大腸の病気が気になったら

大腸内視鏡検査のすすめ

大腸がんは、日本人のがん死亡原因の上位を占めています。
しかし、早期発見なら90%以上が治癒可能とも言われていて、その「早期発見」に最も強い武器が、大腸内視鏡検査になります。

大腸内視鏡検査とは

内視鏡検査

大腸内視鏡検査とは、肛門から細い内視鏡を入れて大腸の中をみる検査です。

直接腸の中を確認する事ができるので、病気が見つかった場合に細胞検査などの精密検査がその場で行えます。さらに、その場でポリープを切除することもできます(小さいポリープならそのまま日帰りで可能です)。

つまり、診断と治療を同時に行うことができる優れた検査と言えます。

どんな人にうけてもらいたいか

  • 便検査で潜血反応陽性といわれた
  • 健康診断で大腸要精査といわれた
  • 最近、通じが細くなった又は便秘がひどくなった
  • 便に血が混ざるようになった
  • 周りに大腸の病気の方がいる
  • 以前、大腸ポリープといわれた

そのような方に検査をお勧めしています。


検査の流れ

外来で行う場合

  1. 外来で検査日程の予約。この時に検査食を購入していただき、下剤をもらいます。
    (看護師さんから説明があります)
  2. 検査前日に検査食。前日寝る前に下剤の内服を行います。
  3. 当日朝からご自宅で腸管洗浄液2L程度を内服
  4. 当日午後に来院していただき内視鏡検査

という流れになります。(検査予約時、検査時、検査結果説明時の3回受診が必要になります)

もし、

  • 下剤を飲んでから病院に来るまでが心配
  • 高齢や持病があるのでご自宅で下剤を飲むのが心配

などの場合には

  • 検査当日朝に入院 して病院で下剤を飲む方法(当日、検査後退院可能です)
  • 検査前日に入院 していただいて検査する方法(検査当日、検査後に退院することも可能です)

もありますので、お気軽にお問い合わせください。
また、腸管洗浄液を2L飲むのがつらいという方についても、他の方法で検査を行うこともできます。
(例えば、 数日前から検査食・下剤を飲んでいただき、当日入院して浣腸を数回行う など)
その場合には、担当医に相談いただければ、よりよい方法を相談させていただきます。(ご希望に添えないこともあります。)

検査はつらくないの?

  • 検査自体は20-30分位になります。(腸が長い方、精密検査やポリープ切除をする場合には追加で時間がかかります)
  • 基本的には皆さんに鎮痛剤を使用して検査を行います。
  • 眠ったままの検査をご希望される場合には眠り薬(鎮静剤)を使用して検査を行うことができますので、遠慮なく教えて下さい。
  • 検査後はお薬が身体からある程度抜けるまで病院で休んでいただきます(休んでいただく時間は使用するお薬で違います)
  • 女性の方で女性医師による検査を希望される方も対応可能です。
大腸内視鏡検査

もしポリープが見つかったら・・・

大腸内視鏡検査をして、切除した方がいいポリープが見つかった場合には

  • 小さいポリープであればその場で切除することが可能です。
    (ただし、血をさらさらにする薬を飲んでいる方や他にご病気がある方については、後日入院での切除をお勧めさせていただくこともあります)
  • 大きいポリープの場合には、後日入院(1泊2日や2泊3日)での切除となります。
  • さらに大きいポリープ(2cm以上のもの)については入院(4泊5日)での切除となります。
    (入院期間は一般的な場合となります。お身体の状況やポリープの状況によって期間は変わります)

もし、手術をした方がいい病気が見つかった場合には
その場で当院外科Drに報告をし、いち早く手術ができるように対応させていただきます。

(→大腸癌の外科治療については大腸がんについてをご覧ください。)

内視鏡による大腸ポリープ治療

大腸ポリープ

内視鏡で大腸ポリープを取る方法を大きく分けて以下の方法があります。
スネア(金属のわっか)を使用して切除する方法

方高周波ナイフ(電気メス)を使用して切除する方法

スネア(金属のわっか)を使用して切除する方法

・コールドスネアポリペクトミー:通電なしで切除
・内視鏡的大腸粘膜切除術(EMR):薬液注入し通電して切除

ポリープの根元をスネアでひっかけて、締め上げて切除します。その際に、根元に薬液を注入したり、スネアに通電したりもします(それによって治療の呼び名が変わります)。
広く一般的に行われている方法で、小さい病変では外来で検査をした際に同時に切除を行います。
切除にリスクが高いと考えられるとき(大きな病変や血をさらさらにする薬を飲んでいる など)は、入院で切除を予定します(治療当日入院で1泊2日、もしくは治療前日の入院で2泊3日)。

スネア

高周波ナイフ(電気メス)を使用して切除する方法

・内視鏡的大腸粘膜下層剥離術(大腸ESD)

スネアでは切除が難しいと考えられる病変に対して行います(大きい病変や形が複雑な病変 など)。
病変の周囲に薬液を注入して大腸の壁に厚みを持たせます。そこに高周波ナイフで切れ込みを入れて、さらに病変の下に薬液を追加し、切れ込みを入れた部分から高周波ナイフを使用して病変の下をはがしてくりぬくことで病変を切除します。

高周波ナイフ

他にも病状に合わせて

・高周波ナイフで周囲に切れ込みを入れた後にスネアで切除する方法(hybrid ESD)
・大きい病変を数回にわけてスネアで切除する方法(EPMR)
・病変の根元にゴムをかけて切除する方法(ESMR-L)

などがあり、一番良い方法を選択して治療を行います。