細菌検査

細菌検査

細菌検査とは

感染症が疑われる患者さんから採取された様々な検査材料(喀痰、咽頭粘液、尿、血液、膿、胆汁、胸水、腹水、耳漏、眼脂、脳脊髄液、糞便など)を培養して発育した菌の中から感染症の原因となる菌を探し、その菌にはどの抗菌薬(抗生剤など)が有効であるかを調べる検査です。これらの検査結果を可能な限り迅速に報告することで、感染症の早期診断と治療に役立つ情報を提供しています。

また、チーム医療の一員としての活動も行っています。抗菌薬適正使用支援チーム(AST)では、抗菌薬の効かない菌(耐性菌)の減少につながるように耐性菌の動向をチェックし積極的に情報交換を行っています。また、感染対策チーム(ICT)では、院内感染を未然に防げるように患者さんからどのような菌が検出されたかを共有し、環境整備等のラウンドを行っています。

細菌検査の方法と流れ

1. 塗抹検査

提出された検査材料をスライドガラスに薄く広げて染色液で染め、顕微鏡で細菌の有無や形態などを観察します。

黄色ブドウ球菌(グラム染色)

2. 培養検査

検査材料を菌の発育に必要な栄養を添加した寒天(培地)に塗布し、適切な環境(ふ卵器)で培養します。細菌の多くは18時間程度培養すると寒天(培地)上に目に見えるくらいまで増殖し、集落(コロニー)を作ります。

検査
黄色ブドウ球菌(血液寒天培地)

3. 同定検査

菌は種類によって様々な特徴があります。その特徴を調べることで菌名を決定することを「同定」と言います。培養で増やした菌の中から感染症の原因の可能性の高い菌を見つけ出し、様々な特徴を確認することで菌名を決定します。

同定検査

4.薬物感受性検査

同定した菌にはどの抗菌薬が効くのかを調べます。この検査を行うことで抗菌薬が効かない菌又は効きにくい菌(耐性菌)を検出することができ、適正な抗菌薬の使用に役立てています。

5.検査結果がわかるまで

上記の1~4の作業を行って最終結果を報告するまで、発育しやすい菌で2~4日、特殊な条件での培養を行う必要がある菌だと7~10日もかかる場合があります。

結核菌および抗酸菌(結核菌に類似の菌群)は発育速度がとても遅いので最終報告までに約2ヶ月を要します。