医療の質(クオリティ・インディケーター)

医療の質(クオリティ・インディケーター)

クオリティ・インディケーター(QI)とは、医療の質を評価する目安となる指標です。
他施設との比較については、提供する医療機能・役割は施設ごとに異なるため、単純比較はできませんが、当院では、これらの客観的指標を設定・公表し、改善に向けた取組を継続的に行うことで、医療の質の向上に努めてまいります。

(注)令和2年(度)以降の実績は新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けています。

医療の質改善事例 【精度の高い大腸内視鏡検査の施行率】

大腸内視鏡検査の施行率グラフ

1.指標の目的・意義高精度かつ効率的な大腸内視鏡検査を行うためには、前処置が重要である。この前処置を確実に実施することで、視野が良好になり病変の見落としがなくなる。また、治療・処置の安全性が保たれるほか、検査時間が短縮でき、患者の苦痛軽減にもつながる。
そこで、前処置状況を4段階(A~D)で評価し、上位2段階(AおよびB)が85%を超えることを目標とした。
2.具体的取組前処置に関する患者説明用用紙により、下剤内服状況の把握及び排便確認を行っている。また、前処置の確認方法について病棟向けの説明会を開催した。今後は、看護職員向けの動画を作成し、更なる情報共有の推進を行う。
さらに、前処置評価の向上のため、検査歴のある患者の前回の前処置評価を必ず確認したうえで前処置薬を処方するよう、医師への周知徹底を行う。検査食の利用についても推進していく。

内視鏡の画像

医療の質改善事例 【退院時アンケート食事満足度】

手術部位感染率グラフ

1.指標の目的・意義

栄養状態の低下は組織・臓器の機能不全を引き起こし、創傷治癒の遅延や、免疫能低下による感染性合併症の発生につながる。さらに、原疾患の治癒障害ないしは悪化をもたらし、治療に対する反応性も低下する。このことから、適切な栄養療法は、患者予後の改善につながると言える。
経口摂取により十分な摂取栄養量を確保するためには、満足度の高い食事提供を継続することが重要である。そこで、院内で年4回実施している退院時アンケートにおける食事満足度を、臨床指標QIとして設定した。

2.具体的取組精度管理と衛生管理の行き届いた安心・安全な食事提供に努めつつ、患者アンケート結果や院内向け調査などの献立への反映、季節の食材や物日にちなんだ行事食を実施している。
また、令和3年度は、新たな保温機器やウォーマーカートを導入し、料理の温度管理の徹底を行った。出来立ての料理を提供するための環境整備を引き続き行っていく。
さらに、朝食メニューの改善や、新メニューの開発・提供にも取り組んでおり、体調が悪く食欲が低下している患者向けのレシピを考案して患者から好評を得た。栄養指導の資料としても提供できるように準備中である。

医療の質改善事例 【腎代替療法選択外来受診率】

褥瘡発生率グラフ

1.指標の目的・意義保存期腎不全患者に対しては、腎代替療法について十分な情報提供を行い、理解と納得のうえで治療法を選択していただく必要がある。また、慢性腎不全保存期の患者および家族への教育的介入は、透析導入時期の遅延効果や透析導入後の予後も改善すると考えられている。
当院では、患者の腎代替療法選択を支援するため、多職種による「腎代替療法選択外来」を行っている。この外来を通して、患者の自己決定を支援し、患者満足度の向上に寄与するだけでなく、腹膜透析や腎移植件数の増加、予後の改善に効果が出ることが期待される。
2.具体的取組腎代替療法選択外来の予約枠を増やし、予約枠の設定がない曜日でも臨時で腎代替療法選択外来を受診できる体制に変更した。また、腎臓内科外来担当医に腎代替療法選択外来受診の勧奨を依頼し、腎臓内科カンファレンスや多職種カンファレンスでも積極的に情報提供をした。
これらの取組により、腹膜透析導入数も例年増加傾向である。
受診者数が増加している中で、今後も患者のニーズに十分に応え続けるために、腎代替療法選択外来の予約枠を増やしていく必要がある。

医療の質改善事例 【入院サポートセンター対応率】

入院サポートセンター対応率グラフ

1.指標の目的・意義入院サポートセンターは、入院治療が決定した患者が抱える様々な問題を把握し、退院後の状況を想定したうえで安心して入院生活が送れるよう、多職種が連携してサポートを行っている。これにより、患者は入院から退院までの流れをイメージすることで不安を軽減し、折り合いをつけながら意思決定を行うことができる。
入院前に患者の状況を把握し、支援の必要な患者に対して多職種が連携して早期に介入することにより、地域との連携を強化するとともに、医療・看護の質の向上につなげていく。
2.具体的取組サポートの対象を「全ての予約入院と緊急入院患者」に拡大し、外来患者の緊急入院への対応体制を整備した。
新規のクリニカルパスを7件作成し、新たに整形外科への介入を開始した。
入院サポートセンターの受診予約について周知徹底を図るとともに、サポートの流れについて、患者向け案内の作成を行った。
令和4年10月より、入院サポートセンターに薬剤師が常駐し、中止薬等の確認・指導を的確に行うことができている。また、12月には入院サポートセンターが1階フロアに移転し、多職種による支援をより一層強化していく。

【令和3年度 墨東病院】クオリティ・インディケーター(QI)一覧 

墨東QI一覧表(令和3年度)(PDF 894.8KB)

2023年1月30日 最終更新