整形外科 診療内容

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手足の先天性形態異常

手足の先天性形態異常について

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内反足

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先天性股関節脱臼

先天性股関節脱臼とは?

(1) 左先天性股関節脱臼のレントゲン像
左先天性股関節脱臼のレントゲン像

先天性股関節脱臼 は、先天性脱臼を生じやすい素因を持った赤ちゃんの股関節が、何らかの外力を契機として脱臼する疾患と考えられています。
以前には、歩行開始後にしか見つけることが困難であったこともあって、治療がなかなかうまくいかない疾患で、日本での発生率も、数%に及ぶ高いものでした。
その後、育児法の改善により、素因を持っている児であっても、その大半を脱臼させずに育てられるようになり、また、股関節検診により脱臼児を早期に発見できるようになったことと、安全に治療が行えるリ-メンビュ-ゲル法が導入されたことなどから、良好な治療成績が期待できるようになってきています。
近年の先天股脱の発生率は、0.1%程度で、女児に多く発生しています。文を記入してください

当院で行う先天性股関節脱臼の治療方法

リーメンビューゲル法
(2)リーメンビューゲル装具
リーメンビューゲル装具

リーメンビューゲルは、外来で容易に脱臼の治療が行えて、整復率も80%と良好な治療用の装具です。先天股脱が整復される際には、多かれ少なかれ股関節を構成している未熟な骨に負担がかかります。以前に行われていた治療法では、このためと思われる股関節の変形が多発していましたが、リーメンビューゲルを用いるようになって、この変形は劇的に減少しました
もちろん、リーメンビューゲル法でも股関節の変形が生じないわけではなく、約10%に大腿骨頭の軽度の変形が出現することが報告されています。
このため当院では、比較的安全に治療が行えるようになる生後3ヶ月以降にリーメンビューゲルを装着し、股関節に過度の負担がかからないように、注意をして治療を行っています。

牽引治療
(3) 先天性股関節脱臼のオ-バ-ヘッド牽引治療
先天性股関節脱臼のオーバーヘッド牽引治療

リーメンビューゲル法は、患児の運動発達の問題などにより、生後10ヶ月を過ぎると、整復できる可能性が低くなります。また、生後早期に発見されても、必ずしもリーメンビューゲルですべての股関節脱臼整復されるわけではありません。
リーメンビューゲル法整復されなかった場合、ないしは整復を試みる時期に、すでに活動性が高まっていて、リーメンビューゲル法を行うには困難な場合などでは、入院として、牽引治療を行っています。
年長となって、下肢の筋力が強くなってくると、股関節整復を試みても、脱臼している位置に骨頭を戻そうとする筋力が強くなるため、脱臼整復が困難となりますし、また仮に脱臼整復されても、その状態では股関節を構成している骨にかかる負担が大きくなるため、大腿骨頭の変形を生じることが多くなってしまいます。
牽引治療は、脱臼位で大腿骨頭を維持している筋の病的なバランスを、整復位で骨頭を保持するような方向へ、無理なく変更していく治療法です。
入院が必要で、股関節が整復されるまでにある程度の期間も必要となりますが、手術という方法を取ることなく、安全に整復が行え、かつ関節の変形も来しにくいという利点があります。

補正手術
(4) 左大腿骨転子間減捻内反骨切り術のレントゲン像
左大腿骨転子間減捻内反骨切り術のレントゲン像
(5) 左ソルター骨盤骨切り術のレントゲン像
左ソルター骨盤骨切り術のレントゲン像

先天股脱の場合には、脱臼整復されても、骨盤側の受け皿と大腿骨頭との適合性が十分でないことが多いですが、体重が軽く、活動性も低い低年齢では、股関節にかかる負担も小さいので、このことはあまり問題となりません。
しかしながら、成長により股関節への負担が増えてくるにつれて、この適合性の悪さにより、大腿骨頭が正しい位置から移動したり、臼蓋や大腿骨頭の変形を招いたりしてくることがあります。
これを放置すると、早期に関節症変化が現れ、正常な股関節に戻すことができなくなります。こういったことを防いで、股関節が正しく成長していけるように、股関節の形態を修正する手術が必要な場合があります。
当院では、大腿骨近位部での減捻内反骨切り手術 、ソルター骨盤骨切り手術などの補正手術を、成長期の股関節に対して必要に応じて行っており、正しく股関節が成長していけるように配慮しております。

ペルテス病

ペルテス病とは?

(6) 左ペルテス病のレントゲン像
左ペルテス病のレントゲン像

ペルテス病という疾患は、何らかの原因で、小児期の大腿骨頭への血流障害が生じ大腿骨頭に壊死が起きてしまう病気です。
大腿骨頭が体重を十分に支えることができなくなるため、日常生活における股関節への負荷で大腿骨頭がつぶれて、変形してしまいます。

ペルテス病の治療方法

現在のところ、血行障害を起こす原因が解っていないため、発症を予防することや、発症した股関節を早く治す方法などはありません。幸いなことに、ペルテス病の場合には、病気となった大腿骨頭も数年の経過で次第に再生されてきますので、病気が治るまでの間、不適切な形に骨頭が変形しないように、維持することが治療の目的となります。

日本での発生率は、日本小児整形外科学会における多施設調査報告によると、10万人に0.9人程度ですが、実際には調査漏れ例が存在するので、もう少し多いと考えられています。好発年齢は4歳から8歳で、7歳前後での発症が多く、男児に女児の6倍以上に多く発症しています。

当院が行っているペルテス病の治療方法

保存的治療
(7) 股関節外転装具
股関節外転装具
(8) 左股関節外転免荷装具
左股関節外転免荷装具

大腿骨頭の支持性が低下したために股関節炎を生じ、股関節の動きが悪くなっていることが、ペルテス病を治療する上で問題となります。股関節炎を生じている状態で大腿骨頭が圧潰すると、股関節の適合性が悪くなり、将来的な関節破壊へとつながってしまいます。
当院では、早期に股関節炎状態を改善させ、股関節の拘縮を除去すること、および装具治療を有効に行うためのリハビリを行うことを目的として、治療初期には入院として局所の安静および装具を使用したリハビリ治療を短期間行っています。
年齢や壊死の範囲、骨頭変形の状態にもよりますが、2ヶ月程度の入院の後は、骨頭が修復するまでの約1年間自宅で装具を用いながらですが、以前の生活に復帰することになります。
装具は、大腿骨頭を骨盤側の受け皿(寛骨臼)に入れ込み、寛骨臼を鋳型として骨頭を球形に保つcontainment治療を目的としていて、体重が軽く、活動性もまだあまり高くない年少発症例では外転のみの、また、年長で活動性が高くなっている場合には、股関節に体重がかからないように免荷を加えた装具を使用しています。

手術治療
(9) 左大腿骨転子間内反骨切り術のレントゲン像
左大腿骨転子間内反骨切り術のレントゲン像
(10) 左トリプル骨盤骨切り術のレントゲン像
左トリプル骨盤骨切り術のレントゲン像

入院としてリハビリを行っても十分な股関節の動きが確保できない場合や、治療開始の遅れで骨頭変形が強い場合、年長発症で予後が不良な場合などでは、手術的治療を選択します。
手術は、保存的治療では装具を用いて行っていたcontainment治療と同じ効果を、大腿骨ないしは骨盤の骨の形態を変えることによって獲得することになります。
手術方法は、大腿骨骨切り手術、骨盤骨切り手術などが中心で、年齢および股関節の適合性などから総合的に判断し、最適な手術法を選択しています。