小児専門医療 胆道閉鎖症

小児専門医療 胆道閉鎖症

 便が白っぽく黄疸のある赤ちゃん(乳児胆汁うっ滞症)は胆道閉鎖症の可能性があり、迅速な診断・治療が必要となります。当院では外科、新生児科、総合診療科、内分泌・代謝科、消化器科などが連携して診療を行い、胆道閉鎖症の疑いが強い場合は、迅速に手術による最終診断と胆汁を出すための手術(葛西手術など)を行います。

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胆道閉鎖症の病型と手術について

 胆道閉鎖症はほとんどがⅢ型という病型で、肝門部の胆管がつぶれて塊になっています。この塊は肝門部瘢痕組織と呼ばれており、顕微鏡で見るとつぶれた胆管や0.1mmにも満たない非常に細い胆管が含まれています。肝門部空腸吻合術(葛西手術)とは、「肝門部瘢痕組織を切り取ってそこを腸で覆う」ことにより、非常に細い胆管から染み出てくる胆汁を受けるようにする手術です。手術中には胆管も胆汁も見えないので、効果が不確実であることが特徴で、効果が得られない場合は肝臓移植しか救命の手段がなくなります。本邦の全国集計では、肝門部空腸吻合術後1年での自己肝生存率(肝臓移植なしで生存している割合)は70%程度とされています。
Ⅰ型やⅡ型では,肝門部の胆管が膨らんでいて腸と吻合できる場合もありますし、上流の肝内胆管に病気が及んでいると判断してⅢ型と同じ肝門部空腸吻合術を行う場合もあります。

当院の治療成績

「肝門部の瘢痕組織を切り取ってそこを腸で覆う」と書きましたが、切り取る範囲や覆い方は施設・外科医によって異なります。当院では、胆汁が出やすいように切り取る範囲を広くし、断面を確実に覆うことができるように吻合の手順を工夫しており、大変良好な成績を得ています。

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 2010年3月のセンター開院後、2026年3月までに51名の胆道閉鎖症患者さんに手術を行いました。最初に手術の成否を判定するのは、黄疸が消失したかどうかです。以下に示すデータでは、総ビリルビン(TB)値が手術後1回でも2.0mg/dLを下回った場合に黄疸消失と判定しています。黄疸消失率は全体で90.2%、肝門部空腸吻合術に限定すると88.6%です。

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 手術後も黄疸が消失しなければ肝臓移植手術が必要になりますし、いったん黄疸が消失した後でも胆管炎などによって再燃してしまったり、肝硬変による成長障害や門脈圧亢進症による消化管出血が出現してしまったりした場合も肝臓移植手術が必要になります。当院では肝臓移植手術を行っていないため、適切な時期に移植手術が受けられるように移植施設と密な連携を行います。
 当院で手術を受けた患者さんの自己肝生存率のグラフを以下に示します。肝門部空腸吻合術(青線)に限定して具体的な数字を述べると、自己肝生存率は1歳で87.8%、5歳で74.4%となっています。

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 さらに、肝門部空腸吻合の手術後3か月以上経過して自己肝生存している患者さんでは、32名中25名(78.1%)で肝機能検査値が正常化しています。胆道閉鎖症の発見時に手術を急ぐ理由は、肝臓の線維化が急速に進んでしまうためですが、我々は手術後の肝機能検査値がよければ肝臓の線維化も軽くなると考えています。手術後20年以上経ったらどうなるのかはまだ不明ですが、長期的にもよい状態がキープできることを目指して胆道閉鎖症の診療に取り組んでいます。

集計:2026年4月7日
文責:外科 富田紘史

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こどもたちの全身における病気、けがに対して外科的に(手術で)治療します。治療範囲は顔面から手足の先まで全身に渡り、年齢も生まれる前の胎児から新生児、乳児、幼児、学童と幅広く診療に当たっています。難治症例や病態が多臓器に渡るような症例においては関連各科と共働して治療にあたります。カンファレンスを開催し、意見を出し合って患者さんにとって最良の結果が得られるよう、チャレンジ精神とチームワークで質の高い医療を実践しています。