第37回日本神経免疫学会学術集会(幕張)に参加し、発表を行いました。
2025年8月8日から9日まで幕張メッセで開催された、第37回日本神経免疫学会学術集会に参加しました。神経免疫学会はもともとは小さな研究会でしたが、最近では年々学会員が増えているそうです。今年は国際神経免疫学会が10月に幕張で開催されるため、夏休みシーズンの開催となったようですが、それでも1000人を超える参加者があったとのことでした。1日目の夜の懇親会では、会長の村井先生がバイオリン演奏を披露してくださいました。

当科からは横手が、「No evidence of disease activity – 4の多発性硬化症患者における脊髄萎縮の実態とその特徴」という演題で口演を行いました。
多発性硬化症(MS)は中枢神経を標的とする自己免疫性疾患です。視力障害、運動・感覚障害、認知機能障害などさまざまな症状の再発・寛解を繰り返しながら慢性的に障害が進行してしまうことが知られています。MSでも神経変性疾患のように脳萎縮を呈することがよく知られていますが、脊髄も萎縮が進行することが欧米の研究で明らかになっています。本研究では、日本人ではおそらく初めてとなる、脳と脊髄萎縮の同時評価を行いました。再発やMRI病変増加がなく、臨床的に「安定」しており、かつ脳萎縮進行もない状態を、“No evidence of disease activity – 4”とよんでいますが、この状態においても脊髄萎縮が進行している場合があることがわかり、脊髄萎縮が進行している方々は意外にも脳病変は少ないことがわかりました。すなわち、脳病変が少な目で症状もおちついているようにみえても脊髄萎縮が進行していることがありうるということになります。症状がおちついていることは大事なことですが、それだけでは不十分で、しっかりと多角的に評価することが重要だと考えます。