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概要
臨床遺伝科では、先天性疾患や遺伝性疾患が疑われる方、またはそのご家族に対して、遺伝医学の視点から診断、健康管理、遺伝に関するご相談を担当しています。
染色体や遺伝子には、一人ひとりの体質や個性に関わるさまざまな情報が含まれています。その多くは病気とは関係しない個人差ですが、ときに生まれながらの特徴や体質、病気の原因に関わっていることがあります。臨床遺伝科では、診察やこれまでの経過、必要に応じた染色体・遺伝子の検査結果をもとに、これまで原因がわからなかった症状や特徴について、ご本人・ご家族と一緒に考えていきます。
先天性疾患が生じる背景はさまざまです。染色体や遺伝子などの遺伝情報の変化が関係する場合もあれば、複数の体質的・環境的要因が重なって生じる場合、妊娠中の環境要因が影響する場合もあります。先天性疾患のすべてが、「親から子へ遺伝する病気」というわけではありません。

診断がついた場合には、その疾患の特徴をふまえ、今後の健康管理、合併症への注意点、成長や発達に応じた支援について考えていきます。また、ご本人やご家族が「同じ病気が家族にも起こるのか」「次の子にも同じことが起こるのか」といった遺伝に関する疑問や不安をお持ちの場合には、医学的な情報を整理しながら、必要に応じて心理社会的な支援も行います。
私たちは、遺伝に関する情報をできるだけわかりやすくお伝えする「つたわる遺伝医療」と、ご本人・ご家族の想いに寄り添う「ささえる遺伝医療」を大切にしています。医学的・遺伝学的な情報を整理し、状況を理解した上で、ご本人やご家族が納得して意思決定や選択をしていけるよう支援します。
診断をめざす意義と留意点
先天性疾患や遺伝性疾患の原因を知ることは、その人の体質や特徴をより深く理解し、適切な健康管理や生活環境の調整につなげる手がかりになります。併発しやすい病気や注意すべき症状をあらかじめ知ることで、将来を見据えた医療的対応や、その人らしさを大切にした生活面での支援に役立つことがあります。
一方で、原因が明らかになることで、新たな心配や迷いが生じることもあります。ご本人やご家族が将来病気を発症する可能性、家族内で共有される遺伝学的な課題、次の世代への影響などについて考える場面が出てくることもあります。また、診断された体質や特徴そのものが、すぐに治療の対象となるとは限りません。
私たちは、診断前から診断後を通じて、ご本人とご家族が安心して医療を受け、地域社会の中でその人らしく暮らしていけるよう支援することめざしています。健康管理、療育、福祉制度、社会資源に関する情報をわかりやすくお伝えします。
「どうして起きているのか」「これからどのように対応していけばよいのか」をご本人・ご家族とともに考え、ライフステージに沿って支える遺伝医療をおこなっています。からだとこころの両方を大切にした、その人らしい歩みに伴走していく遺伝医療をめざしています。


