遺伝性乳がん・卵巣がんとは?
乳がんの患者さんのうち5~10%程度の方は、遺伝的要因(遺伝子の変異)が影響していることが分かっています。また、乳がんになりやすい遺伝子の変異がある方は卵巣がんにもなりやすいことが分かっています。このような場合を「遺伝性乳がん・卵巣がん」といいます。
乳がん・卵巣がんになりやすい遺伝子の変異を持っている場合、性別に関係なく(母から娘へだけでなく、父からも、あるいは息子へも)遺伝することがあります。
そのため、ご家族(血縁者)の複数が乳がんや卵巣がんになってしまうことがあります。
遺伝性乳がん・卵巣がんの特徴
遺伝性乳がん・卵巣がんの場合、次のような特徴がみられます。
乳がん・卵巣がんと診断された方のうちこのような特徴がある方はHBOC外来への受診を検討してみてください。
- 若い年齢で乳がんや卵巣がんと診断された
- 両側の乳がんと診断された
- 乳がんと卵巣がんの両方を診断された
- ご家族(血縁者)の中に、乳がんや卵巣がんと診断された方が複数いる
- 男性乳がんと診断された
※これらの特徴にあてはまる方がすべて「遺伝性乳がん・卵巣がん」であるというわけではありません。
その可能性を正しく診断するには、専門の医師による診察が必要です。
HBOC外来とは?
HBOC外来では、医師・看護師により、患者さんやご家族の病気の状況をお聞きしながら、遺伝性乳がん・卵巣がんに関して分かりやすくご説明いたします。さらに、乳がんや卵巣がんの予防や早期発見・早期治療といった医療、社会的サポートなどの情報もお伝えいたします。
カウンセリングの結果、ご希望の方は遺伝子検査を受けることができます。
プライバシーには十分配慮しております。
遺伝に関する心配、不安などを安心してお話しください。
当外来は自費診療となります。
初回は12,880円、2回目以降は10,740円の受診料がかかります。
遺伝子検査を受けられる方は、別料金が必要となります。
(上記の金額は2022年4月1現在のものです。)
ご予約案内
HBOC外来 | 毎週水曜日(予約制) |
ご予約専用電話 | 03-3823-4890 |
ご予約受付時間 | 月~金曜9:00~17:00 土曜9:00~12:00 |
登録事業を始めるに当たって
がん・感染症センター 東京都立駒込病院では、遺伝性乳がん卵巣がんの診断のために、独立行政法人日本遺伝性乳癌卵巣癌総合診療制度機構(JOHBOC)が実施するBRCA遺伝子検査を受けた方を対象としてデータの収集を行う登録事業に参加協力することといたしました。これは日本人の遺伝性乳がん卵巣がん(HBOC)の症例の積み重ねにより、BRCA遺伝子変異の日本人により適した精確な予測、癌発症の頻度、治療方針、治療成績などの特徴を明らかにして、今後、HBOCの診療で対策を立てていく方のために有用な情報を作成することを目的としています。
本登録事業は臨床研究としてJOHBOCの倫理委員会で承認を受けており、さらに各医療機関の倫理審査を経て実施されるものであり、当院では倫理委員会の審査で承認を受けています。
研究課題名:「BRCA遺伝学的検査に関するデータベースの作成」
登録事業とは、具体的に、生殖細胞系列のBRCA遺伝学的検査を受けられた方の診療情報(がんの進行度、病理の所見、治療及び治療効果)、遺伝子解析結果及び家族のがんの罹患状況を各医療機関でまとめ、全国のデータを集計するNCD(National Clinical Database: 専門医制度と連携した臨床データベース)に登録します。また、長期的な治療成績を調査するため、データは1年に1回、各医療機関で更新を行います。その際、個人を特定できる個人情報はすべて削除した上でNCDに登録するシステムになっており、個人情報が外部の施設に同意なしに持ち出されることはありません。登録事業とは担当医師の地道な努力と対象となる方のご協力があって成り立つものであり、わが国の遺伝性乳がん卵巣がん(HBOC)の特徴を明らかにするために多くの関係者の協力が必要です。
本登録事業は、登録の対象となる生殖細胞系列のBRCA遺伝学的検査を受けられた方に説明文書を用いて本登録事業について説明し、同意を得た上で登録を行うこととしています。しかし、すでに治療が終了するなど当院を受診していない方や死亡された方については本登録事業の説明や同意をいただくことができない場合も、上記の個人情報を削除する形でデータ登録をさせていただきますのでご理解を賜りたいと存じます。またご本人だけではなく、血縁者の病歴を登録しますが、この場合にも同様に個人情報の取得は一切行うことはなく、個人のプライバシーに配慮して登録事業を行っています。
研究協力は任意であり、ご本人の同意が得られない場合にはデータの登録は行いません。また、本研究協力に同意いただけなくてもその後の診療に影響が出ることはありません。
当院をすでに受診していない場合には、担当者から直接、本研究の詳しい説明を実施するのが難しいのですが、本登録事業についてご不明・ご心配な点がある場合、登録事業への参加を拒否したい場合などは、下記連絡先までお問い合わせください。
上記登録事業にご理解いただき、ご協力いただけますようよろしくお願い申し上げます。
(日本遺伝性乳癌卵巣癌総合診療制度機構における研究代表者)
日本遺伝性乳癌卵巣癌総合診療制度機構
理事長
中村 清吾
2019年10月15日
(責任者医師)
がん・感染症センター 東京都立駒込病院
部署名: 乳腺外科
責任者氏名: (部長) 有賀 智之
(上記研究に関する問い合わせ先)
〒 113-8677
住所: 東京都文京区本駒込3-18-22
がん・感染症センター 東京都立駒込病医院
所属部署 遺伝子診療科
℡: 03-3823-2101(病院代表)
担当:井ノ口 卓彦