消化器内科

概要

消化器内科

 消化器内科は食道・胃・十二指腸・小腸・虫垂・大腸・肝臓・胆嚢・胆管・膵臓と多くのさまざまな臓器の疾患を扱っています。おなかの症状には吐き気、胃痛、腹痛、下痢、便秘、膨満感などの他にも沢山の症状がありますので、お困りの際には是非ご相談ください。

 当院では最新の設備をそろえて、胃カメラ(経鼻・経口)、大腸カメラ、胆管系、気管支内視鏡検査における処置や治療を行っています。胃カメラや大腸カメラについては概ね1週間以内に予約取得可能です。

 また通常の検査だけでなく、EMR(内視鏡的粘膜切除術)やESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)といった内視鏡による腫瘍切除術、超音波内視鏡診断とそれに付随する生検(組織を採取する検査)、ERCP(内視鏡的逆行性胆膵管造影)による胆石や総胆管結石・黄疸の処置や治療を行っています。どの検査も24時間対応できる体制が整っております。

 当院と連携している医療機関の先生方からも当院の内視鏡をご予約いただくことは可能ですので、かかりつけの先生にご相談することもお勧め致します。当院は精度の高い内視鏡検査を心がけ、ご希望により鎮静剤を併用した苦痛のない検査が可能ですのでぜひ主治医とご相談下さい。
 特に女性の患者さんにつきましては、大腸カメラ検査を女性医師指定にすることも可能ですので遠慮なくお申し出ください。(ただし曜日や日程が限定される場合がありますのでご了承ください。)

消化器内科の特色

消化管疾患(食道・胃・十二指腸・小腸・大腸)

  1.  食道、胃、大腸には胃潰瘍や十二指腸潰瘍、慢性胃炎をはじめ様々な病気があります。加えて胃癌や大腸癌は日本人の癌の死因の上位を占める疾患となっています。当院では内視鏡などの検査手段を用いて食道、胃、大腸の病気の発見、診断、治療を行っております。
  2. 上部消化管内視鏡(胃カメラ)検査、大腸内視鏡検査
    当院では麻酔を用いて寝ている間に検査を行うようにして苦痛を緩和するように努めております。内視鏡設備はオリンパス社製内視鏡システム(EVIS LUCERA ELITE)を使用しております。内視鏡検査では色素や拡大機能のある内視鏡などを用いて病変の性質を判断し、必要に応じて組織検査(生検)を行います。大腸ポリープの場合は内視鏡で観察して腫瘍か否か、癌が疑われる場合はどの程度の進行かを判断して、生検を行わずに治療を行うようになってきています。また、出血や貧血などの原因を調べるために行うこともあります。
  3. 早期悪性腫瘍、ポリープに対する内視鏡治療
    早期癌の中でも特に初期段階にある病変は内視鏡で切除するだけで治療を終了できる場合があります。内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)が代表的な治療です。内視鏡治療で終われれば外科手術に比べて体の負担や後遺症が少なく済むことが多くなっています。順調に治療が進めば治療の2日後から食事を徐々に再開し、約1週間で退院となります。内視鏡で治療が終われるかどうかの判断は癌の根の深さなどによって決まります。切除した病変を顕微鏡検査して判断することとなります。
    大腸のポリープは小さなものは外来で切除できる場合もありますが、大きなものや血液を固まりにくくする薬を飲んでおられる場合は2-3日程度入院していただくこともあります。大きな病変の場合は早期癌と同じように1週間程度の入院治療が必要となることもあります。
  4. 消化管出血に対する内視鏡治療
    胃・十二指腸潰瘍、食道静脈瘤破裂や大腸憩室出血などの主として血管が破れて出血を起こしている場合に行う処置です。破れた血管を挟み込んで止血するクリップ止血や焼き固める凝固止血、ゴムのバンドで縛る結紮術、薬の注入などの方法があり、病気の原因や状況に応じて処置の方法を選択しています。

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肝臓疾患

 当院では肝臓専門医による肝炎外来を行っております(月・火・金)。対象となる疾患は各種肝炎(B型肝炎、C型肝炎、自己免疫性肝炎、NASHなど)、肝硬変(アルコール性、原発性胆汁性肝硬変など)、肝がんです。
 我が国の慢性肝炎・肝硬変の原因のほとんどは、B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスの持続感染が原因です。また肝がんの原因は、約60%がC型肝炎ウイルス、約15%がB型肝炎ウイルスで、近年では肥満や糖尿病などの生活習慣病に起因する肝がんが増加傾向にあります。
 当院ではウイルス性肝炎の治療を積極的に行っており、肝炎ウイルスの増殖抑制や完全消失を目指しながら、肝がんの予防や早期発見に努めています。近年ウイルス性肝炎治療の進歩は目覚ましく、特にC型肝炎においてはウイルスが肝臓の細胞内で増える過程を直接抑制する新薬(飲み薬)が開発され、これまで治療が難しいと考えられていた患者さんでも治癒を目指すことができるようになりました。
肝がんに対しては、ラジオ波焼灼療法(RFA)、肝動脈化学塞栓療法(TACE)、分子標的薬(レンバチニブ、ソラフェニブ、ラムシルマブ)による化学療法や外科的治療など、それぞれの症例に合わせて治療を行っています。

内視鏡検査含めた画像検査(エコーやCTなど)は消化器内科以外に外科・放射線科とも綿密に検討を重ね、追加治療が必要と判断された場合は速やかに当該科を紹介しています。

炎症性腸疾患

 炎症性腸疾患であるクローン病、潰瘍生大腸炎は共に国の難病に指定されており、その患者数は毎年増加傾向にあります。また近年では多くの新薬が登場したことで、適切な治療を行うことで安定した病状(寛解)を達成することができるようになってきています。
 当院では基本の治療薬である5-ASA製剤(ペンタサR、アサコールR、リアルダR、サラゾピリンR)だけでなく、ステロイド製剤(プレドニンR、ゼンタコートRなど)、免疫調節剤(イムランR、アザニンR、ロイケリンRなど)、生物学的製剤などの各種新薬(レミケードR、ヒュミラR、シンポニーR、エンタイビオR、ステラーラR、ゼルヤンツR)を用いた治療を行なっております。
 また診断、治療に必要な通常の胃カメラ、大腸カメラ検査だけでなく、特にクローン病では小腸病変の診断のため、現在では東京医科歯科大学の放射線科医師との連携により主に小腸病変の評価で使用するMRI(MR enterocolonography: MREC)を行うことができ日常診療に使用されています。
 現在は軽症、中等症、重症を含めて外来、入院診療共に専門の医師が対応できる診療体制が整っています。また必要に応じて近隣や提携する医療機関(東京医科歯科大学、帝京大学、日本大学板橋病院など)とも連携しております。

腫瘍疾患

 当院ではがん薬物療法専門医による外来を行っております。手術不能な進行・再発の消化器がんに対し、抗がん剤、分子標的薬、放射線治療、免疫治療を用いて治療を行なっています。薬剤の効果は、主に生存期間の延長が認められたことで示されており、様々な薬剤、放射線を用いて徐々に改善されてきております。また、治療は副作用を軽減する努力が行われてきたことにより、主に外来で治療を行い日常生活の向上を目指しております。
特に今は、免疫治療が加わる事によってさらに長生きされる方もいらっしゃいます。
 がんは遺伝子変異により、発生し進行することがわかっています。その遺伝子変異をターゲットとした治療によっても生存期間の延長が報告されるようになってきました。また、同じがん種であっても、患者様によっては異なる遺伝子変異が見つかり、それに対応した治療をする事の重要性も指摘されています。そのため、がん組織や血液から腫瘍の遺伝子変異を検査し、ターゲットとなる遺伝子変異が見つかった時には、そこを標的とする薬剤が使われるようになってきています。最近は、腫瘍組織の網羅的な遺伝子検査が保険診療で認められるようになりました。
 当院では、ゲノム診断については、大学のゲノム診療科に解析を依頼し、大学でのエキスパートカンファレンスにおいて、専門医と一緒に解析検討しております。患者様には大学の専門医に充分に説明を聞いて頂いた上で、治療を行なっています。
 より効果が高く、副作用(有害事象)をできるだけ軽減していく事を目標に、スタッフと一丸となって治療にあたっていますので、是非ご相談にいらして下さい。