産婦人科 - 専門分野

当科の診療の特徴

―がんと向き合う女性の“今”と“これから”を支えるためにー
駒込病院はがん診療を専門とする高度専門医療機関として、新たな取り組みを積極的に展開しつつ、安全・安心な医療の提供に力を尽くし、診断から治療、そして治療後の生活支援まで一貫した医療を提供しています。多診療科連携による総合力、専門看護師や他職種による支援体制を通して、患者さんから信頼される病院であり続けられるようスタッフ一同努力を続けてまいります。

治療戦略の具体例

1.子宮頸がん、および前がん病変

子宮頸部異形成、上皮内癌、他前がん病変

子宮頸部異形成に対し当科では日帰りレーザー蒸散手術や短期入院で子宮頸部円錐切除術(2泊3日入院)、腹腔鏡下子宮全摘手術等低侵襲手術を選択できます。

早期子宮頸がん(IA1期)

当院病理診科で上記診断となり適応とされた患者様に対して腹腔鏡下子宮全摘手術を提案しています。(日本産婦人科学会の認定施設です。)妊娠をご希望の方には円錐切除等の妊孕性温存手術が選択できます。低侵襲な治療となるよう患者さんと相談し決めています。

専門分野の治療の具体例

浸潤子宮頸がん

手術適応の方では準広汎子宮全摘、神経温存広汎子宮全摘を施行しています。神経温存することで排尿機能が温存され、手術前の社会生活に戻ることを目指しています。若年の手術後で卵巣欠落症状などある場合はホルモン補充療法を行います。また、リンパ節郭清を行い、術後リンパ浮腫など気になる方は緩和ケア科リンパ浮腫外来で診察を行っています。

緩和ケア科リンパ浮腫外来

放射線治療適応の方には従来の放射線治療に加え、標的部分のみに放射線を集中して照射できる強度変調放射線治療(Intensity Modulated Radiation Therapy: IMRT)を導入し、合併症の少ない治療成績が示されつつあります。また根治照射として外照射に加えて子宮や腟に放射線を出す器具を入れて直接子宮頸部のがんに照射する腔内照射を行っています。外照射と腔内照射の組み合わせることで高い治療効果が期待できます。

さらに腫瘍の大きさが不均等な場合など、腔内照射だけでは放射線の線量が不十分考えられる場合は、放射線を出す物質をがん組織やその周辺組織内に直接挿入して行なう組織内照射が2025年から当院でも施行できるようになりました。腔内照射と組織照射を組み合わせるハイブリッド照射でさらに局所の治療成績の向上が期待できます。

放射線治療科

子宮頸がんの薬物治療

免疫チェックポイント阻害剤(ICI)は初回治療としては進行子宮頸がんに対しては化学放射線治療に加えてICIを加えることで治療効果を高め生存期間を延ばすことが臨床試験で報告され、新たな治療選択肢として使用可能となりました。また、再発時も免疫チェックポイント阻害剤を単剤または併用薬として使用し、がんの進行を抑えことが期待されます。さらに抗体薬物複合体(チトツマブベトチン)なども使用可能となり、治療選択が増えています。

一方、新規薬剤では特有の有害事象が起こることが知られています。当院では内科、眼科など総合的な診療が可能でこれらの有害事象に対しても適切に診療できるようチーム医療を整えています。

2.子宮体がん

子宮体がんの治療は手術が主体です。当院では子宮全摘出手術と両側の卵巣・卵管の摘出を基本としています。I期に対しては腹腔鏡手術または手術支援ロボットが選択できます。当院にはダビンチXiとダビンチSPの2機種、合計3台のロボット機器があり、適応のある方には積極的に低侵襲手術を行っています。また、場合によっては転移しやすいリンパ節も摘出(リンパ節郭清)することで最終的ながんの広がり(=進行期、ステージ)を診断します。さらに近年では転移しやすい最初のリンパ節をまず手術中に検査に提出し、そのリンパ節に転移がなければリンパ節郭清を省略するセンチネルリンパ節ナビゲーション手術が注目されています。適応基準があるのでI期の一部の方で選択できますので、詳しくは担当医にお尋ね下さい。

daVinch SP
da Vinci SP

妊娠を希望される方は初期の子宮体がんやその前がん病変とされる子宮内膜異型増殖症に対して、子宮を温存するホルモン療法の選択枝もあります。ただし、適応や副作用の問題がありますので、大学病院等にご紹介する場合もあります。年齢合併症なども含め担当医と相談し治療方法を決めています。

薬物治療

術後補助治療ではいわゆる抗がん剤が用いられていますが、進行再発子宮体癌では分子標的治療薬と免疫チェックポイント阻害剤を併用する新規治療方法(レンバチニブ+ペンブロリズマム、リムパーザ+デユルマルマブ)も開始され、効果が期待されています。有害事象に対しては婦人科担当医を中心としたチーム医療で対応し、脱毛などのご相談はアピアレンスケアセンターなどと連携しています。

アピアランスケアセンター

3.卵巣癌 卵管癌 腹膜癌

卵巣癌の治療の基本は手術と薬物治療です。卵巣癌の診断は病理診断になるため、手術(開腹手術や審査腹腔鏡手術)などが行われる事が多くなっています。進行期、組織型、患者さんの年齢や全身状態などを踏まえて担当医と相談し決めていきます。初回に開腹手術が選択された場合は、可能な限り腫瘍を取り除く「腫瘍減量手術」が基本となります。大腸外科、泌尿器科などの多くの診療科と密接に連携し、必要に応じて拡大手術(多臓器合併手術)にも対応しております。「切除できる可能性があるなら最大限を尽くす」ことを念頭に置きつつ、一方で「過度・無理な治療は行わない」と言った医学的妥当性と患者さんの希望の両立を常に大切にしています。また早期であれば卵巣や子宮、付属器の切除が行われ、進行具合によって腎静脈以下のリンパ節郭清など広範囲の切除が必要になることもあります。手術後は多くの場合に薬物療法が行われ、特にプラチナ製剤とタキサン系薬剤の併用が標準的とされます。これにより再発リスクを抑え、生存期間の延長が期待します。進行がんの場合は薬物治療を先行させてから手術を行うこともあります。

近年は分子標的薬の役割も大きく、血管新生阻害薬(ベバシズマブ)やPARP阻害薬等が使用されます。PARP阻害剤はBRCA遺伝子に変異を持つ患者さんで高い効果が示され、維持療法として用いられることが増えてきています。再発時には、初回治療からの期間や薬剤への反応性を考慮し、再度の薬物治療や分子標的薬、抗体療法、抗体薬物複合体が検討されます。
患者の希望や生活の質も踏まえ担当医と十分話し合いながら集学的治療を行っています。薬物治療は入院および通院治療で行います。通院治療センターでは日帰りで治療が受けられ、治療中も薬剤師、認定看護師、管理栄養士などチーム医療が提供できます。

通院治療センター

4.遺伝性腫瘍

遺伝性乳癌卵巣癌症候群(HBOC)は、がん抑制遺伝子であるBRCA1 または BRCA2という遺伝子の先天的な変異(病的バリアント)により、乳がんや卵巣がん罹患のリスクが高まる常染色体優性遺伝の遺伝性疾患です。BRCA1 または BRCA2遺伝子に病的バリアントがあると、DNA修復がうまくいかず、がんの発症リスクが増加します。
HBOC患者(BRCA1/2病的バリアント保持者)の生涯がん罹患率(浸透率)は、卵巣がんで8-62%とされており、一般集団と比較するとがん罹患の可能性が非常に高くなります。当科では遺伝性乳がん卵巣がん症候群の方には、サーベーランスおよびリスク低減卵管卵巣摘出術(RRSO)を施行でき、RRSOは生存率改善や発がんリスクの低下といったベネフィットをもたらす非常に重要な予防的治療手段です。 当科では腹腔鏡種下手術または経腟的腹腔鏡下手術(vNOTES)で施行しています。
保険で手術が施行できる場合と自費診療で行う場合があり詳しくは担当医にご相談お願いいたします。
ご家族で癌の方が多い方やご自身で乳がんがあり、心配な方には専門カウンセラーが遺伝カウンセリングを行っています。

経腟的腹腔鏡下手術(vNOTES)

遺伝性腫瘍

遺伝子診療科

5. ゲノム診療

遺伝子診療科

  • 6. 腟や外陰の悪性腫瘍および異形成

  • 治療の基本は手術または放射線治療です。皮膚科および放射線治療と協力し治療をすすめます。