長時間ビデオ脳波モニタリング

長時間ビデオ脳波モニタリング
Long-term video EEG monitoring

2022年11月9日
神経小児科部長 福田光成

 長時間ビデオ脳波モニタリング(long-term video EEG monitoring, VEEG)は昼夜持続で脳波とビデオを同時記録する入院での検査です。最も重要な目的は「いつもの発作(habitual seizure)」を記録することで、発作のビデオ記録(発作症候)と脳波記録(発作時脳波所見)を同時に解析することができます。限界はありますが、VEEGにより①てんかん発作と非てんかん発作の鑑別、②てんかん発作の場合には、全般発作と焦点発作などの発作型の鑑別、③焦点発作の場合、発作焦点の原因となる部位の推定が可能となります。また一般外来での脳波検査が難しい患者さんでも、条件が整えばVEEGで脳波検査を行うことも可能です(図1)。これら主な目的以外にも、脳波を長時間記録するため通常の脳波検査に比し有意にてんかん性異常波の検出率が高くなり、てんかんを正しく診断することができます。

(図1)当科での長時間ビデオ脳波モニタリング

 当科では最近1年間(コロナの影響が少なくなりつつある2021年10月〜2022年9月)に365件のVEEGを行いました。その中でも、てんかん精査目的のVEEGで、約2割の患者さんで真のてんかん発作と紛らわしい非てんかん性のエピソードが認められました。また薬剤で発作抑制が難しいてんかん患者さんの評価では、約4割で外科治療や薬剤の変更など何らかの治療法変更の切っ掛けとなりました(図2)。

 このようにVEEGは難治性てんかんの診療において根幹となる検査であり、てんかんの診断が悩ましい場合や、てんかんの治療が上手くいかない場合などには積極的に行うことが勧められます。

(図2)当科での長時間ビデオ脳波モニタリング検査の現状