CAR-T外来

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CAR-T療法は、新しいがん免疫治療です。

CAR-T治療は、自分分自身の免疫細胞(T細胞リンパ球)に遺伝子改変を行い、「がん細胞」を攻撃させる治療で、「がん免疫遺伝子治療」と呼ばれます。2019年に白血病や悪性リンパ腫に保険承認されました。
当院は2020年3月よりCAR-T療法の提供可能施設となっています。
現在は、キムリア、ブレヤンジ、アベクマ、イエスカルタの4種類のCAR-T療法を扱っており、患者さん一人ひとりに合ったCAR-T療法を提供しています。

CAR-T治療により、従来の抗がん剤治療や骨髄移植治療で治らなかった病気でも、治せるようになりました。一方、治療を受けてもすべての方に効果があるわけではありません。また、治療までに時間がかかることや、病気やお体の状態に応じて、治療が出来る方が限られています。免疫にかかわる副作用など、治療のマイナス面もあります。

当院では、CAR-T治療を希望される方は、まず「CAR-T外来」を受診していただきます。このホームページでは、「CAR-T外来」について説明させていただいています。

1.CAR-T外来とは

 がん免疫療法である、CAR-T療法について説明する外来で、毎週水曜日に行っております。

CAR-Tの治療を希望される方は、事前にCAR-T外来を受診いただく必要があります。
ご本人が入院中の場合は、ご家族のみの受診も可能です。

当日は、担当の医師より治療について詳しく説明をさせていただき、治療が出来るかどうか判断させていただきます。受診を希望される方は、まず主治医の先生に相談いただき、予約をしてください。(CAR-T外来受診の当日までに現在の主治医から紹介状を作成してもらい、当日持参してください)

相談のうえ治療を行う方針となった場合は、主治医の先生に連絡をとり転院日を決めさせていただきます。

2.CAR-T療法とは

白血球の仲間であるリンパ球は、腫瘍免疫において中心的な働きをします。

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リンパ球にはT細胞、B細胞、NK細胞の3種類があり、T細胞は免疫の働きを調節したり、がんを直接攻撃したりします。このリンパ球が、がんに対して免疫が働くようにするためには、いくつかの免疫のスイッチを入れる必要があります。

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CAR-T療法とは、がん細胞に対して免疫のスイッチが入った状態に患者さん自身のリンパ球を作り変えて治療をおこなうがん免疫遺伝子治療です。

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~CAR-T治療の流れ~

治療の流れ

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患者さんから、ご自身のT細胞リンパ球を取り出します。
1日でとれない場合は、2日かけて採取を行います。

血液を体から取り出すために、通常よりも太い点滴の管を体に入れる必要があります。

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現在のところ、製造可能な施設が限られており、海外への輸送が必要となっております。
輸送-製造-日本へ再輸送に1-2か月かかります。また、採取したリンパ球の状態によっては、CAR-Tの製造が十分出来ないケースもあります。
採取をおこなう時に十分なリンパ球があるよう、抗がん剤超治療のスケジュール調整が必要です。

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CAR-Tの治療効果を上げるためには、治療時の腫瘍細胞を少なくする事が大切です。また、治療後に起きる副作用(過剰な免疫反応)を予防するためにも、腫瘍量が少ない事が有効である事がわかっています。
病気の状態に応じて抗がん剤治療、放射線治療を行い、腫瘍量を適切にコントロールする事が大切です。

リンパ球除去化学療法

体に戻したCAR-T細胞を生着させるためには、もともと体にあるリンパ球を減らしておく必要があります。

このリンパ球を減らすためにおこなう抗がん治療を「リンパ球除去化学療法」といいます。CAR-Tを体に戻す1週間前をめどにおこなう事が多いです。

CAR-T投与

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投与は、輸血と同じ方法でおこないます。投与にかかる時間は30分以内で終わります。
投与後にがん免疫の反応が起きるとCAR-T細胞が体内で増加します。急速な増加によって過剰な免疫反応が起きると重篤化(血圧低下、意識障害など)する場合もあるので、厳重な全身管理が必要となります。
こうした副作用を起こさないためには、治療前の腫瘍量のコントロールが大切です。
病気が消えた場合でも、CAR-T細胞は体に残るため、副作用に対する定期的な受診が必要です。

3.CAR-T治療の対象となる病気(対象疾患)

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さらに、それぞれの疾患で以下のいずれかに該当する患者さんが治療の対象となります。

(以下の条件に該当しても、かならず治療を受けることができるわけではありません。詳しくはCAR-T外来を受診し、医師から説明を受けて下さい)

B-ALL

  • (必須条件)治療を受ける時点で25歳以下かつ、CD19抗原が陽性のB-ALL
  • 初発の場合:標準的な化学療法を2回以上受けたが寛解にはならなかった
  • 再発の場合:化学療法を1回以上受けたが寛解にはならなかった
  • 同種造血幹細胞移植を受けることができない、または同種造血幹細胞移植後に再発した

LBCL(大細胞型B細胞リンパ腫)

  • 適応病型:再発または難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫(PMBCL)、高悪性度B細胞リンパ腫(HGBCL)、形質転換濾胞性リンパ腫(tFL)、形質転換低悪性度B細胞非ホジキンリンパ腫(tiNHL)
  • 形質転換したDLBCLの場合:低悪性度B細胞非ホジキンリンパ腫(iNHL)、濾胞性リンパ腫(FL)からの形質転換

    通算 2 回以上の化学療法を施行し、形質転換後には化学療法を 1 回以上施行している

FL(濾胞性リンパ腫)

  • 再発、難治のFL:通算2回以上の全身治療を施行している

多発性骨髄腫

  • 3種類の新規薬剤(プロテアソーム阻害剤、免疫調整薬、抗CD38モノクローナル抗体製剤)を全て投与したことがあり、直近で行っている治療に再発/難治性の場合

  • 除外規準:
    過去にこのBCMA抗原(B細胞分化抗原)を標的とする治療をすでに受けたことがある患者さん
    形質細胞性白血病に移行した患者さん
    中枢神経に病変を有する患者さん

4.受診いただくには(予約方法)

〜受診の検討〜

まず現在の主治医に、CAR-T治療の対象となる病気であるかご相談をしてください。
CAR-T外来を受診いただく際には主治医の紹介状、画像(CD-ROM等)が必要です。

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〜予約〜

患者様が予約する場合

予約センターにおいて「CAR-T外来(セカンドオピニオン枠)」の予約をしていただきます。

予約時には、CAR-T外来の受診希望とお伝えください。
病気によって担当の診療科/医師が異なるため、予約の際には白血病もしくは悪性リンパ腫のどちらの担当をご希望かお尋ねします。
CAR-T外来は毎週水曜日におこなっています。お急ぎの場合は、予約時にその旨お伝えください

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主治医の先生が予約する場合

医療連携を通じて、「CAR-T外来」の予約をお願いいたします。

事前に紹介状を送っていただき、治療適応について判断させていただきます。治療適応があると判断した場合は、当日から検査等をすすめさせていただく場合もあります。
CAR-T外来は毎週水曜日におこなっています。お急ぎの場合は、予約時にその旨お伝えください

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〜診察〜

予約した日時にCAR-T外来を受診し、担当医師の説明を受けます。
受診する際、主治医の紹介状、画像(CD-ROM等)を持参ください。

担当診療科

B-ALL・骨髄腫に関して

担当診療科
血液内科
担当代表
土岐 典子(どき のりこ)医師

LBCL・FLに関して

担当診療科
腫瘍内科
担当代表
下山 達(しもやま たつ)医師
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〜受診後〜

担当医師より主治医の先生へ紹介状への返信手紙を送ります。
CAR-T治療を当院で担当させていただく場合は、その旨をお伝えし、転院日、検査日程等の相談をさせていただきます。

5.治験

当院では、CAR-T療法の治験治療もおこなっております。
対象となる疾患や病気の状態が限られているため、適応がある場合、外来受診時にご説明いたします。

6.医療費について

CAR-T(キムリア、ブレヤンジ、アベクマ、イエスカルタ)は非常に高額な治療です。
医療費の自己負担額に一定の上限をつける、『高額療養費支給制度』という制度があります。
高額療養費支給制度の手続きは、年齢が70歳以上70歳未満で異なります。
また、所得や世帯条件で補助額が異なりますので、対応する窓口にお問い合わせください。

ご不明点があれば、当院の患者サポートセンターでもご案内しています。

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7.注意事項

  • CAR-T外来を受診する際には、現在受診している病院の主治医からの紹介が必要です。
  • CAR-T外来を受診してから、実際にCAR-T治療を受けられるまで、最短でも2か月以上時間がかかります。
  • リンパ球採取をおこなっても、CAR-Tが製造出来ない場合もあります。
  • CAR-Tの製造をおこなっても、病気の進行によっては治療が受けられない場合もあります。