運営理念
あらゆる神経・筋疾患、特に神経・筋難病に対し
- 高度、専門、総合医療を広く都民に提供することを目的とする
- 本質的には研究・教育病院としての性格を持つ
- 医療のみならず予防から福祉に至る過程の重要な中核病院として社会福祉政策面においても貢献すべき使命をもつ
ことを理念とする。
令和8年度神経病院管理運営方針
1 管理運営方針
「地方独立行政法人東京都立病院機構 令和8年度 年度計画」(令和8年3月策定)を踏まえ、以下のとおり当院の基本目標を定め、令和8年度の管理運営方針とする。
このうち、「専門医療の質のさらなる向上」「臨床研究・治験の推進」「経営力の強化」「専門医療を支える人材の確保・育成」「難病医療センター(仮称)に向けた取組」を重点目標とし積極的に取り組んでいく。
2 基本目標
専門医療の質のさらなる向上
- 脳神経・筋疾患診療におけるパラダイムシフトに対応し、先進的な診断・治療から、神経難病の緩和ケアまで、全病期における総合医療を推進する。
疾患治療センター(「ALS/MNDセンター」「パーキンソン病・運動障害疾患センター」「てんかん総合治療センター」)における、神経難病医療の充実・強化を図る。これに加えて、「神経系免疫関連有害事象(irAE)コンサルテーション」の推進や、臨床遺伝科による神経難病に特化した遺伝カウンセリングの拡充等により専門医療のさらなる質の向上を図る。
- 手術部門の体制強化と人材育成を着実に進め、他院で実施困難な専門性の高い「脊椎・脊髄手術」「てんかん手術」「定位脳手術」等の症例増につなげるとともに、集患対策を強化し、他の手術を含め、全身麻酔手術件数の増加を図る。
脳神経・筋疾患など希少疾患や難治性疾患に対して、院内連携により先進的かつ専門性の高い小児医療を提供するとともに、集患対策を強化し、患者数の増加を図る。また、患者の成長に合わせた移行期医療を適切に提供する。併せて小児総合医療センターとの診療連携をより一層強化する。
ロボットスーツを活用したリハビリテーションや土曜日リハビリテーションを引き続き実施するほか、運営体制を見直し、単位数の増加を図る。
- 「呼吸サポートチーム」「栄養サポートチーム」「褥瘡対策チーム」「緩和ケアチーム」「臨床倫理コンサルテーションチーム」等、多職種が連携してチーム医療を推進する。
- オンラインを活用した診療を開始し、より多くの難病患者に対して適切な医療を提供する。
- QI(クオリティ・インディケーター)を活用し、神経系疾患の医療の質の向上に取り組む。
臨床研究・治験の推進
9.臨床研究・治験を一層推進するため、院内の研究支援体制の充実・強化を図る。新規治験、特に早期の治験に積極的に取り組む。
10.研究推進センターや東京都医学総合研究所等と協働し、科研費等の競争的資金の獲得や、論文発表数の増加を目指す。
経営力の強化
11.中長期的に持続可能な自律運営の実現に向け、収支改善のための取組を実施する。医療機能の強化、広報の充実、新たな施設基準の取得、診療報酬の請求漏れ防止等の取組を継続・強化し、収益確保に努める。
12.地域の医療機関との連携を強化し、紹介、返送・逆紹介を推進するとともに、緊急入院の積極的な受入れや柔軟で効率的な病床運用により、新入院患者の増加、病床稼働率の上昇を図る。
13.老朽化した設備及び高額医療機器については、収支や費用対効果を十分に精査した上で、計画的に更新・整備を進める。
14.人員についても、収支や費用対効果を十分に精査した上で、確保に努める。
専門医療を支える人材の確保・育成
15.着実な医療サービスの提供、難病医療センター(仮称)開設を見据えた専門医療の質の向上のため、専門人材の確保・育成に努めるとともに、職員を大切にした病院運営を行っていく。専門医の取得を目指す医師の育成、認定看護師・難病看護師の育成及び活用を進めるなど、各職種における認定・専門資格の取得を支援し、専門人材のより一層の活用を図っていく。
難病医療センター(仮称)に向けた取組
16.難病医療センター(仮称)の運用に関して、外来や「難病診療マネジメント室(仮称)」の設置など、具体的な検討を進めるほか、多摩メディカル・キャンパスにおける一体的運用を推進し、都における難病医療の拠点として、効率的で質の高い医療提供体制の構築を目指す。
17.外来リハビリテーションや、疾患等の特性に応じた専門的なリハビリテーション入院、コミュニケーション機器・IT関連機器の導入支援といった内容の具体化を図る。
地域の難病医療への貢献
18.患者・地域サポートセンターの事業を着実に推進し、入院前サポートから在宅療養、転院を含めた退院支援まで一貫した相談支援を行う。また、「東京都多摩難病相談・支援室」と連携し、退院後の療養相談や就労継続と治療の両立を希望する患者を支援する。
19.地域の医療ニーズに応じた研修・講演会等の開催や専門人材の派遣、地域医療機関からの研修の受入れなどにより、地域における難病患者の在宅療養に関するケア技術の向上を支援する。
20.連携医訪問、「連携だより」と疾患治療センターのリーフレットの発行、臨床懇話会開催等により当院の強みとする医療機能情報を発信するとともに、地域の医療機関からの相談にも対応し、医療連携を強化する。
働きやすい勤務環境の整備
21.職員が意欲を持って業務に取り組むことができる勤務環境を整備するとともに、院内会議の運営方法を含め、既存業務を見直すことで、超過勤務の縮減、年休取得を推進し、ライフ・ワーク・バランスの実現を目指す。
適正な業務運営の確立
22.安全・安心な療養環境を確保するため、医療安全、感染防止、ハラスメント対策、個人情報保護及び災害対策等の取組を強化する。
神経病院の特色
神経病院の特色は、上記の運営理念に合わせて次の3つに整理できます。
1.神経専門病院
当院は脳神経系疾患の専門病院で、院内標榜科は、脳神経内科、脳神経外科、神経小児科、神経眼科、神経耳科、麻酔科が病床をもち、神経精神科、リハビリテーション科、神経放射線科、歯科を加えた10の診療科が協同して患者さんの診療に当たっています。
また、当院は入院専門の病院です。そのために、患者さんの入院窓口の外来は、同一敷地内の多摩総合医療センター及び小児総合医療センターの外来で行われています。
多摩総合医療センター外来では、当院の7診療科(脳神経内科、脳神経外科、神経耳科、神経眼科、麻酔科、リハビリテーション科、神経精神科)、小児総合医療センター外来では、当院の2科(神経小児科、脳神経外科)の医師が、兼務して診療し、入院が必要となる患者さんは、両病院の外来を経由して神経病院に入院しています。
2.教育と研究
当院は、脳神経系疾患の臨床研究とともに、臨床に基づいた基礎的な研究を東京都医学総合研究所とのプロジェクト協働研究等、連携して進めています。また、医師・看護師等の医療従事者の教育や研修のために、全国的に臨床神経学の診療や療養ケアの実践の場を提供して、人材の教育・育成に努めています。平成17年(2005年)4月から、“脳神経内科シニア研修”を開始し、平成20年度から東京医師アカデミーの開設に伴い、“脳神経内科コース”が設置されました。
3.在宅訪問診療を含む地域医療連携事業
脳神経系疾患の患者さんは、脳神経系の障害によって外来通院ができなくなることが多く、長期の療養に伴う対策が大切となってきます。当院では、開設以来、外来への通院が難しくなってきた神経・筋難病患者さんを中心に、多摩地域に居住の患者さんに在宅訪問診療を行ってきました。
平成12年(2000年)11月からは、新たに地域医療連携事業を立ち上げて、患者さんと家族の方々の居住している地域の医師会、保健所、訪問看護ステーション、市町村などの方々と協力して地域支援ネットワークを構築して、患者さんがいま居住している地域で安心して療養生活がおくれるように取り組んでいます。

