高齢者の慢性腎臓病患者さんが増えている近年では、専門医とかかりつけ医との連携がより重要になっています。

経験豊富な専門医が揃う“腎センター”として

大久保病院の腎内科は、地域の中核病院として都立病院系列の中での腎センター的な役割を果たしています。病院としては中規模ですが、腎内科には専門医をはじめとして現在17名のスタッフが在籍し、腎代替療法の選択提示、腎移植、血液透析、腹膜透析など腎疾患に関する治療全般を実施できる大きな診療科といえます。腎移植については東京女子医科大学泌尿器科と連携し、質の高い移植医療を提供しています。

当科は、かかりつけ医と連携し、地域の維持透析患者さんの合併症(感染症、脳梗塞、心不全、骨折など)を積極的に受け入れています。なかでも、透析のブラッドアクセスは当院血管外科と協力し、内シャント造設、人工血管移植・修復、使いやすい動脈表在化、静脈の転移、長期透析カテーテル留置導入、トラブルに速やかに対応しています。

当院のスタッフは、専門医や認定看護師だけでなく薬剤師や栄養士、医療コーディネーターを含めたチーム体制で患者さんからの相談を受けています。私たちは、患者さんそれぞれに異なる家庭環境や生活パターン、お仕事の状況などにできるだけ寄り添い、少しでも良い治療方針を選択できるように、一緒に考えていくことを心掛けています。


★詳しくは、腎内科のウェブページをご覧ください。