循環器科 TPVIについて

経カテーテル肺動脈弁留置術(TPVI)について

経カテーテル肺動脈弁留置術(Transcatheter Pulmonary Valve Implantation:TPVI)は、開胸手術を行うことなく、心臓カテーテルを用いて行う重症肺動脈弁逆流症の治療です。主に足の付け根の静脈から挿入カテーテルを用いて新しい人工弁を心臓内まで送り届け、目的の位置に留置します。新しい弁は、機能が低下した肺動脈弁に代わってすぐに機能し始めます。

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対象となる患者さん

ファロー四徴症、両大血管右室起始症などで、自己組織や人工物のパッチ(弁付きパッチを含む)を用いて右室流出路を拡大する手術を受けたことがあり、重度肺動脈弁逆流のある方が対象となります。重度の肺動脈弁逆流は気づかないうちに右心室を傷害して心不全や不整脈など生命に関わる事象を引き起こすため、新しい肺動脈弁に置き換える治療を行います。
詳細な治療適応の判断には、心臓MRI、CTなどの画像診断を踏まえてTPVIチームで評価して決定します。

TPVIのメリット

これまでの唯一の治療方法は開胸手術による外科的肺動脈弁置換術でした。TPVIの対象となる方は、過去に外科的開胸手術を受けたことがある場合が多いため、一般的にリスクが高く、退院まで日数がかかることも多いと言われています。一方、TPVIは開胸の必要がなく、主に足の付根からカテーテルを介して肺動脈弁を留置するため、手術時間が短く低侵襲です。入院期間は1週間ほどと短く、退院後すぐに社会復帰が可能です。

当院でのTPVI

2023年よりTPVIが日本で認可され、当院でも実施しています。心臓MRIを含めた検査を当院もしくは関連施設で実施し、速やかに治療適応の判断を行うフローを構築しています。受診をご希望の方、治療適応かどうか相談されたい方は、主治医からの診療情報提供書をお持ちのうえ下記の外来を受診してください。

連絡先

東京都立小児総合医療センター 循環器科 初診外来
予約センター:042-312-8200
東京都立多摩総合医療センター 循環器内科 成人先天性心疾患外来
予約センター:042-323-9200