婦人科 - 卵巣がん

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卵巣は子宮の両脇にある、親指大の臓器です。ここにできるがんを卵巣がんといいます。
卵巣にできる腫瘍には良性、悪性(がんなど)とその中間の性質を持つ境界悪性というものがあります。その85%が良性腫瘍ですが、手術をする前に良性と悪性を完全に区別することは困難です。40才~60才台に発症のピークがありますが、がんの種類によってはより若い方でも起こることがあります。

症状

卵巣がんは、初期のうちはほとんど症状がありません。病気が進行してお腹の中に水(腹水)がたまると、初めて、お腹全体が張るというような自覚症状がでることが多いです。 卵巣がんは症状が出にくく、また有効ながん検診方法もないので、早期発見が難しいです。腹部の違和感があった場合には婦人科を受診することが大切です。

検査

卵巣がんでは、腹水などから採取できる場合を除いては、腫瘍細胞を直接採取するには手術をするほかありません。
手術の方針を立てるために、病気の広がりや性質を暫定的に評価する検査を行います。

  • CT、MRI:病気の広がりや腫瘍の性質を知ることができます。
  • 腫瘍マーカー:卵巣がんの多くの方で異常となりますが、がんでも正常の方や良性腫瘍でも異常の方もいます。
  • 胃カメラ、大腸造影などの消化管の検査:消化器がんからの卵巣転移の可能性や消化器への広がりを検査します。

治療

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卵巣がん治療ガイドラインに沿いながら、患者さんの病状、希望などを総合的に判断して治療方針を決定しています。
卵巣がんの標準的治療は手術+抗がん剤治療です。
標準手術は、子宮、両側卵巣卵管、大網、骨盤リンパ節、傍大動脈リンパ節を摘出します。がんの広がりによっては腸の一部を合併切除したり、またリンパ節郭清を省略する場合もあります。
今後の妊娠を希望され、がんが片側の卵巣に限局していると考えられる場合には、子宮と反対側の卵巣を温存して、妊娠の可能性を残す手術を行うこともあります。