放射性同位元素による内用療法

イットリウム-90(医薬品名:ゼヴァリン)

イットリウム90(医薬品名:ゼヴァリン)は難治性の低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫およびマントル細胞リンパ腫の二つに対し、高エネルギー放射線を放出するイットリウムを腫瘍細胞の周囲まで集積させて治療を行う方法です。当院では、平成21年から治療を開始しています

悪い細胞は固有の突起(CD20抗原)を 持っている
その突起にぴったりと合う 放射性物質を付けた帽子(イブリツモマブ) を注射すると、悪い細胞が喜んで被る
イブリツモマブを被った細胞は、 免疫攻撃(赤)と 放射線攻撃(黄)を受ける

この治療の特色

  • 化学療法などでコントロールできない難治性悪性リンパ腫の治療が目的です
  • 放射性医薬品(イットリウム-90(医薬品名:ゼヴァリンR))を静脈から投与することにより、腫瘍細胞を近距離から照射し抗腫瘍効果を発揮する治療法です
  • 治療には前処置や検査が必要です
  • 本治療の適応にはいくつかの判断基準が設けられております

ラジウム-223(医薬品名:ゾーフィゴ)

ラジウム-223(医薬品名:ゾーフィゴ)は骨転移のある去勢抵抗性前立腺癌に対して治療を行います。ゾーフィゴは、アルファ線放出核種であるラジウム-223を医薬品として実用化した放射性医薬品です。ラジウム-223には、骨の成分であるカルシウムと同じように骨に集まりやすい性状があり、体内に注射すると、活発な代謝をしているがんの骨転移巣に運ばれます。ラジウム-223から放出されるアルファ線が、骨に転移したがん細胞を攻撃します。アルファ線は、エネルギーが高く、細胞を破壊する力が強いという特徴がありますが、その力が届く距離は体内で0.1ミリm未満と短いことから、正常細胞に影響を及ぼすことはありません。

放射性治療薬品 ゾーフィゴ
放射性物質のラジウム-223が骨の転移巣に集まります
アルファ線の力によってがん細胞の増殖を抑えます


この治療の特色

  • 本剤の適応症は「骨転移のある去勢抵抗性前立腺癌」です
  • 放射性医薬品(ラジウム-223)を静脈から投与することにより、骨転移病巣に投与した薬が集積し、直接作用します
  • 通常,成人には,1回55kBq/kgを4週間間隔で最大6回まで,緩徐に静脈内投与します
  • 治療には前処置や検査が必要です。