炎症性腸疾患(IBD)センター チーム医療

各科紹介

消化器科

消化器科では、診断・検査、内科的治療、外来でのフォローを行っています。腹痛、下痢、血便などの症状を認めた場合には、消化器科外来を受診していただきます。血液・便検査、単純X線検査、超音波検査などにより炎症性腸疾患が疑われた場合には、入院による消化管内視鏡検査を実施いたします。消化管内視鏡検査は、お子さん・ご家族に安心して受けてもらえるよう静脈鎮静もしくは全身麻酔で行っています。また必要に応じて、小腸カプセル内視鏡検査やMRI(MR enterographyなど)などの追加検査も行います。腹痛、下痢、血便などの消化器症状が持続する場合や一般的な治療で改善しない場合など、炎症性腸疾患が疑われる場合には消化器科へご相談ください。

外科

炎症性腸疾患患者さんに対しては、治療抵抗性の潰瘍性大腸炎に対する大腸全摘術、クローン病に合併した痔瘻に対するドレナージ手術、中心静脈栄養が必要な患者さんに対する中心静脈カテーテル挿入術などが必要となることがあり、外科でこれらの手術を担当しています。また経過中に腸管の狭窄や穿孔、出血を起こして手術が必要になることもあります。成人になっても継続して診療が必要になることを想定し、なるべく憂いのない形となるような手術の計画を立てることを心がけています。

臨床遺伝科

炎症性腸疾患では、食生活や衛生環境のほか、その発症に遺伝的な要因も影響していることが知られています。その人らしさを決めるゲノム情報のほか、ヒトの設計図に相当する遺伝子を調べることで、炎症性腸疾患の発症と関連する遺伝子に構造や働きの変化がみつかれば、正確な診断、これからの見通しが得られるかもしれません。お子さんとご家族は遺伝情報を一部共有するため、遺伝子の検査を考えているとき、遺伝的な心配・不安があるときなどは、遺伝カウンセリングをおすすめします。臨床遺伝科では、臨床遺伝専門医、認定遺伝カウンセラーが、お子さんとご家族の様々な遺伝的な質問、相談に対し、分かりやすい説明を心がけています。

心療内科

炎症性腸疾患は、長期にわたって、食事や排泄という毎日のことに深く関わる疾患であり、心理的な負荷は大きいと思われます。ストレスがかかることによって悪化する、悪化することがまたストレスになる、という悪循環も起きてしまうことがあります。学校のことなど、社会的なことも気になるかもしれません。こころとからだが密接に関わる病態に対し、こころの方面から、多職種と連携して支援させて頂きます。

看護師

病棟

入院患者の年齢は12歳以上が5割を占め、病気の治療とともに学業支援を必要とする子どもたちが多く入院されています。そこで分教室が併設されており、学習継続や地元校とのオンライン学習も積極的に行っています。また病棟内に自己学習や患者同士の交流や息抜きの場としてAYAルームを設置しています。私たち看護師は炎症性腸疾患チームの中で子どもたちと最も関わる時間が長い立場にあります。病棟ビジョン「看ます・聴きます・からだと心の声に」をモットーに、子どもたちの抱える「病気についての不安」や「日常生活への不安」などさまざまな気持ちに寄り添いながら少しでも安心、かつ楽しく入院生活を送ることができるよう、また退院後の生活も見据えた看護に努めています。

外来

炎症性腸疾患は、慢性疾患であり長期に付き合っていく病気です。同じ病気に対する治療でも、患者さんがご自身の病気や治療について理解し、自分に合った医療を受けることが必要です。当院では、医師や移行期看護担当看護師を含む多職種でサポートをしていきます。サポートの中心となるのが移行期看護外来です。「患者さんに必要なセルフケアの自立」「自身の病気の理解」「自身で治療を選択する力の育成」などを目的とし、患者さんとご家族に必要な支援をしていきます。移行期看護外来のご利用をご希望の方は、主治医へお声かけください。移行期看護外来を開始する前に、患者さんご本人およびご家族へ説明いたします。

心理・福祉科

心理士

炎症性腸疾患の治療を受けるお子さんやご家族の心理社会的背景を考慮しながら、ストレスができるだけ少なくなるよう、また安心して治療に取り組めるように支援します。お子さんの発達段階や、就学・進学等ライフサイクル上に生じる課題についてアセスメントを行い、多職種とも協働しながら、治療支援および発達に向けた支援を行います。

ソーシャルワーカー

ご病気が分かり、利用できる医療費助成・福祉制度(小児慢性特定疾病、身体障害者手帳等)の確認、移行期となった際に医療費助成の変更が必要であることや、成人期になった際の障害年金のご案内、そして大学進学や就職活動、結婚といったライフステージに合わせた相談などの対応をしております。「気軽に相談ができる」をモットーに医療ソーシャルワーカー(社会福祉士)が相談をお受けします。2階21番うりぼうカウンターにお越しください。電話でもご相談いただけます。 

栄養科

炎症性腸疾患の治療において、栄養療法は重要です。炎症により消化吸収障害、タンパク漏出、異化亢進等により低栄養状態に陥りやすく、適切な栄養サポートが必要となります。栄養科には病態栄養専門管理栄養士5名が在籍し、入院中の栄養管理、外来での栄養食事指導を行っています。炎症性腸疾患に適応する食事として「低残渣食」を提供しています。十分なエネルギー、タンパク質を確保しながら、炎症の原因となる食物繊維や脂質を抑えた食事です。栄養食事指導は分かりやすく丁寧な指導を心がけています。

ファシリティドッグ アイビー

炎症性腸疾患のお子さんは、入院が長期になったり、入退院を繰り返したりと、アイビーと触れ合う時間がたくさんあります。日々の遊びを通して関係性を作り「アイビーがいるなら頑張れる」「入院は大変だけれど、アイビーに会いに病院に行こう」と、子どもたちに勇気を与えられる存在になれるような関りができるよう心がけています。
普段の遊び以外では、点滴の確保や、全身麻酔の検査の時に応援に行くことがあります。