アレルギー科

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アレルギーの子どもと家族が安心して生活を楽しむために
アレルギー科 部長 吉田 幸一

診療内容・特色

アレルギー科では食物アレルギー、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎(花粉症を含む)などの疾患の診療を、エビデンスに基づく標準治療(ガイドライン)を用いて地域の医療施設の先生方と協力してすすめています。しかし、アレルギー疾患では時にガイドラインに準じた治療を行っても症状が改善せず、患者さんや家族の日常生活に大きく支障をきたすことがあります。当科ではこのような難治患者、重症患者さんの診療をさせていただき、正確な診断に基づいた治療、難治化・重症化要因の解明、患者さんや家族への生活指導などを行っています。さらに、こどもを中心とした医療を実践するため、小児アレルギー疾患の専門看護師(小児アレルギーエデュケーター)や管理栄養士・薬剤師など多職種で連携して診察を行っているのが当科の特徴です。

当院は「東京都アレルギー疾患医療拠点病院」に指定されており、診断が困難な患者さんや難治性のアレルギー疾患の患者さんが円滑に専門的な医療を受けられるよう、幅広い診療領域に対応するとともに、東京都のアレルギー疾患診療ネットワークの中心的役割や標準治療の普及活動を担っております。

主な対象疾患

食物アレルギー

食物アレルギー診療で大切なことは、正しい診断に基づく必要最小限の除去と、誤食など緊急時に対応できるための準備です。
当科では、食物経口負荷試験に基づき、管理栄養士と協力して必要最小限の除去となるよう食事指導を行っています。アナフィラキシーを始めとしたアレルギー症状を起こす可能性がある場合には緊急時の準備としてアドレナリン自己注射薬(エピペンR)や内服薬の処方、緊急時対応マニュアルを配布し、同時に集団生活での対策も考えていきます。除去食が必要な場合でも、少しずつ食べながら除去を解除していく治療方法も選択することができます。

  • 消化官アレルギー(食物蛋白誘発胃腸症)
    ある特定の食物を摂取後数時間して消化器症状のみを呈する特殊な食物アレルギーです。新生児期から乳児期早期では粉ミルクが原因となることが多く、重症例では全身管理が必要となる場合があります。また離乳食開始後に卵黄などの食物により発症することがあります。頻度の高い疾患ではございませんが、確定診断や寛解したかどうかの確認には負荷試験が必要になることが多く、疑い症例がおられましたらご紹介ください。
  • 食物依存性運動誘発アナフィラキシー
    小学校高学年から中学生・高校生に多い食物アレルギーのタイプです。原因となる食物を食べただけでは症状がでませんが、その後運動をするとじんましんや呼吸困難が起こります。食物と運動を組み合わせた負荷試験を行い、確定診断をしております。

気管支喘息

ガイドラインが普及し、吸入ステロイド薬を適切に使用することにより、喘息発作による夜間の救急受診や入院患者数は大きく減少しましたが、十分に症状がコントロールできないケースが残っています。当科では呼吸機能検査(スパイログラム、呼気NO濃度測定)、気道過敏性検査(運動誘発試験)などに基づいた治療を行うとともに、吸入指導を含めた患者教育を重視しております。重症例には、生物学的製剤の導入も行っています。

  • アトピー性皮膚炎
    アトピー性皮膚炎は、かゆみの強い湿疹が良くなったり悪くなったりを繰り返し長く続く病気です。かゆみにより睡眠障害、集中力の低下がおこります。治療の原則は、スキンケアを徹底して皮膚のバリア機能を維持し、ステロイド外用薬により皮膚の炎症を抑えることです。症状の再燃を繰り返す患者さんには、急性期の皮疹がおさまったあとも予防的に軟膏治療を継続するプロアクティブ療法を積極的に行い、家庭での治療で改善しない重症患者さんには入院治療や生物学的製剤、経口分子標的薬(JAK阻害薬)の投与も行います。
  • アレルギー性鼻炎
    アレルギー性鼻炎の診療では原因となるアレルゲンの検査を行い、原因を避ける生活指導、点鼻薬、内服薬投与で症状の緩和を行います。近年は、スギ花粉・ダニによるアレルギー性鼻炎の患者さんを対象として、舌下免疫療法(SLIT)の導入を積極的に行っており、重症例には生物学的製剤の投与も行います。
  • その他
    慢性蕁麻疹、薬物(ワクチンを含む)アレルギー、ラテックスアレルギーなどの診療も行っています。

小児アレルギーエデュケーター・アレルギー疾患療養指導士の紹介

小児アレルギーエデュケーター(Pediatric Allergy Educator: PAE)とアレルギー疾患療養指導士(Clinical Allergy Instructors: CAI)は学会で認定されているアレルギー疾患の患者指導を専門にするメディカルスタッフです。当センターには7名のPAE(看護師) と6名のCAI(看護師・管理栄養士)が在籍し、こどもの特性・社会的背景なども考慮した患者教育を行い、QOLを向上・維持できるよう努めております。

小学生のためのエピペン教室について

当センターのアレルギー科に通院している小学3~6年生を対象に、夏休みに「小学生のためのエピペン教室」を開催します。食物アレルギーについて、食品表示の見方、アレルギー症状への対応方法を勉強します。参加条件がありますので、「小学生のためのエピペン教室」のご案内をご覧になり、お申込みください。

⇒ 「小学生のためのエピペン教室のご案内」ページはこちら

食物アレルギー(エピペン)講習会について

当科では、エピペン(アドレナリン自己注射薬)を処方された園児や児童・生徒が所属する施設の教職員を対象に、食物アレルギーの緊急時に適切な対応ができるようになるための講習会を開催します。

開催日に合わせて募集期間が設定されております。
参加を希望される施設の代表の方は、「食物アレルギー(エピペン)講習会のご案内」をご覧になり、お申込み下さい。
なお、お問い合わせは、緊急の場合を除き、メールでお願いしております。
この講習会は、患者様、そのご家族、医療関係者を対象とした講習会ではありませんので、ご注意ください。

⇒ 「食物アレルギー(エピペン)講習会のご案内」ページはこちら

参考資料・サイト

サイト

資料

アレルギー科集合写真