お腹の中の赤ちゃんの健康診断 ~胎児精密超音波検査でわかること~

胎児精密超音波検査でわかること

都立荏原病院 検査科
臨床検査技師 坂本 京

妊娠から出産までの間、お母さんとお腹の赤ちゃんの安全を守るため、定期的に検査をしていきます。

通常の妊婦健診よりも詳細にお腹の中の赤ちゃんの身体の特徴や機能を確認することができる胎児精密超音波検査について、都立病院の臨床検査技師が解説します。

胎児精密超音波検査とは

胎児精密超音波検査は、お腹の中の赤ちゃんの様子を画像で確認する検査です。

「胎児ドック」と呼ばれることもあり、通常の妊婦健診よりも時間をかけて、詳細に調べます。
お母さんのお腹にプローブと呼ばれる器械をあてて、そこから超音波を送り、その反射を画像にすることで、赤ちゃんの大きさや手足の発達の様子だけではなく、脳や胃、腸、腎臓などの臓器の様子、さらには心臓の動きまで知ることができます。

特に、妊娠中期(妊娠14週~27週頃)以降は赤ちゃんの身体のつくりがはっきりしてくるため、順調に成長しているかを確認する大切なタイミングとなります。
超音波検査は、赤ちゃんにもお母さんにも身体的なダメージを与えることなく安全に行える検査なので、多くの妊婦さんに安心して受けていただいています。

赤ちゃんの成長を測る仕組み

胎児精密超音波検査では、見た目の様子だけでなく、具体的な数値も測定しています。頭の大きさ(BPD)やお腹まわり(AC)、太ももの骨の長さ(FL)などを測り、妊娠週数に見合って赤ちゃんの身体が成長しているかを確認します。


身体の成長具合だけではなく、心臓が正しく動いているか、血液がきちんと流れているかといった身体の中の機能の確認もしています。

また、胎盤の位置や羊水の量など、妊娠の状態に問題がないかなどもチェックします。こうしたさまざまな情報を組み合わせて、赤ちゃんの成育状況を総合的に判断しています。

赤ちゃんはお腹の中でどんな姿勢?

胎児精密超音波検査では、赤ちゃんの「胎位」や「胎向」も確認します。
胎位とは、赤ちゃんが頭を下にしているか、逆にお尻や足が下になっているかといった姿勢のことを指します。

○主な胎位の種類
・頭位(とうい):赤ちゃんの頭が下にある状態で、最も一般的で出産に適している
・骨盤位(こつばんい):お尻や足が下にある状態。いわゆる逆子といわれる状態
・横位(おうい):赤ちゃんが横向きになっている状態

胎向は、赤ちゃんの顔や背中がお母さんのお腹のどちらの方向を向いているかを表します。「背中がどちら側にあるか」で表現されることが多いです。

○主な胎向の種類
・第1胎向:赤ちゃんの背中が、お母さんの左側にある状態。比較的多くみられる胎向。
・第2胎向:赤ちゃんの背中が、お母さんの右側にある状態。

妊娠中期ではまだ赤ちゃんがよく動くため、姿勢は定まっていませんが、これらを把握することは、その後の妊娠経過や出産に向けた大切な情報となります。

出生前診断とその役割

胎児精密超音波検査は、赤ちゃんの健康状態を知るだけでなく、出生前診断の一部としても役立つことがあります。

出生前診断とは、生まれる前に、赤ちゃんに病気の可能性や身体的な特徴があるかどうかを調べる検査のことです。胎児精密超音波検査のほかにも、新型出生前診断(NIPT)、羊水検査、絨毛検査などがあります。
ただし、検査でわかることには限りがあり、これから先のすべてを正確に予測できるわけではありません。検査によって得られる情報は、お母さんやご家族に安心を与えることもあれば、悩みや迷いを生むことになる場合もあります。

そのため、検査を受けるかどうか、結果をどう受け止めるかについては、それぞれの価値観や考え方が尊重されるべきことです。医療者は検査結果などの情報を正しくお伝えし、ご家族が自分たちで考えて選択できるように支える役割を担っています。

●実際に胎児精密超音波検査を受けるには?

胎児精密超音波検査を希望される場合は、通院している施設で「胎児精密超音波検査(胎児ドック)」を実施しているか確認してください。

実施していない場合には近隣に実施可能な施設があるか、主治医の先生に相談してみてください。
都立病院にも実施可能な施設はあり、胎児精密超音波検査のみ受けることも可能です。
検査費用は施設により異なり、数千円から数万円と幅広く、自費になることが一般的です。

しかし、多くの自治体で妊婦健康診査の受診票が交付されており、妊婦検診(体重測定、血圧測定、尿検査等)と一緒に胎児精密超音波検査を実施する場合は、助成されることがあります。お住まいの自治体のホームページなどで制度をご確認ください。

これから出産や育児を迎えるにあたり、胎児精密超音波検査は赤ちゃんの成育と健康を確認する大切なステップの一つです。
お腹の中の赤ちゃんの成長を見守りながら、新しい命を迎える準備をしていきましょう。


最終更新日:令和8年7月27日