消化器内科 - 専門分野(胆・膵)

更新日 2026年5月11日

消化器内科・胆膵グループで行う診断と治療

消化器内科・胆膵グループでは、胆道癌および膵癌を中心に、急性膵炎や胆管炎などの救急疾患を含め、胆膵疾患を幅広く診療しています。
血液検査やCT・MRIに加え、超音波内視鏡検査(EUS: Endoscopic Ultrasonography)および内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP: endoscopic retrograde cholangiopancreatography)を用いた精密診断と内視鏡治療を行っています。
胆膵領域に特化した専門医が診療にあたることで、高度で専門性の高い医療を提供しています。

目次

  1. 1.消化器内科・胆膵グループの特徴および対応疾患
    2.膵癌の特徴と早期診断
    3.主な検査・治療
    4.実績
    5.膵癌高リスク外来
    6.消化器内科・胆膵グループへのご紹介方法 [医療連携機関の皆様へ]
    7.膵癌高リスク外来 専用診療情報提供書(紹介状)

1. 消化器内科・胆膵グループの特徴および対応疾患

1-1. 診療対応している症状や疾患

当科では、以下の疾患に対して専門的な精査および治療を行っています。

対象疾患

膵臓:膵癌、膵嚢胞性疾患(IPMN等)、急性・慢性膵炎、自己免疫性膵炎
胆道:胆管癌、胆嚢癌、胆石症・総胆管結石、胆管炎・胆嚢炎、膵胆管合流異常、胆嚢ポリープ

1-2. 当科の特徴:膵癌の早期診断

当院では膵癌の早期診断に特に力を入れています。膵癌リスク群と考えられる症例に対しEUSによる経過観察を行うことで、根治可能な段階での早期診断に努めています。

また近年では膵上皮内癌(膵管上皮に留まる早期の病変)の画像的特徴が報告されており、これらに該当する症例に対し積極的に連続膵液細胞診(SPACE:serial pancreatic juice aspiration cytological examination)を行っています。膵癌を早期診断し外科的治療に進めることで、予後改善につなげています。

2. 膵癌の特徴と早期診断

2-1. 膵癌の特徴

全悪性疾患の5年生存率(診断から5年後に生存している割合)は年々改善し、現在では約60~70%に達しています。
一方で、膵癌の5年生存率は現在でも約10%前後にとどまっており、依然として極めて予後不良の疾患です。
その背景として、以下の点が挙げられます。

① 有効なスクリーニング方法が確立されておらず、進行してから診断されることが多い
② 生物学的悪性度が高く、小さな病変でも早期に転移をきたす
③ 膵臓は主要血管に囲まれており、診断時には切除不能となっていることが多い
④ 外科的切除の侵襲が大きく、高齢者では治療適応が限られる
⑤ 抗がん剤治療の効果が限定的である

このため、膵癌の予後改善には早期診断が極めて重要となります。

生存率
引用:国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」全国がん罹患モニタリング集計
膵癌の切除可能性別の割合(診断時の目安)

2-2. 膵癌の早期診断

小径膵癌(直径が10mm未満)や膵上皮内癌(膵管上皮内に留まる病変)などが早期癌と認識されています。

膵臓は体の深部に位置し、膵癌は初期には自覚症状に乏しいことから、早期発見が困難ながんとして知られています。
また、膵周囲には主要血管が多く、発見時にはすでに血管浸潤を伴い、外科的切除が困難となる症例も少なくありません。

その結果、
・症状出現を契機に発見される
・診断時には切除不能となっている
といった状況が生じやすいとされています。

当院では、膵実質や膵管のわずかな変化といった間接所見に注目し、EUSを中心とした精密評価と計画的なフォローアップにより、治癒が期待できる段階での診断を目指しています。

膵癌診療ガイドライン2019年版

膵癌リスクの画像所見

膵癌リスクの画像所見

3. 主な検査・治療

3-1. 胆膵超音波内視鏡検査(EUS; Endoscopic ultrasound)

腹部超音波検査で用いられるプローブ(センサー)を先端に装着した特殊な内視鏡を用いて行う検査です。
胃や十二指腸から膵臓・胆管・胆嚢を近接して観察することが可能であり、CTやMRIでは描出困難な微小膵癌やX線透過性の総胆管結石の検出に優れています。
さらに、コンベックス型内視鏡を用いることで、組織採取(EUS-TA)やEUSガイド下治療(interventional EUS)などの高度な内視鏡治療も可能です。
検査はすべて鎮静下で行っており、苦痛の少ない検査を提供しています。

内視鏡(胃カメラ)
画像提供:オリンパスマーケティング株式会社
内視鏡検査

3-2. 内視鏡的逆行性胆管膵管造影検査(ERCP; Endoscopic retrograde cholangiopancreatography)

専用の内視鏡を用い胆管および膵管を造影して、X線で透視下に評価する検査です。また様々な処置具を組み合わせてドレナージや採石術などの治療も行います。当院では通常のERCPに加えて、術後再建腸管(胃全摘・Roux-en-Y再建後や膵頭十二指腸切除術後など)に対する、小腸シングルバルーン内視鏡を用いたERCPも積極的に行っています。

胆管膵管造影検査
内視鏡検査2

4. 実績

各検査の実施件数は以下の通りです。いずれも全国有数の検査数を実施しています。

EUS件数
ERCP件数

5. 膵癌高リスク外来

当院では、臨床・画像・遺伝的背景を統合し、超音波内視鏡(EUS)を中心とした精密検査とリスク層別化に基づく経時的フォローアップを実施しています。こうした診療体制のもと早期(Stage 0–I)診断による予後改善を目的に、2024年10月より毎週水曜日に「膵癌高リスク外来」を開設しました。

5-1. EUSを主軸とした精密評価

EUSは、消化管内側から膵臓を近接観察でき、数mmレベルの微小病変描出に優れた検査です。CTやMRIで明らかでない病変についても、EUSを併用することによって詳細な評価が可能となります。

5-2. 時的変化を重視したフォローアップ

膵臓の大きさや形態には個人差があり、加齢に伴う変化も知られています。そのため当院では、単回検査による判断ではなく、「以前と比べてどのような変化が生じているか」を重視した評価を行っています。
具体的には、臨床的背景に加えて
●膵実質の変化
●膵管形態の変化
● 画像所見と臨床所見の経時的推移
を総合的に評価し、リスクに応じた適切なフォローアップ計画を立案します。

5-3. 各科連携による画像・病理診断体制

<術前診断>
画像診断に応じて、膵液連続細胞診検査やEUS-TA(超音波内視鏡下組織採取)などを用いた病理学的確定診断します。
<治療方針>
 得られた画像所見、病理所見、臨床情報をもとに、消化器内科・外科・放射線科・病理科・腫瘍内科が協議し、患者さん一人ひとりに適した診療方針を決定します。
<病理診断体制>
微小病変の診断精度向上を目的に、外科・内科・病理科が連携し、術直後検体を超音波下でマーキングし、微小病変の見落としを最小限に抑制した高精度な病理診断を行っています。

5-4. 「膵癌高リスク外来」受診例:微小膵がん(3mm浸潤がん)の1

50代 男性
1年前より境界型糖尿病の経過中、背部違和感を契機に画像検査で膵管拡張を指摘されました。
腫瘍マーカー・PET-CTは陰性で、前医EUS-TAでも悪性所見は認められませんでしたが、より詳しい評価を希望され、セカンドオピニオンとして当院の「膵癌高リスク外来」を受診されました。
当院では、くびれ所見の明瞭化や膵管狭窄部に一致した分枝拡張を認めました。これらの経時的変化を踏まえ、ERCPによる膵液連続細胞診後に外科的切除を行いました。最終的に3mmの微小浸潤膵がんと診断されました。

紹介元の画像検査

紹介元の画像検査

当院のEUS/ERCP所見

当院のEUS、ERCP所見

膵体尾部切除標本(標本EUS/病変ナイロンマーキング)

膵体尾部切除標本

【この症例のポイント】

 微小病変は腫瘍マーカー正常・PET陰性・1回のEUS-TAで診断されないこともある
 「異常なし」で終わらせない経時的評価が鍵
 微小病変は的確な標本作成が病理診断につながる

膵癌リスク外来受初診者数の実績.

以下、詳細について特集していますのでご紹介します。
Robin vol.16「早期の膵がんを治す診断と治療を目指して」

6. 消化器内科・胆膵グループへのご紹介方法 [医療連携機関の皆様へ]

心窩部痛、体重減少など胆膵疾患が気になる方、また検診にて胆膵に異常所見(膵管拡張、胆管拡張、膵嚢胞)が指摘された患者様や、先述のリスク群に該当する患者様のご紹介は、当院医療連携で承っております。また、胆管炎や急性膵炎など、良性の救急疾患についても積極的に受け入れております。

◆患者さんから直接のご予約・ご相談 03-3823-4890(予約センター直通)
※月曜から金曜(祝祭日除く)、9-17時
◆各医療機関によるご予約 03-4463-7534
※月曜から金曜の9-17時、土曜日の9-12時(祝日及び年末年始を除く)https://www.tmhp.jp/komagome/relation/introduction.html

7. 膵癌高リスク外来 専用診療情報提供書(紹介状)

 診療情報提供書(紹介状)(PDF 325.7KB)
 診療情報提供書(紹介状)(Word 25.7KB)

胆膵疾患が疑われる患者様のご紹介をお願い申し上げます

心窩部痛、体重減少など胆膵疾患が気になる方、また検診にて胆膵に異常所見が指摘された患者様や、先述のリスク群に該当する患者様の、気兼ねのないご紹介をお願い申し上げます。

また、胆管炎や急性膵炎など、良性の救急疾患についても積極的に受け入れておりますので、連携を通じ受診相談をいただけますと有難く存じます。

職員一同