副院長メッセージ

副院長ご挨拶

本年4月1日より副院長を拝命いたしました。神経病院は1980年の開設以来、筋萎縮性側索硬化症やパーキンソン病など神経変性疾患の患者の皆様を中心に外来、入院、在宅訪問診療の面から、長期にわたる最良の医療とケアを提供してきました。診断と初期治療に加えて、その後の維持療法、リハビリテーション、ケア、在宅療養におけるサポート、地域連携、そして緩和ケアにいたるまで多職種の連携のもとで患者の皆様とそのご家族を長期にわたって支援するシステムが完成しております。

私は一貫して自己免疫疾患の診療と研究に従事してきました。自己免疫疾患とは、血液中にある自己抗体やリンパ球が自分自身の体を攻撃してしまう病気の総称です。病気の発症メカニズムや治療法が確立されていない難病と定義される特定疾患には、多くの自己免疫疾患が含まれています。私が専門にしているのは自己免疫疾患の中で重症筋無力症と炎症性筋疾患(筋炎)です。

また、がん免疫療法に大きな革新をもたらしたのが免疫チェックポイント阻害薬で、現在、多くの癌に対する治療に使用されております。一方、副作用として起こるのが免疫関連有害事象です。私は免疫関連有害事象として発症する神経・筋疾患は特徴的な臨床像を呈し、大脳、小脳、脊髄、末梢神経、筋肉まで幅広く出現することを明らかにしてきました、今後もがん専門医の先生方と共に安全ながん免疫治療の実現を目指してまいります。

神経病院では幅広い神経疾患の診療を専門的かつ高いレベルで行っている施設です。これまで多くの偉大な先生方が築いてきた伝統を継承、発展していく重責を感じています。一方、2029年開設予定の難病医療センター(仮称)ではリウマチ・膠原病科が担う多くの自己免疫疾患が診療に加わります。難病医療センター(仮称)の使命を達成するため、これまで神経病院が担ってきた領域はもちろんのこと、新たな領域として自己免疫疾患の診療と臨床研究も発展させていく所存です。