肝胆膵外科
肝胆膵がんに対する外科治療
地域唯一の「修練施設B」認定
日本肝胆膵外科学会が定める高難度手術を年間30例以上行う「高度技能専門医・修練施設B」に認定されており、専門資格を持つ高度技能専門医が常勤しています。墨田・江東・葛飾・江戸川をはじめとする、地元の皆さまの温かい信頼に支えられてきた伝統的な城東・下町地域において、この施設認定を持つのは当院が唯一の存在です。内科・外科の密な連携体制
消化器内科と定期的なカンファレンスを行い、肝胆膵領域疾患の患者さん一人ひとりの治療方針について密に連携を取りながら、最適な医療を追求しています。高難度から低侵襲、緊急手術まで幅広く対応
がんに対する難易度の高い手術はもちろん、お身体への負担が少ない腹腔鏡やロボット支援下手術も保険適応術式の範囲内で積極的に導入しています。さらに、一刻を争う緊急手術まで、あらゆる状況に24時間体制で対応可能です。総合病院としての強みを活かしたハイリスク対応
当院は全25診療科を有する総合病院です。心疾患や糖尿病などの持病(併存疾患)をお持ちのハイリスクな患者さんに対しても、各専門診療科と緊密に連携しながら、安全を最優先にした適切な治療を行うことができます。通い慣れた地元で受ける先進医療
錦糸町駅至近という利便性の高い立地にあり、遠くの専門病院まで通うことなく、住み慣れた地元の身近な環境で安心して高度な先進医療を受けていただける体制を整えています。
肝胆膵がん:疾患別治療方針
原発性肝癌
原発性肝癌には、主に肝細胞癌と肝内胆管癌があります。肝細胞癌は、B型肝炎やC型肝炎を背景に発症することが多い癌ですが、近年は肝炎ウイルスに感染していない方に発症する肝細胞癌も増えています。
診断には、腹部エコー、CT、MRI、腫瘍マーカー検査(AFP、PIVKA-2など)を用います。治療方針は「肝癌診療ガイドライン」を参考にしながら、肝機能、腫瘍の大きさ・個数・位置などを総合的に評価して決定します。
肝細胞癌は、門脈という肝臓内の血管の流れに沿って肝内に広がることがあります。そのため、肝機能が許す範囲で、腫瘍が存在する門脈領域を含めて切除する術式を選択します。
肝癌は治療後に再発することもありますが、再発時にもその都度、肝機能や腫瘍の状態を評価し、切除が可能かどうかを検討しています。当科では、条件が整えば再肝切除も積極的に行っています。再手術では癒着により手術が難しくなることがあるため、初回手術時から癒着防止材を使用するなど、将来の治療も見据えた手術を心がけています。
あきらめない肝転移治療
肝臓は、他の臓器の癌が転移しやすい臓器です。肝転移は一般に癌が全身に広がった状態を示しますが、結腸癌・直腸癌の肝転移では、手術で切除することにより治癒を目指せる場合があります。
当科では、肝転移が見つかった患者さんに対して、まず「切除できる可能性があるか」を丁寧に検討します。たとえ再発した場合でも、腫瘍の場所や数、肝機能、全身状態を毎回評価し、可能であれば再肝切除、再々肝切除にも取り組んでいます。
また、最初は切除できないと判断される場合でも、抗がん剤治療によって腫瘍が小さくなり、手術が可能になることがあります。外科、消化器内科、腫瘍内科、放射線科などが連携し、患者さん一人ひとりに合わせて、根治を目指す道を探していきます。
胆管癌
胆管癌は、胆汁の通り道である胆管にできる癌です。胆管は肝臓から十二指腸まで続いているため、癌ができた場所によって必要な手術が異なります。
肝臓に近い胆管癌では、胆管と肝臓の一部を切除する拡大肝切除を行います。十二指腸や膵臓に近い胆管癌では、膵頭十二指腸切除を行います。癌が広い範囲に広がっている場合には、これらを組み合わせた大きな手術が必要になることもあります。
当院では、消化器内科と綿密に連携し、黄疸への対応、胆管ドレナージ、画像評価、薬物療法の必要性などを含めて治療方針を検討しています。血管に癌が及んでいる場合でも、血管合併切除や血行再建を含めて切除の可能性を探り、根治を目指した治療に取り組んでいます。
胆嚢癌
胆嚢癌は、早期には症状が出にくく、発見時にはすでに進行していることも少なくありません。リンパ節や周囲の臓器に広がりやすい癌ですが、遠隔転移がない場合には、手術による根治切除を行います。
手術の内容は、癌の進行度によって変わります。胆嚢に限局している場合は胆嚢摘出術を行いますが、肝臓側へ広がっている場合は肝切除を、胆管への進展が疑われる場合は肝外胆管切除を、リンパ節転移の可能性がある場合はリンパ節郭清を組み合わせます。
当科では、CTやMRIなどの画像検査をもとに病変の広がりを評価し、安全性と根治性の両立を考えながら、患者さんに適した手術方針を決定しています。
減黄処置や門脈枝塞栓術について
胆管癌や胆嚢癌では、癌によって胆汁の流れが妨げられ、黄疸が出ることがあります。黄疸がある場合は、まず消化器内科と連携し、内視鏡による減黄処置で胆汁の流れを改善します。肝臓の状態を整えたうえで、根治を目指した手術を検討します。
大きな肝切除が必要な患者さんでは、手術後に残る肝臓の容積が十分かどうかを術前に評価します。残肝容積が不足すると判断される場合には、当科から放射線科に依頼して門脈枝塞栓術を行います。残る肝臓をあらかじめ大きくすることで、より安全に肝切除を行えるよう準備します。
膵癌
膵癌は、これまで治療が難しい癌とされてきましたが、近年は化学療法と手術を組み合わせた治療により、治療成績の改善が期待されています。現在では、術前化学療法、手術、術後補助化学療法を組み合わせて、総合的に治療を行うことが標準的になっています。
当院では、消化器内科と外科が綿密に連携し、診断から化学療法、手術、術後治療までを一つの施設で行える体制を整えています。治療方針はガイドラインに沿って決定し、癌の広がり、血管への浸潤、全身状態を詳しく評価したうえで、根治切除を目指した治療を行っています。
膵頭部癌には膵頭十二指腸切除、膵体尾部癌には膵体尾部切除を行います。癌が血管に及んでいる場合でも、血管合併切除や血行再建を行うことで、根治切除を目指せることがあります。当院では、内科治療と外科治療を組み合わせ、膵癌に対してもあきらめない治療を大切にしています。
また、IPMNや膵神経内分泌腫瘍(NET)についても、ガイドラインにのっとって治療を行っています。IPMNでは、腫瘍の大きさ、内部隆起、主膵管の拡張などから癌化の危険性を評価し、切除適応がある場合には手術を行っています。NETでは、腫瘍の大きさや悪性度、転移のリスクを評価し、ガイドラインに沿って切除を行っています。
肝胆膵良性疾患の治療方針
胆石症
胆石症は、胆嚢に石ができる病気で、腹痛や発熱の原因になることがあります。症状がなく、画像検査でも悪性を疑う所見がない場合は、すぐに手術をせず経過をみることがあります。
一方、胆石発作を起こした場合や、胆嚢炎を繰り返す場合、また胆嚢癌との区別が難しい場合には、手術が必要になります。当科では、腹腔鏡下胆嚢摘出術を標準的に行っており、多くの患者さんが4日間程度の入院で治療を受けることができます。小さな創で行うため、術後の回復も比較的早く、日常生活への復帰を目指しやすい手術です。
肝良性腫瘍:肝嚢胞、肝血管腫など
肝嚢胞や肝血管腫は、多くの場合、良性の病変です。症状がなく、悪性を疑う所見がなければ、定期的な画像検査で経過をみます。
ただし、大きくなって腹部の張り、痛み、不快感などを起こす場合や、悪性腫瘍との区別が難しい場合には、手術が必要になることがあります。当科では、病変の大きさや場所、症状の程度を確認し、患者さんに合った治療方法を選択しています。
膵・胆管合流異常症、総胆管嚢腫
膵・胆管合流異常症は、膵管と胆管が本来より手前で合流してしまう生まれつきの形態異常です。胆汁と膵液の流れが乱れることで、胆管炎や胆嚢炎を起こすことがあります。
特に重要なのは、胆嚢癌や胆管癌のリスクが高くなる点です。そのため、見つかった時点で癌がなくても、将来の癌を予防する目的で手術を行います。胆嚢摘出術を基本とし、胆管が拡張している場合には肝外胆管切除も行います。当科では、ガイドラインに沿って、将来を見据えた治療を行っています。
当科の取り組み
腹腔鏡、ロボットを利用した肝胆膵外科手術
腹腔鏡下肝切除術
腹腔鏡下肝切除では腹壁に小さい穴を開けて、機器による操作で肝切除を行います。創部が小さく痛みも少ないため、術後の回復が早いのが特徴です。すべての肝切除が適応となるわけではありませんが、できるだけ導入しております。腫瘍の同定や切除範囲の確認のため、ICG蛍光イメージングも積極的に使用しています。


ロボット支援下手術
当科では、2022年より膵体尾部切除および肝部分切除にロボット支援下手術を取り入れています。
ロボット支援下手術の特長は、鮮明な3D画像、手振れの少ない安定した操作、そして人の手首に近い自由度をもつ鉗子操作にあります。
これにより、血管や臓器の細かな構造を確認しながら、繊細で正確な手術を行うことができます。
肝胆膵外科の手術では、出血を抑え、必要な部分を正確に切除することが重要です。
当科では、これまで培ってきた肝胆膵外科手術の経験にロボット支援下手術の利点を組み合わせ、患者さん一人ひとりに適した低侵襲手術を目指しております。

入院サポートセンター、早期緩和ケアの取り組み
「がんとわかったときから始まる」早期緩和ケアを導入し、不安なく肝胆膵がんの手術を受けて頂くために、スタッフ一同がサポートしています。
ハイリスク患者への肝胆膵外科手術
当院の肝胆膵外科では、総合病院ならではの診療体制を生かし、ご高齢の方や、心疾患、呼吸器疾患、腎疾患などをお持ちの方にも、できる限り治療の可能性を広げられるよう努めています。各分野の専門医と連携して全身状態を詳しく評価し、安全性に十分配慮しながら、癌の根治を目指した外科治療を提供しています。
臨床試験への参加
最新のエビデンス構築に貢献すべく、他施設共同の臨床試験にも参加する体制を整えています。
もちろん、参加は任意で、参加の有無で当院における治療に差はありません。
診療実績
| 平成30年度 | 令和元年度 | 令和2年度 | 令和3年度 | 令和4年度 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 肝切除 | 44 | 44 | 49 | 45 | 31 |
| 高難度肝胆膵手術 | 46 | 23 | 53 | 54 | 41 |
| スタッフ紹介 | 外来担当表 | 実績 |
|---|
関連診療科・部門
2024年3月15日 最終更新

