婦人科の特徴と強み

診療科の特徴と強み

1 若年者の子宮頸部初期病変に対するCO₂レーザー蒸散術

 子宮頸部初期病変(CIN)では円錐切除術で正しい病理診断を得ることが必須ですが、その後の妊娠での流早産率上昇が知られています。早期病変にとどまり出産を希望する場合、CO₂レーザー蒸散術による切除しない治療を選択できるようにしました。最近増加している膣の上皮内病変(VaIN)にも有用です。いずれの場合も、治療後の経過観察は必須です。

 

2 子宮頸部初期病変の精査、治療を行います

 検診異常では初診当日に、コルポスコープ観察下の精密検査(生検/パンチバイオプシー)やヒトパピローマウイルス確認検査(HPVグルーピング、タイピング)を行います。鮮明なモニター画面での解説や、図譜に沿っての説明は、患者さんのご理解に役立ちます。高度病変があれば、安全的確な下平凝固機による円錐切除手術を、1泊2日の入院で行います。若年者の早期病変では、切除しないCO₂レーザー蒸散術での治療も可能です。

 

3 高度な手術(広汎子宮全摘術、傍大動脈リンパ節廓清など)に積極的に取り組んでいます

 広がった子宮頸部腺癌(ⅠB2~ⅡB期)では、広汎子宮全摘術と術前後の補助治療で、完全切除と再発予防を目指します。転移がみられる卵巣癌、子宮体癌では傍大動脈リンパ節廓清(腎静脈レベル)を含めた最大限の腫瘍減量手術~化学療法で、再発を抑えます(下図)。術中迅速病理診断、妊容性温存治療(早期卵巣癌手術、早期体癌MPA療法)も行っています。

 

4 子宮頸がん根治照射(多摩総合医療センター放射線科との連携による)

 主な治療は当院で行い、特殊機器での治療(腔内照射)のみ、多摩総合医療センター(府中市)への数回の通院で受けられるようになりました。治療後の経過観察も当院で行えますので、地域の患者さん、高齢、合併症のあるかたなどからも喜ばれています。

 

5 化学療法(抗がん剤治療)、放射線治療、緩和医療

 婦人科がん治療に欠かせない化学療法(後述)および放射線治療を、自院内で行います。オピオイド(医療用麻薬)を用いたがんの痛みの治療、他科他職種との連携による症状緩和、がん患者さんの心の問題にも積極的に取り組んでいます。常勤医は緩和医療学会と厚生労働省が主催する緩和ケアPEACEプロジェクトを履修しています。

 

6 難治性腹水症に対する腹水濾過濃縮再静注法(CART法)

 がんによる強い腹水貯留が続くときは、腹水を除去し、有害物や過剰な水分を除去し、タンパク質を点滴で体に戻すこと(CART法)により、苦痛の除去と体力消耗の防止に努めます。

 

7 良性腫瘍等に対する腹腔鏡下手術

 腹腔鏡による低侵襲手術を多数行っています。手術中の出血が少なく、手術の傷が小さく美容的(右図)で、術後の痛みが軽く、入院期間が短い(5泊6日)ため早期に日常生活に復帰することができます。

 現在は良性腫瘍(卵巣腫瘍、子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮頚部高度異形成、異所性妊娠)などを適応としております。安全性を確保しつつ適応を順次拡大してまいります。

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8 がん遺伝子パネル検査

 標準治療終了見込みの難活性がんや、希少がんを対象に、がん遺伝子パネル検査を実施しています。検出された遺伝子変化に基づき、婦人科がん患者さん一人ひとりに適切な治療法を提案できる可能性があります。

 

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その他

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